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人間×ドラゴンのハーフの少年、地球侵略ドラゴン達と戦う-ハーフドラゴンのスバルくんっ!-  作者: アッキ@瓶の蓋。


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Father And Son ーダットンとスバルー

ちなみにダットンとは、最初の方で出てきたスバルくんの父の名前です(忘れている人用に

 ‐‐‐‐全ては順調に進んでいた、多分。


 僕はマイヨールと共に、フレアリオン達が購入した家で集まっていた。

 マイヨールとマヌス----フレアリオン、ユカリ、エクレルの顔合わせのためである。


 異能力者マイヨール・ロスチャイルドと僕達マヌスとの顔合わせは、割かし順調だった。

 マイヨールが抱く「人を助けたい」という想い。フレアリオンやユカリ、それからエクレル達3人が抱く「この世界を自分達好みに変えようとするドラバニア・ファミリーを倒したい」という想い。

 この2つの想いは非常に良く似ている。

 だから打ち解けるのも割とすんなりと言った。



 後、ドラバニア・ファミリーを許せないというのも、僕達の共通認識となっていた。

 当初は、マイヨールのその想いはかなり薄かったんだけれどもーーーー


「……ほう、マイヨール・チキンスープ・ロスチャイルドか」

「お゛い゛、ごら゛、赤い蜥蜴野郎! なんでその忌々しい食べ物の名前をミドルネームみたいに使いやがる!

 私は、マイヨール・ロスチャイルド! チキンスープは関係ないっ!」


 今の今まで仲良さげに話していたのにも関わらず、マイヨールはフレアリオンの顔を親の仇のような目で見ていた。

 どうもあの一件以来、彼女の中では"あの言葉(チキンスープ)"は禁句扱いになったみたいである。


「調べてみましたが、トリダ……例の、マフデルタが言っていた妖怪について」


 ユカリはなぜこういう状況になったのかを知るために、図書館で妖怪大辞典とかなんやらを借りてきて調べたらしい。

 それを説明しようとして、例のあの言葉を口にしかけて、マイヨールに物凄い感じで睨まれていた。ユカリにしてみれば、ただの親切心だったのに、これではあんまりだろう。


「九州地方に伝わる、憑き物の一種で、女性や正直者などに憑りついて神通力を与える……というモノだそうで。

 恐らくはあなたはUFOで手術を受けて力を得たのではなく、UFOでなにかを植え付けられた、憑りつかれたのではないでしょうか? ねぇ、スバルくん?」


 いや、ユカリよ。なぜ、そこで僕に話題を振るのか。


「なるほど。今まで私は、UFOで手術を受けて力を得たと思っていましたが、どうやらなにかを憑りつかれたのですか。

 まぁ、確かにちょっとばかり、コウフジンに注目しすぎてましたが、気付かないうちに自分でも気づいていたのかもしれません。親近感があって、コウフジンに共感があったかもしれません。‐‐‐‐まぁ、それでもチキンスープは嫌ですが」


 と、いまだに納得いってないという形のマイヨールだったが、一応、納得したようである。

 そして、納得した後、「ところで」と、ユカリと向き合う。


「どうして、私に聞かないんですか? 風龍ユカリ」

「……ふーん、だ」


 と、マイヨールを分かりやすく無視するユカリ。そしてそのまま、危険から身を守るように僕をむぎゅーっと抱きしめる。


「言っときますけどねっ! 私は、まだあなたのことを完全に信用したわけじゃないんですっ! むしろ、バリッバリッに警戒してます!」

「あなたの事は聞いています、元はドラバニア・ファミリーだったけれどもスバルの母に感銘を受けて仲間になった者。そういうあなたこそ、私のように他の組織からの受け入れを快く迎え入れるべきだと思いますが?」

「‐‐‐‐それですよ」


 ユカリはじとーっと、マイヨールを睨みつける。

 僕が彼女の胸のなさに幻滅しているのを知ってか知らずか、先ほどよりも心なしか、抱き着く力を強めながら。


「あなたの提案はこう。同じくこの地球を守る者として、ナイトレス・ハーバーシティのチームから私達のチームに協力者を貸し与える。期限は無期限、正義に宇宙人やら人外やらの垣根はなし、とのことですが」

「えぇ、私は向こうのチームの何人かいるうちのリーダーの1人でして、チームメンバー全員をこの街に呼び寄せることは出来ない。けれども、1人くらいならなんとか融通できるほどの権限はあるのですよ。中学生ながら、もっと年上の大人だろうと」

