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人間×ドラゴンのハーフの少年、地球侵略ドラゴン達と戦う-ハーフドラゴンのスバルくんっ!-  作者: アッキ@瓶の蓋。


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Brother Complex VS Mother Complex -アネモイ対シグマズルカ-

と言う訳で、シグマズルカとの決戦です!

「《鏡像武装 シグマズルカ自身》!」


 シグマズルカの横に彼女の等身大の鏡が出現する。

 そこから彼女と鏡写しの、左右反転のシグマズルカが現れる。


「「《鏡像武装 カグツチバズーカ/インドラ弓》!」」


 一方のシグマズルカはカグツチが持っていたバズーカ砲を、そしてもう一方のシグマズルカはインドラが持っていたレールガン搭載の弓を手にしていた。


「私は、このバズーカで!」

「そして、私はこの弓で!」


 2人に分裂したシグマズルカは、それぞれがスバルとマヌスの2人が合体した姿を持っている武器‐‐‐‐カグツチの高火力バズーカ、そしてインドラの迎撃性能の高い弓を手にしていた。


【【カグツチ、それにインドラの武器を出して、このアネモイが動揺するとでも?

 ‐‐‐‐舐めすぎですよ、この姉弟合体系となっているアネモイを!】】


 アネモイは風を収束させて、巨大な大剣を手にする。

 そのまま翼を羽ばたかせて、瞬時にインドラの弓を持っているシグマズルカに接近して、その大剣を振るう。


 ‐‐‐‐パリンッ!


 鏡が割れる音が聞こえ、インドラの弓も、そしてそれを持っていたシグマズルカも鏡の欠片となって、地面に転がっていた。


【【(接近戦にも対応できるインドラの弓は、先に壊しておくべきでしょう。あのバズーカはバカみたいな火力を出すけれども、直線的で分かりやすいし)】】


 アネモイは、スバルとユカリは、それぞれあの武器の長所と短所を良く理解していた。特に、合体の基点となっているスバルは。

 だからこそ、弓であるのに剣として扱うことが出来るインドラ弓状の武器の方から、先に大剣を振るって対処していた。


「……鏡像武装に対して、それは舐めすぎですよ」


 カチッと、シグマズルカは持っているバズーカの砲口をアネモイへと向ける。

 向けられた砲口を見て、アネモイは直線状に来ることを見越して、一気に距離を取って、後ろへと回り込む。


「‐‐‐‐発射っ!」

【【方向が見当違いですよっ!】】


 シグマズルカがバズーカの引き金を引くと共に、バズーカからカグツチと同じく高火力の巨大な火柱が……出るかと思いきや、代わりに放たれたのは大量の星々。

 放たれた星々は、バズーカから放出されると、自由自在に動き回り、背後のアネモイに向かってくる。


【【星ッ?!】

「火龍ではなく、星龍なのだから当たり前でしょう。それよりも逃げなくていいのかな?」

【【‐‐‐‐そうだった?!】】


 火ではなく星が出てきたことに驚きつつも、アネモイは自らに追尾して追ってくる星々に対して風で高速移動しつつ、そのまま逃げ惑う。

 星1つ1つに対して風を与えて軌道を変えようとするも、星は軌道を変えることなく、アネモイを追ってくる。


【【しつこいっ……!】】

「さぁ、母のために死ねぇ! ダメ押しです、アネモイよ!」


 バズーカが鏡の欠片となって散らばり、代わりにインドラ弓を構える。

 そして弓を射る、轟く雷の代わりに放たれたのは焔を纏った隕石だった。


【【‐‐‐‐隕石?!】】


 いきなりの隕石の出現に、アネモイは戸惑う。そして隕石の速さについていけずに、ぶつかってしまう。

 隕石の爆破に巻き込まれ、追って来ていた星々も隕石を追ってアネモイにぶつかる。


「た~ま、や~。どうですか、この《スターダスト・アンビシャス》の威力!

 龍の中でも、特別な龍たるこの星龍の力さえあれば、あなた程度、合体してようが余裕で倒せるって事ですよ!」


 念のために、と、シグマズルカは鏡をいくつも複製する。


「《鏡像武装/多 シグマズルカ鱗》!」


 鏡に映し現れたのは、シグマズルカの四肢を覆う龍の鱗。それが鏡によって複製されて、彼女の身体中にへばり付く。張り付く。纏わりつく。

 顔も、腕も、足も、胸も、尻も、その全てが鱗で覆われていた。

 全身鱗だらけの姿となったシグマズルカは、自分の姿に惚れ惚れと、嬉しそうな顔を見せていた。


「全身鱗のこの姿、やはりこれこそが主役龍シグマズルカの真の姿ですなぁ」

【【へぇー。それがシグマズルカの真の姿、なんですね】】


 ----ぴゅーっ!


