迷宮が現れた日
2019年4月1日 日本に突如迷宮が出現した。
迷宮内には魔物があふれ、当初、人類は恐怖した。自衛隊が迷宮内に入り、魔物を重火器で討伐を試みたものの、魔物は無傷。しかし、迷宮からモンスターが出てくることはなかったため、放っておくという選択をとった。
数日後に当時、最強の総合格闘家が迷宮に入り、ゴブリンと呼ばれていた魔物を素手での討伐に成功する。すると、迷宮の入口にあった板に1位 1ポイントという記載とともに格闘家の名前が記載されていた。それと共にゴブリンが落とした魔石と呼ばれるものはとてつもないエネルギーを秘めていることが学者の調べで明らかになったのだった。明らかになった後に、日本政府は迷宮探索者の拡大を進める。ゴブリンが落としたのは魔石だけではなく、棍棒を落としていた。棍棒は魔物にダメージを与えることが出来ることが判明した。
それからの日本はかなりの発展を遂げる。
魔石が電気等のエネルギーの代わりとなり、今までの発電施設は凍結。格闘家をはじめ、多くの人が迷宮へ入り、魔物を狩る世界となった。魔石や道具は様々な便利な効果を持っているものが多く、高値で取引される。ただし、迷宮内は安全が確保されているわけではなく、命の補償は無いため、探索者になりたいというものは限られていた。もちろん迷宮内で命を落とす者も多くいた。
探索者となったものはステータスやスキルが確認できる。一体でも魔物を討伐することが出来れば、板に名前が刻まれ、ランキングに入る。そして、俺は迷宮出現から一か月後、会社を辞めて探索者になることにした。理由は簡単である。金だ。
男たるもの、金を稼いで家族を幸せにしたい!というのは建前で、遊びに使える金と時間が欲しいというのが、本音だった。ランキングトップの最初にダンジョンに入った格闘家は、
数十億とも、数百億ともいえる月収を稼いでいるらしい。さらに、ダンジョンに入るのは、不定期で、週2、3日であるとも聞いた。つまりは週の半分以上が稼いだ金を自由に使って遊べるということだ。素晴らしい人生じゃないか。乗るしかない、このビッグウェーブに。
俺はとある知り合いから仕入れた情報をもとに近所の迷宮に入った。探索者になるためには、一体でもいいから迷宮内で魔物を討伐し、探索者協会という国が管理している施設へ行けば登録できる。
さっそく俺迷宮内に落ちていた石を拾った。どうやら、迷宮外の道具ではダメージがないということだが、迷宮内の物なら、なんでもダメージを与えられるらしい。石を10個ほど集めると、遠くにゴブリンの姿が見えた。
現在、動画サイトなどで、迷宮内で撮影した動画が見ることが出来る。といっても、奥に行けばいく危険な為、あるのは、低階層のゴブリンを討伐するような動画だけだ。俺も、もちろん、下調べのため、動画を見たが、かなり実物はグロテスクで狂暴そうだった。
すこし腰が引けたものの、やるしかないと自分に言い聞かせ、石を投げつける。
ゴブリンの頭に直撃するも、ゴブリンは倒れることなく、頭から血を流してこちらを見る。やばい、あんまりダメージを受けてないかもしれない。
ゴブリンは吠えながら、棍棒を振り回し、こちらに近づいてくる。俺は、石を二度三度と投げつけるがゴブリンは倒れず、出血箇所を増やしながらも近づいてくる。
俺は距離をとりながら石を投げる。投げる。投げる。
ゴブリンは段々とダメージを受けて、動きが遅くなっていったが、倒れる気配はない。
俺は気付いたら、行き止まりの通路へと来ていた。あと少し、あと少しだ。
渾身の力で石を投げつける。再度、頭に直撃し、大量の出血をした後にゴブリンは倒れ、霧のように消えていった。
ゴブリンのいた跡には、棍棒と魔石が落ちており、俺はそれを拾い、迷宮を後にする。
かなりやばかった。ありゃむやみ突っ込んで死人が大量に出ているのも納得できる。
俺も情報がなければ、殺されていてもおかしくない。素手で倒した格闘家が異常なだけだ。
迷宮から出て、板を確認する、537位 四井 朱 1ポイントと表示されていた。
俺が最低ランクだろうが、意外と人数が少ないことにびっくりした。
テレビでは数千人はいるって見たけど、よくわからんな。とりあえず俺は探索者協会へ向かう。