「ユカちゃん、何を言ってるの? すっごい、良いことじゃない! 仲間が増えるんだよ!」

「お気楽なエクレルちゃんは黙っていてください」


 一睨みで恫喝されたエクレルは「ひぃ~!」と悲鳴をあげて、僕に抱き着く。ユカリとは逆のほうを。

 エクレルが抱き着くとむにゅんっと大きく揺れ動くあれが僕の身体に感触を与え、それとは逆にユカリの方は……虚しさを感じるばかりである。


「私が! 知りたいのは! あなたがどうやって! そう、どうやってです! どうやって、私達の情報を知りえたのかということ。

 あなたの情報はあまりにも正確で、なおかつ細部まで正しい。ここまで正確となると、アレが居るとしか思えない。内通者(スパイ)という」

「スパイ……か」


 フレアリオンはそう一言呟くと、「どうなんだ?」とマイヨールに話しかける。


「‐‐‐‐えぇ、私はとある人物から情報提供を受けています。その人からは正義の集団と聞いていましたが、確証はなかったのですが、あの時、あなたは私を守るときに、力を使いました」


 と、マイヨールは手を差し出す。


「見知らぬ相手に対して守るという選択肢が出来るあなたを、私は信用します。

 ‐‐‐‐ですので、私の事も信用してほしいのです。私は、純粋に、あなた達と協力したいのです」

「嘘は言ってないっぽいよ、皆! 仲間が増えるのは良い事だよ、協力しようよ!」


 エクレルがそう言って、まず僕の、そしてユカリ、エクレルの順番に手を取って、うるうるとした涙目でこちらを見ていた。

 

「フレアリオンさん……」

「……まぁ、エクレルの言うことも正しい。ここは協力すべき、だろう」


 ‐‐‐‐こうして、僕達はマイヨール達と手を組むこととなったのであった。


「ところで、本当にどこから情報を?」

「しつこいですね。……まぁ、どこからと言われれば、その情報相手はもうすぐ来ます」


 来る? いったい、誰が?


