ナンパ野郎
「今日はちょっと遅かったね。」
「あぁ、これ今日の分。」
俺は財布から30万取り出して渡した。
「・・・やばくない?多少減っても月500万以上だよ。1年で6000万だよ?半年で家買えちゃうよ?」
「そうだな。もっと稼げるようになるだろうから1か月で家買えちゃうかもしれないな。」
「やばいね。探索者。」
本当はもう安い家なら買えてしまうくらいは稼いでいるのだが、もうちょっと貯まったら打ち明けて驚かせてやろう。
「たまには寿司でも食いに行くか。」
「え?いいの?」
「こんくらい稼いでれば、いいだろう。」
俺達は車を走らせて近くのチェーンの回転寿司に向かった。本当は回らない寿司屋でもいいくらいなんだが、近くにあるのを俺は知らなかったからだ。
「おっすしーおっすしー」
しろもあおもご機嫌だ。いつもより高めの寿司を食べて、満足して帰った。
次の日、協会へと足を運ぶ。受付には弥生がいた。が、弥生のところには別の男がいて、話しかけているようだった。
「なぁなぁ、いいだろー俺けっこう金持ってるんだぜ?飯くらい付き合ってくれよ。」
「ごめんなさい。立場上、そういうのはお断りしてるので。」
「プライベートでいいんだよ。プライベートで。連絡先教えてくれれば、連絡するからさ。な?いいだろ?」
「無理」
ふむ、ナンパか。弥生はきつそうではあるが、美人だしおかしくもないだろう。と、ここで弥生が俺に気付いたようだ。
「あ、ダーリン!今日も来てくれたのね!」
「「は?」」
男と声が被る。
「と、いうことでごめんなさい。あなたの誘いにはのれないの。」
なるほど、そういうことね。
「悪いな。俺の女に近づかないでくれるか?」
「あ?お前も探索者だろ。しかも見たことねぇな。ルーキーか?あんまり調子にのるんじゃねぇぞ。」
「お前って呼び方は感心できないな。初対面なんだからせめてあなただろう。教養もない男は女から嫌われるぞ。」
「・・・っち。てめぇ覚えてろよ。ダンジョン内では死亡事故が多いんだ。それが魔物か人間かなんてわかりゃあしねぇんだからな。」
男は悪態をつきながら協会から出ていく。ありゃあ小物だな。相手にする価値もない。
「ごめんなさい。助かったわ。あなたが空気を読んでくれる人でよかった。」
「そりゃああの状況じゃな。よく絡んでくる奴なのか?」
「何回か買取の担当しただけよ。」
「ふーん。」
「これから潜るの?」
「あぁ、顔出して、依頼があれば受けようと思ってな。あいつは強いのか?」
「前の時は2層のドロップ品持ってきてたから、そんなでもないと思う。」
「そうか。まぁいいや。なんかいい依頼ある?」
「勝手に見てきなさいよ。」
「それもそうだな。」
うってかわってなかなかの毒舌だった。そういうところがいいんだよな。あんな小物についていくような女じゃないわな。
俺は掲示板を見る。ジャンボイの魔石のかけらという買取価格200%増の緊急依頼があった。昨日は会わなかったので、3層以上の魔物だろうか。俺は弥生に聞いてみることにした。
「ジャンボイって何層の魔物だか知ってるか?」
「2層のボスよ。行くの?」
「あぁ、緊急ってことだし、うまい依頼だろ?」
「まぁね。ただ総ステータス40以上が最低ラインよ。いけるの?」
「それは武器や防具の効果込みか?」
「そうね。」
「じゃあ100はあるから余裕だな。」
「・・・え?」
「んじゃ行ってくる。」
「あ、うん。」
弥生はビックリしたのか、きょとんとしていたが、気にせず向かうことにした。




