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風
憂鬱な私は,俯いて歩く。
なのに,風は優しく通りすぎた。
前髪が流され,目の前には『何とかなるさ』と。
訴えている街並みが,広がる。
もう乾いた笑いしか出てこないと言うのに。
それでもこの世界は私に生きろと。
そんな残酷なことを伝えてくるんだ。
どう生きろと言うんだ。
この希望の無い世界で。
真っ暗に閉ざされた世界で。
ならもう一度だけ生きてみよう。
その気持ちでさえ何度沸き立ったのか分からない。
けど言えることは
私は生かされてこの世界に浸っている事だ。