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人間×ドラゴンのハーフの少年、地球侵略ドラゴン達と戦う-ハーフドラゴンのスバルくんっ!-  作者: アッキ@瓶の蓋。


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Fever! Fever! Fever!ー今宵は踊らナイト!ー(後編)

ー前回のあらすじー

 ユカリとマイヨールが、ミラーボール頭のドラゴンに連れ去られました

 ユカリは今、とても機嫌が悪かった。

 その理由は、勿論‐‐‐‐急にやって来て、一緒に戦って欲しいなどと言っている、この超能力者女(トリダシ)の事である。


 この女が来る前まで、ユカリは非常に気分が良かった。

 なにせ、フレアリオンに続いて、ユカリもまた無事に、スバル・フォーデンと合体できたからである。

 

 ‐‐‐‐合体は素晴らしかった。


 アネモイという名前は勿論、気に入っている。なにせ、この"姉"がつくという素晴らしい名前はユカリが考えたので当たり前だ。

 この形態になることで、ユカリは今以上の素早さと風の操作能力という力を得られ、あの金メダル2つ持ちというオキクロンを退けられたのだから。


 オキクロンは、自称"覚"というリュウシント。

 "覚"は相手の思考を読み取る妖怪で、オキクロンもまた、こちらの思考を本当に読んでいるのかと思うくらい、攻撃を的確に捌く強敵であった。

 今まで、その思考を読み取る力のおかげで、オキクロンは倒せなかった。

 

 ‐‐‐‐そう思っていた。


 けれども、アネモイという姿で戦うことで、オキクロンの能力の詳細、そして弱点が判明した。

 オキクロンの相手の行動を先読みする能力は、リュウシントとして基となったドローンの映像解析能力による力だと判明した。

 恐らく、地球よりも遥かに科学技術などが発展した惑星(ほし)のドローンを用いたのだろうけれども、その高精度な映像解析能力によって、相手の一挙手一投足の情報を解析し、行動を先読みしていたのだ。

 正直言うと、それが分かったからと言って、楽に倒せる相手ではない事は確かである。


 けれども、アネモイの目にも止まらない超絶高速移動、大量にして解析を惑わす暴風。この2つを使えるアネモイの力であれば、オキクロンとも互角以上に戦える。

 それだけで、ユカリ的には満足だった。


 その満足を、しっかりと噛みしめたかったのにぃ!


「(この人が来たせいでっ!)」


 きりっと、ユカリはマイヨールに視線を移す。


 こいつが、リュウシントなんかに街を乗っ取られてさえしてなければ、スバルと共に、他の2人とゆっくり出来たのに。


「……? なにかあったんですか、ユカリさん?

 今、スバルくんが耳で情報を聞いているみたいなんですけど……」


 なんでこっちを見ているんだと言わんばかりに、マイヨールはユカリの事を見つめてくる。

 ユカリは彼女に対して抱いている心がバレないようにするために、作り笑いを、ニコリとマイヨールに浮かべていた。


「‐‐‐‐いえ、別に。今は、スバルくんの情報収集を待ちましょう。

 (と言うか、それくらい! スバルくんの事を知っている私は知ってますよーだ!)」


 ふんっと、鼻息で返事をするユカリ。

 そして、スバルの横でどんな感じなのかと迷っているエクレルに向かっていた。


「(だいたい、エクレルもエクレルですよ! すんなりとドラゴンでもなんでもない、チキンスープ女なんかを許しちゃって! 龍としての誇りと言うのはないんですか、まったく!)」