 ‐‐‐‐今、こちらに向かってくる相手は、"アイツ"だけだが。


「あぁ、来たようですね」


 と、マイヨールはそう言って、


「‐‐‐‐やぁ、マイサン! どうやら会えたみたいだね、マイヨルに!」

「この方が、私に情報をくれた方。ダットン・フォーデンさんです」


 内通者として、僕の父を紹介したのだった。



「話を聞いてほしいんだ、マイサン!」

「そうかい、残念ながら僕にはないけど」


 マイヨールが帰った後、父はさっきまでの余裕そうな顔を止めて、必死そうな表情で詰め寄ってきたのだが、僕は相手にしない。


 なにせこの父親は勝手に色々と仕出かしたから。

 まず最初にナイトレス・ハーバーシティの異能力者集団、そのリーダーの1人であるマイヨール・ロスチャイルドに連絡を取って、勝手にこちらの情報を暴露。

 そして協力関係を勝手に取り付けた。


 正直、マイヨールがただの悪い奴だったら、こちらの情報を抜き取られていた。

 そして、攻め込まれていた。


「ダットン、あんたがやった行為は、下手したら僕達を滅ぼす決め手になっていたのかもしれないんだ。それは分かってるのか?」

「ちっ、違うんだ、マイサン。俺の話も聞いてほしいんだ」


 と、ダットンは自己弁護を始める。


「俺はな、マイサン……お前の力については認めている。別にそれについては心配してないし、存分にこの地球を守ってくれ。

 ‐‐‐‐だけどな、父さんは心配なんだ。お前の仲間が、龍だけなのが」


 「俺は母さんを知ってるから」と、ダットンはそう言う。


「俺と母さんーーーーマグノリアとは、ロミオとジュリエット以上に運命的な出会いをして、そして恋に落ちた。俺と母さんはほぼ三日三晩愛し合いーーーー」

「そういう両親の夜の話はやめてくれ。はっきり言って、聞きたくない」

「そうか、結構、重要な話なんだが……マイサンが言うなら、仕方がないな」


 そこで、もし仮に重要だったらどうだと言うのだ。

 正直言って、僕はそういう話だった場合は、親子的な縁を切ってもいいと思っているんだけれども。


「そして、普通の子供より三月早く生まれたのが、お前だったんだ。俺は正直思ったよ、どこのフルー〇バスケットだよ、ってね」

「細かいネタは良いから。と言うか、それでわかるのか?」

「リメイクもあるから、大丈夫。大丈夫」


 まぁ、そんな風に生まれた僕、みたいらしい。

 そして父さんと母さんは、生まれた僕と共に仲良く暮らしていたらしい。


 ‐‐‐‐数年は。


「‐‐‐‐けれども、母さんは消えた。俺に何も言わず、マグノリアは消えた。俺は必死に探しまくったが、手掛かり一つ、書置き一つ見つからなかったよ。

 それから数年後、母さんの知り合いだという龍が来た。そいつも消えた。勿論、何も言わずにな。

 分かるか、マイサン? 俺にとって、"龍"ってのは、"勝手に消えていなくなる存在"って事だ」


 そう言いながら、そっと僕の肩に手をのせるダットン。


「だから俺は、龍だけが仲間なのが心配なんだ。いつか、今度はお前を連れて消えるんじゃないかって。

 マイサン、お前は龍じゃない。龍である以前に、人なんだ」


 ‐‐‐‐だから、今度こそ、俺を1人にしないでくれ。


 ダットンは痛烈に、僕にそう語る。





 僕は何も言わずに、ダットンの手を振りほどいた。


「そんなの、"知ってるよ"」


 こっちは母親譲りの龍の耳のせいで、どんな小さな声だって聞こえてしまうんだ。

 そっちは隠したかっただろう、そういう本音だって、僕は何年も前から知っているんだから。


 僕がダットンが嫌いなのは、そういうのを、直接言わないから嫌いなんだ。

 陰でこそこそと言われる以上に、僕が苦手なものなんてないんだから。


 僕は皆、マヌスの皆の方に向かって歩いていく。

 後ろでダットンがなにか言っているのを、聞こえないふりして。



 ‐‐‐‐全ては順調に進んでいた、多分。


「はぁはぁ……痛いなと、胸が」


 "胸が痛い"、こんな単純なことすらもまともに言えずに、足をひきずりながら歩くその者の名は、足手龍アールスマグナ。

 魔性龍コウフジンに身体を乗っ取られて戦わされていた、リュウシントである。


 ビルも見えないような草木が生い茂るとある山で、かのリュウシントはしぶとく生き残っていた。


 骨龍の卵が出たため、倒されたとスバルとマイヨールの2人は騙されたようだが、あの卵はただそれっぽく飾っただけの偽物。

 アールスマグナはと言うと、自身の能力を駆使して、しぶとく生き残っていた。


「辛いのよ、動くのが。それなので行使しよう、能力を」


 そう言いつつ、アールスマグナは自分の身体から骨を1本引き抜くと、それをポイッと前に投げる。

 骨が数メートル前に落ちたのを確認するや否や、途端にアールスマグナの身体が消える。代わりにアールスマグナのいた場所には1本の骨が、そして数メートル先の骨が落ちていた場所にアールスマグナの姿があった。


 "位置交換"、それがアールスマグナの能力である。

 今はこうして骨を前に出して位置を変えて前に進むを繰り返しているが、本来は触れた人間の手と足を入れ替えて動けなくするという、凶悪な能力の持ち主である。


 それ故に、コウフジンを助けられると、マフデルタは送り出した訳なのだが


「まさか、利用されるとは。助けるはずのコウフジンに」


 ----結果はアールスマグナも、そしてスバル達も知っての通り。

 彼の身体はコウフジンに利用されて、"空気とガラスの位置を変える"という方法にて光を曲げる手助けと、身体中の骨と言う骨を発射されるという事態を引き起こしただけだった。


 逃げられはしたものの、アールスマグナの身体はボロボロ。

 大量の骨を体外に出した影響なのか身体中の節々が、彼の身体がいかに危ういかを知らせてくる。


「早く会いませんと、マフデルタ様に」


 と、目的の場所まで行こうとしたその時である。


「やぁやぁ、君もマフデルタちゃんの所に行こうとしているのかい?」

「……!? 誰?!」


 アールスマグナの目の前に、1人の青年が現れた。いや、どことなく丸みがあるボディのため、女であることが分かるも、それがなければ女だと分からなかったくらいだろう。


 キリっとした切れ長の藍色の三つ目に、先に行くほど白くなっている黒髪のポニーテール。電子的な緑と青の配線が施された黒のジャケットを羽織っており、背中に黒と白の2本の長刀を差している。