 隕石爆破の煙の中から翼を羽ばたかせ、アネモイが現れる。

 身体のあちらこちらから血が流れているが、それでもまだ軽傷といった所である。


「(土を固めて防御力を上げ、風で直撃を避けた……と言った様子でしょう。

 あの攻撃ならば、苦しまずに楽にいけると思いましたが)」


 ----残念だ。

 

 シグマズルカは手をごきごきっ、と鳴らすと、そのままアネモイに向かって飛ぶ。


【【飛んだら、こっちの有利っ!】】


 アネモイは風や土などによって、シグマズルカを攻撃するも、その攻撃全てが"透過する"。

 攻撃がすり抜けるところを見たアネモイは、慌てて天高くに飛び上がるも、相手もまた翼で追ってくる。


「言ったはずですよ。私の力は、"相手の大事なモノを奪い取る程度の能力"。

 それを阻む障害は、例えなんであろうと許さない!」

【【こなっ、くそぉ……!】】


 アネモイは風を纏め、そこに土で槍を形成して放つ。

 放たれた槍は一直線にシグマズルカに当たるも、彼女の身体を傷つける事なく、そのまま彼女の身体を通って下へと落ちていく。


【【えいっ! このっ!】】


 数発、同じように土槍で攻撃するが、その全てが身体をすり抜けていく。


「無駄っ! むだ、むだっ! 先程も言った通り、この私の身体は、障害を全て通り抜ける!」


 風も、槍も、風によって吹き飛ばされたモノも、シグマズルカの鱗に覆われた身体をすり抜ける。

 その全てを、シグマズルカの鱗は障害として、通り抜ける。


「はははっ! どんな障害でも、この身体はすり抜ける最強のリュウシント!

 あの時と同じように、その身体に手を突き立てくぁwせdrftgyふじこlp!」


 そんな彼女の顔に、アネモイが練った土塊がぶつかる。

 今までと同じようにすり抜ける事前提で向かっていたために、防御しなかったために、彼女の顔にクリーンヒットしていた。


「すり抜けられなかった? いえ、ただの事故! 幸福は、二度はありませんっ!」


 シグマズルカは鏡を増やして、自分をいくつにも分身させる。

 ‐‐‐‐その数、実に10体。


「《鏡像武装/多 シグマズルカ自身》! たった一度の奇跡だろうと、こんなに分身がいれば、意味はない!

 全身鱗のこの私、もう一回、出来るならばやってみなさい!」


 10人に増えたシグマズルカは、全員でアネモイへと向かってくる。


【【まだまだぁ!】】


 アネモイは先ほどと同じように、風で生み出した土塊をぶつける。


「だから、もう効かぶへぇ?!」

「そんなぐぶっ!」

「なんで、こんな攻撃がいやあああああ!」


 あっさりと、アネモイは生み出した9人の鏡分身が倒されて、鏡の欠片に戻されていた。

 「パリンッ!」と、いくつにも割れ、地面へと落ちていた。


「なんで、まだ攻撃が……効く?」


 鏡で増やした自身の分身が壊れるのを見て、シグマズルカは考える。


「(アネモイは奇跡などではなく、(てき)(かく)に私に攻撃を与えている。

 全ての障害をすり抜ける鱗は、きちんと作用しているのに……)」


 考えている間に、倒されていては意味がない。

 シグマズルカはそう考え、敬愛するマフデルタの剣を持って、剣を振るう。


【【もう……あなたの力は、見切りましたっ!】】


 先程と同じように土塊をこめて、一直線にぶつけてくるアネモイ。

 "あの土塊"が攻撃の要だと判断し、剣で叩き切る。


 剣がぶつかった瞬間、土塊と共に欠片になるのを見て、やはりあの土塊こそが自分に攻撃を与えるのに必要なモノなんだと認識する。


「その土塊が重要だと分かれば、それに当たる前に(しん)(ぞう)を奪い取って、潰すっ!

 ‐‐‐‐《キャッチ・インサイド》!」

【【チェストぉぉぉぉ!】】


 自分に拳を強く握りしめて殴り掛かるアネモイを見て、土でコーティングされていない事を確認して、シグマズルカはその手をアネモイの胸元へと向ける。


「心臓、ゲットだぜぇ!」


 するーりと、アネモイの身体にその手がすんなりと入っていき、心臓へと到達する。


「(‐‐‐‐もらったっ!)」


 心臓に指が届くのを確認するシグマズルカ、その頬にアネモイの拳が彼女の頬にめり込んでいた。


「くふっ……?!」

【【まだ、まだまだぁ!】】


 アネモイは拳を強く握りしめて、先程と同じように殴る。


「ぐっ……!」


 殴る、殴る、殴る殴る、殴る殴る殴る、殴る殴る殴る殴る殴る殴る!