 勝手に、エクレルに対して八つ当たり的な文句を言いつつ、スバルの視線の先に、ユカリは視線を向ける。


「(あれが……新たなリュウシント、のようですね。龍の気配は感じますが)」


 視線の先、そこには右半分が仮面という少女の姿があった。金メダルを首から下げている事から見ても、恐らくは幹部クラスのリュウシントである事は確かである。

 ユカリの感知能力によると、龍としての力は感じるのだが、非常に微弱である。これで幹部なのか、と思うくらいの微弱さ。


「(けれども、金メダルならば油断せずにいきましょう。

 消滅弾丸と空間移動の金一のマフデルタに、映像解析による相手の行動予測の金二のオキクロン……それを考えれば、あのシグマズルカなる龍にも厄介な能力が‐‐‐‐)」


 しっかりと、そういう情報整理をしていた時だ。


「イェェェェェェェェェ‐‐‐‐‐‐ィ! フィィィィィィィバァァァァァァァ!」

「‐‐‐‐スーちゃん?!」


 いきなりスバルが、奇声をあげたのは。


「なに?! いきなり、()(せい)が聞こえたんだけど?!」


「‐‐‐‐どうやら、気付かれてしまったようですね」

「~~~~っ! あんたに、言われなくても分かってますって!」


 ユカリは苛立ちながら、立ち上がる。



 ユカリ達が隠れていた場所から出ると、シグマズルカは「あなた達でしたか」と納得したような声を出す。


「今から行こうとしていた、龍の者達……我が敬愛するマフデルタ母様の(てん)(てき)ではありませんか。本当に、(ほん)(とう)に、都合が良いですね。

 こちらから出向く手間が省けたという訳ですか。そうですね、紹介も出来ますし」


 と、シグマズルカは横にいる、新たなリュウシントを紹介しようとする。


「イェェェェェェェェェ‐‐‐‐‐‐ィ! フィィィィィィィバァァァァァァァ!」


 それよりも、ユカリ達からして見れば、横で興奮したかのようにはしゃいでいるスバルに、どうしても視線が向いてしまうのだが。


「イェーイ! 盛り上がって、いかナイト! やっぱり、そうでないとつまらナイト!」


 シグマズルカの横にいるのは、頭がミラーボールな龍人間である。

 頭がギラギラと光り輝く銀色のミラーボールになっているという不思議な姿で、胸には龍のような恐ろしい顔が紋様として浮き出ていた。

 七頭身の人型の身体には銀色の蛇龍が巻き付いており、両方の手の甲には龍の顔がくっきりと付けられている。


「オー、イェー! 紹介させてもらおうジャン! オレッチ、霧龍のリュウシント! 名前はなんと、【鏡暴龍(ミラーボーリュウ)アルルカン】って言うジャン! 気軽に、アルって呼んで良いぜッェーイ!」


 長い尻尾をぐるぐると動かして、アルルカンと名乗ったミラーボール頭のリュウシントは、くるくるとその場で回転して、シグマズルカにWピースを向けていた。もぅ、大声で元気良さそうに。

 ついでに言うと、身体のどこからか分からないがアップテンポな音楽をガンガンと鳴り響かせているせいで、聞いているこっちが倒れそうになるくらい。


 それに対して、声をかけられたシグマズルカは、どことなく無表情で、カチコチに固まった顔でアルルカンの方を、無機質に見ていた。


「……アル、げんきだねぇー(棒)」

「そーいう、シグマズルカ様はぁ、元気ないねぇー! テンション爆上げで言っちゃおうぜッェーイ!」


 アルルカンははしゃぎ、シグマズルカは冷静に。


「で……あなた達は、どうするつもりですか?」


 と、そのまんまの口調で、シグマズルカはユカリ達の方を向いていた。



 ユカリ達はと言うと、未だにはしゃいでいるスバルをどうしようか、困り果てていた。


「イェェェェェェェェェ‐‐‐‐‐‐ィ! フィィィィィィィバァァァァァァァ!」

「スーちゃん! 早くっ! 早く元に戻って!」

「スバルくん! 起きて、起きてぇ!」


 スバルは今もなお、奇声を叫び、うまくもない踊りを踊っている。

 また、スバルと同じく、あの場にいた反逆者の人達もまた、スバルと同じように踊っている。


「……察するに、そこのミラーボール龍の能力、って所でしょうか」


 ひゅーっ、とマイヨールは、自分の武器であるヨーヨーに光を纏わせ、身体から音楽を鳴らすアルルカンに向かって放つ。

 アルルカンは「ひぃぃっ! ほぉぉぉぉ!」と変な悲鳴をあげ、ヨーヨーの前にシグマズルカが立つ。


「‐‐‐‐龍の手盾」


 ヨーヨーの軌道の前に出たシグマズルカの柔肌のような白い手に、龍を思わせるごつごつとした鱗が表面に現れ出でる。ごつごつとした鱗が、マイヨールのヨーヨーは弾いていた。


「イェェェェ! シグマズルカ様、感謝感激、雨あられでイェェェェイ!」

「……もうどうでもいいから、あのうちの2にんをたおして。ばしょをかえて(棒)」

「棒読み指令を、アルが了承で、イェェェェェ!」


 嬉しそうに了承するアルルカンから音楽が止まると、今度は身体から翼が生え、そのまますごい勢いで飛んでいく。

 地面の上すれすれを高速で飛ぶアルルカンは、お尻から出てきた尻尾でマイヨールとユカリの2人を掴み、そのまま街の奥深くに飛んでいく。逃げ出そうとする2人ではあったが、しっかりと