 そして良く観察すると、頭に黄色い2本の龍の立派な角が生えており、そして首から----


「……!? 黄金のメダル?!」


 ‐‐‐‐リュウシントの最上位を意味する、金色のメダルをかけていた。


 そうと分かれば話は別である、アールスマグナはササっと痛む身体を酷使して平伏していた。


「すっ、すいませんっ! 知らないで、あなたが上位とは!」

「大丈夫だよ。私はリュウシントの中でもとりわけ、龍らしさが足りないので有名だからね。一応は最高幹部である我にこういう態度は不遜かもしれないけど……」


 ポニーテールの2本角のリュウシントはそう言って、ぽんぽんっと、頭を撫でていた。


アイ(I)ラブ(Love)ユー(You)、我は君を愛している。この世界の生きとし生ける全てを、等しく、均しく、我はすべてを愛している。だからそういう態度も許そう。

 我は博愛のリュウシント最高幹部の1人、雷を操る雷龍。その名も【聖剣龍オキクロン】と申すものなり」

「オキクロン……さま……」


 アールスマグナが小さくつぶやくと、オキクロンと名乗った彼女はニコリと笑っていた。


「‐‐‐‐さて、我はこの地球を我らドラバニア・ファミリーが住むのに相応しい地にしようとしているマフデルタちゃんに協力するために来たんだ。

 ぜひ、博愛の意思を持つ我に、マフデルタちゃんのところに案内してもらえるかな?」

「うっ、うんっ! マフデルタ様は----」


 と、アールスマグナが言いかけると、オキクロンはアールスマグナの口を押えていた。


「大丈夫だ、それだけで理解できたから。"向こうの山の洞窟の中にある、闇の狭間の穴に入れば会える"だね」

「なっ----!」

「"なんで心の中が読める"とか、思った? マフデルタちゃんは我の事を"覚のオキクロン"とか言われたけれども、こんなのはただの表情と、行動と、その他もろもろを駆使した、読心術の一種さ。

 そんなすごいモノなんかじゃないから、安心して良いよ。アールスマグナ?」


 アールスマグナは怯えていた、心が読まれたからではない。

 なにせ、"自分の首をものすごい力で掴まれていた"から。


「‐‐‐‐!!」

「"なんで殺そうとしている"って? そんなのは些細な事だ、さっきも言っただろう? 全てはアイ・ラブ・ユーさ」


 アールスマグナは意味が分からないと言葉にすることも、思うことも出来ずに、そのまま、オキクロンの手で、卵に戻された。


「いや、殺されたっていうべきかな」


 骨龍の卵をしまったオキクロンは、彼の思念から見えたマフデルタへの道へと進んでいく。


「さぁ、マフデルタちゃんの所に行こうかな。この世界を、一応は我らの元に。

 アイ・ラブ・ユー、我は全てを、そう我以外の"弱者"を愛して、愛して、愛している。リュウシントも、マヌスも、この星に住まう者も全てだ。愛しているからこそ、この世界を我という強者が愛してあげよう」


 オキクロンは、アールスマグナを卵に戻した。殺した。

 だけれども、これもまたオキクロンの愛である。アールスマグナの身体は限界だった、治療すれば助かったかもしれないが、それでもあのまま生かしておくのは、苦しませるのは、彼女の愛的にあり得なかった。

 苦しませないように殺した、それがアールスマグナという骨龍に捧げる愛の形である。


 時にはその人を殺すこともいとわない、愛情の持ち主。

 むしろいたぶる事こそが、愛情であると信じている、愛の信仰者。

 それが、金色のメダルというリュウシント最高幹部、聖剣龍オキクロンである。


 歪んだ思念の持ち主、オキクロンはと言うと、ニヤリと不気味な笑みを浮かべながら、マフデルタとの邂逅を楽しみにしていた。

 今度は、どうやって"愛そう(いたぶる)"かを考えながら。

【Tips】

〇妖怪/がしゃどくろ

…古来より戦はこの日本で多く行われてきたが、この妖怪は戦などで死んでしまった人間の未練や後悔などが寄せ集まることで、巨大な妖怪として猛威を振るうとされる

 死者を弔うという行為は、生者と死者との別れであると同時に、こういった妖怪を生み出さないための行為でもある

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アルファポリスでも、連載中です cont_access.php?citi_cont_id=836368854&s
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