麻雀対決
打ち合わせ通り雀荘には角田さんが最初に入る。
時計を確認し、5分ほどしてから俺も入ることにした。入るとまず、店員がいて、話しかけられる。奥に卓があり、入口からは見えない造りになっている。
「いらっしゃいませ。当店は初めてですか?」
「はい。」
「先にルール説明をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「はい、よろしくお願いします。千点5000円のウマが10・20ポイント、30000スタートの30000返しで、チップ等はございません。トビ賞がトんだ方がトばした方に10ポイントです。アリアリで、役満祝儀がロン20万、ツモ10万となっております。で、基本的にローカル役は採用しておりませんが、シーサン2役は役満で採用しています。人和は5幡、その他は同一役でのダブル役満はありませんが、2つ以上の役満が同時成立した場合はダブルを認めています。」
トんで大体40万くらいか。前の職業ではまったく手が出ないな。
「わかりましたお願いします。」
「では、一旦100万を保証としてお預かりします。」
俺は念のためと500万ほどおろしておいたため、そこから渡す。角田さんもある程度ないと、ということで、同じく500万、計1000万もってきている。
「では、奥の席にどうぞ。」
店員に案内され、奥の部屋に向かう。
「おー久しぶりにこんな時間にメンツ揃ったな。って、てめぇ見たことあんなー。」
「あんたは、この間の・・・。」
そう、そこにいたのはこの間のナンパ野郎だった。
「ルーキーにここのレートで打てるほど金あんのか?それともあの女に貢いでもらってんのか?あぁ?」
隣の連れと思われる男も笑っている。
「それはないな。まぁよろしく頼むよ。」
「・・・てめぇ名前は?」
「四井だ。よろしく。」
「俺は山田だ。お金ありませんって泣きつかないでくれよ。最悪あの女回すんならチャラにしてやってもいいがな。」
山田という男は下品に笑う。よし、やっちまおう。
「四井さんよ。馬身でもやるかい?」
「とりあえずは様子見てからでお願いします。」
「なんだよ。ビビりくんかよ。金はちゃんとあんのか?」
俺は黙って残りの400万をさいどテーブルに置く。
「おーおー金もってんな。じゃあ多少はやっちまってもいいな。」
そして対局が始まった。俺は最初ヒラで打つ。東家が俺、南が角田さん、西が山田、北が連れだ。
東場は特に動きもなく進んでいった。相手もヒラで打ってるのか、小さい手をあがって力量を見ているようだった。南場に入り、俺の親が山田のノミ手で流される。角田さんの親も同じく連れがノミ手で流す。現在の点が俺27800、角田31000、山田30500、連れ30700でほとんど差が無かった。
「おー誰かがでかいのあがれば、一気に決着となりそうだなー四井さん大丈夫かー?ラスだぞー?」
俺は山田の発言を無視する。
山田は舌打ちしながら親番を開始。
「キテる、キテるなー。」
山田はニヤニヤしながら手牌を動かしていく。
「リーチだ!」
スキルを使ったようだ。どんなスキルなのかはわからないが、捨て牌的に萬子の染め手だろうか。
「一発ツモ!」
上がったのはリーチ、一発、ツモ、混一色、役牌、ドラ1で倍満だ。
現在の点が俺19800、角田23000、山田54500、連れ22700だった。
「一本場だな。」
またも萬子に染めているような捨て牌だ。流れが萬子に傾いているのだろうか。
俺が溢れた三萬をきると声がかかる。
「ロン!18300!」
5巡目にして面前の清一色が出来ていた。他に役はなかったため、跳満で済んだ。2局連続で萬子の染手とは、運を操作するというよりは萬子に関係がある能力かもしれないな。
「さて、あと1500じゃ何もできないでちゅねー。」
「・・・強いですね。」
俺は悔しそうな演技をする。あくまで演技で、煽るだけじゃ調子に乗らせてレートアップに乗ってこないかもしれないからだ。
結果、俺はその半荘はトビ、-2000だったので、-62ポイントなので、-31万だった。その後も、2半荘ラスが続き、-75万ほどになった。そろそろ切り出すか・・・。
「うわぁ・・・やばい。見え張ってお金借りてやるんじゃなかった・・・。どうやって返したらいいんだ・・・。」
「はぁ!?お前あんなにイキってたのに借りてきた金なの!?バッカじゃねぇの!」
ゲラゲラと山田が笑う。
「山田さん。これ取り返すにはレート上げるしかないんですよ。どうですか?となりのお二人も?」
「あぁ!?レートをあげるだ?」
山田がすごむ。やばいバレたか。
「いいぜ!何倍でやる?どうせ返せない金なら10倍くらいで勝負してみるか!?四井さんよぉ?隣が受けないなら俺だけ馬身で受けてやるぞ!?100万くらいでいいか!?」