「……ユカちゃん! マイヨルちゃぁぁん!」

「イェェェェェェェェェ‐‐‐‐‐‐ィ! フィィィィィィィバァァァァァァァ!」


 残ったエクレルは、今もなお踊り狂うスバルを見つつ、シグマズルカをキリッと見つめていた。


「(私が! スーちゃんを守るんだから!)」


 そう心に決めるエクレルは、シグマズルカが次にどう攻撃しても良いように、見極めつつ、雷の準備をしていた。

 雷を作って戦う準備万端と言う様子の彼女に、シグマズルカは優しく声をかける。


「‐‐‐‐ねぇ、このままドラバニア・ファミリーに、反逆(はんぎゃく)(しゃ)として寝返りませんか? そこの雷龍のお嬢さん?」



「盛り上げフィーバァァァァ!」


 アルルカンが盛大に叫びつつ、ユカリとマイヨールの2人は尻尾に巻かれる形で空を飛んでいた。

 どうやら、あの時のシグマズルカの命令通り、別の場所で戦うのを待っていた。


 マイヨールは逃げようとヨーヨーに光を纏わせるも、下を見て、この高さで落ちたら怪我をすると考え、今、事を起こすのは危険だと考えて、場所から待っていた。

 ユカリもまた、それと同じくアルルカンが場所を変えるのを待っていた。彼女の場合は、このミラーボール龍を倒して、スバルを元に戻そうとする義務感もあったが。

 ----そもそも、ユカリとマイヨールの2人はしっかりと尻尾で巻きすぎているために、指一本、動かせないんだけれども。


「おっ、見えてきたんじゃナイト!」


 アルルカンがそう言って、ゆっくりと2人を地面へと下す。いともあっさりと、介抱した。

 2人が下ろされた先は‐‐‐‐ダンスステージ。銀に彩られたミラーボールが眩しい、神々しい光の舞台。

 マグマなどが渦巻く地獄のようなこの街中で、大都会にでも見たことがない、作られたことがないような、屋外用のキラキラとしたダンスステージ。その上に、何百人もの人間がただただ、踊り狂っていた。


「ふぅっ! 盛り上がっていきまショータイム! レッツ、ミュージック・スタートぉぉぉぉ!」


 銀色のステージ上でぱちんと指を鳴らすと共に、銀色ステージに先程と同じく軽快な音楽が流れ始める。

 

 楽し気な音楽がユカリとマイヨールの耳に響く。アルルカンは音楽に合わせて踊っていたが、ユカリにはただ楽しいだけの音楽でしかなく、なんでいきなり音楽をかけたのかが分からなかった。


「……いきなり音楽。なんですかこのリュウシントは……まぁ、とにかく戦う気がないなら、さっさとエクレル達の所に戻りましょうか」


 今の今まで、黙ってこのアルルカンに付き従っていたのは、こいつがどういうリュウシントなのかが全く読めなかったからである。

 いきなり踊り狂っていたスバルを始めとする人達の事もあったが、このアルルカンに殺気とか、戦う気が一切、感じられなかったからである。


 ----ただただ楽しく、踊ろう。


 そういう気持ちしか、アルルカンから感じ取れなかったのである。


 今もなお、アルルカンは嬉しそうに、楽しんで踊っているに過ぎない。

 「フィーバァ! フィーバァァァァ!」と、そりゃあ、もう楽しそうに。


「(‐‐‐‐まぁ、そもそもがリュウシントってそういう者達ですからね)」


 生まれ持っての侵略種族でありながら、自分達の好き勝手に出来ればそれで良い。それがリュウシント。

 そもそも戦闘なんてしなくても良いのだ、ただ単に自分達が暮らすべき場所さえ確保できれば良いというのが、リュウシントという種族なのである。

 このアルルカンがその代表格、"ただ踊り狂えばそれで良い"。それを地で。


「まぁ、それならば、一気に倒しますか。

 ‐‐‐‐さぁ、マイヨールさん。一応、あなたも戦力として数えますので、共に戦いましょう」


 金メダルと言うシグマズルカに対して、あちらには踊り狂うスバルと雷頼りのエクレルだけ。

 エクレルだけだけで、あの金メダルのリュウシントと渡り合えるとは思っていない。だからこそ、こんな踊っているだけのバカと戦うなんて、そんな疲れるだけの事はしたくなかった。


「イェェェェェェェェェ‐‐‐‐‐‐ィ! フィィィィィィィバァァァァァァァ!」

「‐‐‐‐って、なんでマイヨールさんまで踊ってるんですかっ!」


 いつの間にか、ステージ上で踊っているマイヨールに、ユカリはツッコミを入れていた。




「‐‐‐‐シグマズルカ様に生み出されました、【首無】の鏡暴龍アルルカン!

 能力は単純明快ぃぃぃぃ! レッツ、ゴー・フォー! "音楽で聴いた人を踊らせる"!

 あなた達は、そのまま、私と共に踊りま、ショォォォォォタイムゥゥゥゥゥゥ!」


 ‐‐‐‐そう、永遠に。

【Tips】

〇妖怪/首無し

…首が長く伸びる「ろくろ首」の一種で、この妖怪は首がなく、自由自在に首を宙に舞わせる。別名は「抜け首」

 鏡暴龍アルルカンはミラーボールの頭を自由自在に飛ばし、周囲に光を与えて雰囲気を演出する

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アルファポリスでも、連載中です cont_access.php?citi_cont_id=836368854&s
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