 殴るごとに、アネモイの拳の速さはどんどん速くなる。

 速く、鋭く、アネモイの拳は、シグマズルカの身体に入ってくる。


「なっ、なんで……私の、身体にっ?!」


 どんどん殴られ、鱗が剥がれ落ち、そして血が流れて、体力がどんどんと削られる。

 意識がどんどんと消えて卵に戻りかけているのを感じつつ、シグマズルカは、ようやくアネモイがどうやって自分に攻撃しているのかが理解した。


「‐‐‐‐か、がみ」


 拳から血が流れているのを見て、そして隙間からぽろりと破片が落ちるのを見て、アネモイの手段が分かった。


 ‐‐‐‐アネモイは自分に攻撃するために、自分が使った鏡の欠片を手にして戦っている。


「(私の能力は、私にとっての障害をすり抜けるだけの能力! 障害とは、私にとって邪魔になるモノ!

 壁はすり抜けで通り抜け、空気は余計なモノは通さずに、そうやって障害は通り抜けてきた!

 ----けれども、私の能力で生み出された鏡の欠片、これは障害として扱えなかった)」


 まるで砂の能力者が、水で濡れた手で殴られるというような方法で。

 あらゆる障害をすり抜けるリュウシントである自分が、自らの鏡を持つことで無効化されるだなんて。


 そういう攻略法が、自分にそういった弱点があるだなんて、シグマズルカは知らなかった。

 

「(今からでも、鏡の欠片を障害として‐‐‐‐)」

【【これで、最後だ! ちぇすとぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!】】


 そうしてなんとか変更しようとする中、アネモイの右手が、土によって大きく膨れ上がる。

 先程よりも確実に速く拳は振るわれ、シグマズルカの胸に大きな拳が突き刺さる。


「ぐっ……! こんな、ところで……母様ぁぁぁぁぁぁ!」


 彼女の大きな声と共に、鏡の身体である彼女は遂に割れて、爆発する。

 爆破と共に、アルルカンの基となったレコードとふわふわとした霧のようなモノが描かれた龍の卵、さらに小さな卵の破片が転がっていた。



【【イェーイ! (スバル)(ユカリ)の、姉弟の絆が最強って、やっぱり証明されましたねっ!】】


 アネモイ‐‐‐‐スバルとユカリが勝ち(どき)をあげて、ようやくこの街、ナイトレス・ハーバーシティでの戦いは終わりを迎えたのであった。



「アイ・ラブ・ユー、どうやらシグマズルカちゃんは本当に倒されたみたいですなぁ~」


 遠くから、シグマズルカとの戦いを観察していた聖剣龍オキクロン。

 シグマズルカが倒されたことを確認して、彼女はドローン・アイ‐‐‐‐"映像解析に特化した瞳"を閉じると、背中のプロペラを回して空へと飛ぶ。


「いやぁ、まさかシグマズルカちゃんがやられるだなんてねぇ。彼女のすり抜け能力……かなり脅威だったのに」


 ----だからこそ、"削った"のに。


 マフデルタの計画では、クリスマスの完成を目標として生み出されるはずだった完成系シグマズルカ。

 "相手の大事なモノを奪い取る程度の能力"、それを全身に張り巡らせた無敵の一等級リュウシント。

 相手が自分の鏡の欠片を持っていたとしても、そういう弱点もない、完璧すぎるリュウシント。


 そんなリュウシントが出来てしまうと、自分の立場がなくなってしまう。

 だからこそ、オキクロンはわざとシグマズルカの完成を速めるようにして生まれさせて、シグマズルカの龍の部分を抑えて弱体化したのに。

 後で倒せるように、色々と準備をしていたのに。


「それをわざわざ倒してくれるだなんて、実に都合が良い。アイ・ラブ・ユー、スバルくん、ありがとね」


 心ばかりの感謝を口にしたオキクロンは、自分の手に視線を向ける。

 視線を向けると、手の上にばちばちっと、デジタルの波が生まれているのを認識する。


「‐‐‐‐アイ・ラブ・ユー、実に良い。本当に、実に良い。

 まさかシグマズルカの無敵能力は解析できなかったけれども、その代わりにマフデルタ様と同じ、リュウシント作成能力は出来るようになっているだなんて!」


 マフデルタのリュウシント作成は、光をも吸収するブラックホールで作成しているから、映像として解析出来なかった。

 けれどもシグマズルカの場合は、解析できた。さらに作成したリュウシントに自分の因子を付け加えて、自分のバックアップとして使うだなんて。


「アイ・ラブ・ユー、今はまだこの能力はマフデルタ様には黙っておこう」


 映像解析によって、"出来る"ようにはなったが、まだ完璧ではない。

 これについては、もう少し後で‐‐‐‐もっといいタイミングで、披露すべき。


「‐‐‐‐さて、一回、帰りますかね。

 さてさて、我が愛しのマフデルタ様は、地球侵略担当として生み出した一等級リュウシントが倒されたら、次はどういう手で、地球侵略をするんだか」

【Tips】

〇主役龍シグマズルカ

…ドラバニア・ファミリーの中でも、地球侵略のために生み出された幹部

 相手の人格を奪うだけでなく、対象以外のモノをすり抜ける能力も持つ。弱点は自分の力が宿った鏡の欠片など

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アルファポリスでも、連載中です cont_access.php?citi_cont_id=836368854&s
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