山田が完全に調子に乗っている。疑いもしてないようだ。
「俺はかまわねぇよ。」
「いいですよ・・・。」
角田さんと連れの男も了承する。
「じゃあ一応、何回戦やるかだけ決めておきませんか?山田さん強いので、俺がたまたま勝っても何回もやったら負けちゃうと思うので。」
「そうだな・・・あと400万くらいしかないんだもんな。レート10倍じゃ2回くらいで0かもしんないもんな。まぁ足りない分は貸しておいてやるから、3回で終了にしようか。」
貸しておいてやるとは優しさを発揮するなぁ。完全に弥生を狙ってやがんな。糞野郎が。
「あともう一つだけ、トんですぐ終わりになっちゃうときついんで、トビは2箱で終わりにしてくれませんか?もちろんトビ賞は2倍でいいので。」
「あぁ!構わねぇよ!」
「では全レート10倍で始めましょう。」
さてと、半荘3回、いくら抜けるだろうか。
起家の俺は、さっそく使う。といっても怪しまれないよう意識を違う方向に向けた。それは・・・。
「あ、あれ、これって、すいません店員さん!これって大丈夫ですか?」
俺はわざとらしく店員を呼ぶ。
「おーめずらしいですね。大丈夫ですよ。」
「よかった!シーサンです!」
「はぁ!?まじかよ!」
「開始早々100万と16000の出費はやばいな。」
角田さんはぼそっといい、俺に100万と点棒を渡す。
「100万!?あぁ、そうか、レート10倍に上げたんだったな。くそっ!」
「や、やった!これでプラスだ!うぅーやめたい・・・。」
「ダメだ!3半荘は絶対続けるぞ!」
山田は熱くなっているようだった。これでいいこれで・・・そしてその後、場を進めつつも、
「ロン!やった大三元です!」
「ツモ!四暗刻です!ついてるなぁ・・・。」
「このバカヅキ麻雀が!トビだ!」
山田は早速トんだ、子で一度上がったものの、俺で役満ラッシュには耐えられなかったようだ。
清算だが、山田の収支が役満ツモ2回とロン1回で400万、トビ賞が-10、ラスで-20、点数が-73でトータル-103、×5万でトータル収支が-915万となった。
「まじかよ・・・。あと2回で取り返せるか・・・。」
山田はぶつぶつと何か話している。
「さて、次にいきましょう。」
次の半荘も俺が起家、上家が山田という形だ。
「うわ!こんな手あがったことないです!」
俺が上がった手は天和、字一色、四喜和、四暗刻の4倍役満だ。64000オールの祝儀が400万オール。全員同時トばしだが、並びで、北家の山田がラスになる。
-84で420万と400万で、820万。連れも大きく負けて770万、さっきと足して、すでに2500万ほど抜いている。
「くっ・・・イカサマだ!イカサマだろ!」
「おい、イカサマ呼ばわりってことは証拠があるんだろうな?あんたもこれで稼いでた身ならイカサマを疑うことの意味、わかってんだよなぁ?」
「い、いや・・・。」
俺が急にすごんだからか、山田は萎縮する。完全に俺が格上で嵌められたと気付いたのだろう。
「悪かった。だが、もうあと2人で500万しか金がねぇんだ。こんなに負けると思ってなくてよ。もう勘弁してくれねぇか。」
「ダメだ。あと1回は約束だろ?何、貸しといてやるよ。」
「うぅ・・・。」
最終的に点数調整をして、山田と連れを最後の半荘で2000万の借を生ませた。なぜそんなことがってチョンボと役満ツモを繰り返し、役満祝儀で稼ぎ続けたのだ。山田は泡を吹いていた。
「さて、本当はあるんだろ?金。出せよ。」
「うぅ・・・。」
山田はうなりながら探索者バンドに入っているものを店員に現金化してもらい、持ってくる。
「あれ、300万ほど、足りないようですが?」
「返す・・・。絶対返すから・・・。」
「いや、返さなくて結構。ただし、ここいらの雀荘には出入りするな。見つけ次第消す。」
「くっ・・・わかった、わかったから。」
山田と連れは泣きながら雀荘を出て行った。
「角田さん。終わりましたね。」
「あぁ、それにしても稼いだな。てかあいつ、4000万も貯めこんでやがったのか。」
「そうですね。じゃあこれ、2000万どうぞ。」
「いや、俺は計画を立てただけだ。こんなもらえねぇよ。」
「いいんですよ。もらってください。」
「そうか?いやなんか悪いな!」
「あと店員さん。あいつのせいでかなり売上が立たなかったでしょう。店、立て直してください。これ端数ですが。」
200万ほど店員に渡す。
「いや、本当なら私が逆にお支払いしなくてはいけない立場なのに、もうしわけございません。ありがたくいただきます。」
「大丈夫ですよ。また遊ばせてください。」
「はい、ありがとうございます。またいつでも遊びに来てください。」
こうして対山田戦は大勝利で終わった。収支+2000万




