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乙女の祈り~勇者と聖女の物語~

作者: 流部 あやの

はじめまして、初投稿です。

書き慣れておらず使い方もよくわかってないのですが、途中まで書いたメモが見つかったため大事な用事も放り出してノリで書いてしまいました。

せっかくなので投稿してみます。

お目汚しですが一人でも読んでいただけたら嬉しいです。

よろしくお願いします。

 かつて世界は人間と魔物で長い間争っていました。

 しかしついに人間は破れ、世界は魔物を中心とした魔王軍に支配されていました。

 世界は荒廃し、空は暗くくすんでいつも暗雲が垂れこめ恐ろしい景色がいつも広がっていました。


 そんな中、ある小さな王国の小さな村に生まれた不思議な力を宿した乙女は神様に祈りました。

 毎日毎日ただひたすら祈り続けました。

 荒廃した世界ではなく、物語のような人間が安心して住める美しい世界になりますようにと。

 祈り続けたある日、乙女は神様から啓示を受け魔王を倒す方法を知りました。 



 乙女に選ばれた少年はとても強大な力を得ました。

 その力を以って乙女や仲間と共に、長い間世界を恐怖で支配していた魔王を打ち破り、世界に平和をもたらしました。

 少年は勇者として、乙女は聖女として人々から崇拝され、平和の象徴として二人は結婚をし、幸せに暮らしました。

 二人は同じ村の出身だったため、二人を輩出した王国は周りの国々からも一目置かれ、国は潤いました。

 誰もが幸せに、幸せに暮らしました。





 遠い昔の物語。










 ここに二人の少年と少女がいました。

 少年は勇者の生まれ変わり、少女は聖女の生まれ変わりでした。

 二人は神の思し召しか、はたまた偶然か、これまた昔話の物語のように、同じ国、似たような身分同士にに生まれ落ち、とても仲良く一緒に育ちました。


 やがて魔王が復活し世界が暗雲に飲まれると、少女は神様から天啓を受け、少年に魔王を倒す強大な力を授けました。

 少女はその大役を終えると力尽き、少年と共にはいけませんでしたが、国でずっと少年が魔王を倒して帰ってくるのを待っていました。

 少年は勇者として王様やお姫様から祝福を授かり、たくさんの仲間とともに魔王討伐の旅に出ました。


 数年があっという間に過ぎ去り、少女も待つことに慣れた頃、勇者が魔王を討伐して国に帰ってきました。

 国中、いえ、世界中がこれに歓喜し、勇者とその一行をねぎらう宴は一ヶ月近くも続き、皆がこれから来る平和に喜びました。

 そして勇者を平和の象徴としてもてはやし、王様も勇者に感謝をし、愛娘であるお姫様を勇者に授けることにしました。

 長年の苦労が報われた勇者も王様や国の雰囲気にすっかり飲まれ、これを承諾しました。

 かくして、勇者とお姫様は世界中の人々に祝福され結ばれました。

 そして昔の物語に擬え、勇者と聖女の結婚式として、盛大に国を挙げて行われました。

 誰もが喜び、これから訪れる平穏に思いを馳せていました。





 そう、たった一人を除いては。










 国中、世界中が祝福する中、少女は悲しみに打ちひしがれ、毎日泣いて暮らしていました。

 自分とかつての少年が、昔話の勇者と聖女の生まれ変わりであるとわかっていたのは少女の方だけでした。


 それでも前世のようにまた再び出会えた奇跡に喜び、かつてそうであったように、役割を終えたら一緒に幸せに暮らすことができると思っていました。

 かつての聖女ほどの力が少女にはなかったため、まさに身を削って少年に力を託したのも、愛しい勇者のためにしたことでした。

 そのため昔のように一緒に討伐にいくことができませんでしたが、少女は少年を信じていました。

 それ程深い結び付きがあったからです。


 しかし前世と違い、今世でのこの現実に、少女は絶望しました。

 あれほど愛した勇者は、一度も自分のもとに帰ってきませんでした。

 そう、魔王討伐を終えたあと、一度も少女のもとに顔を見せにすらきていませんでした。

 最早、勇者は少女のことなど忘れているのか。

 長い月日が、勇者としてすごした時間が、少女のことなど忘れさせてしまったのでしょうか。

 勇者に力を授けたことは、国王やその臣下の者たちの前で行ったので国の者は知っているはずなのに、国からは養生のためにと遠い田舎に家を与えられ、それきりでした。

 早くに家族を無くした少女の事など、もう誰も覚えていないと、少女は嘆き悲しみました。



 そんなある夜、少女は不思議な夢を見ました。

 世界が再び闇に閉ざされ、大地は凍りつき前世の頃より酷い世界になる夢を。

 そしてそれを冷めた瞳で見渡し、嘆くよりも喜びに支配された自分の夢を、少女は見ました。


 目が覚めると恐ろしいという思いとともに、けれども少し、夢で満たされたような気持ちになりました。

 夢が一度で終わることはなく、その後も何度も同じ夢をみました。


 少女はやがて、その夢が楽しみでたまらなくなり、暗い喜びで自分の気持ちを落ち着かせることしかできなくなっていきました。


 少女はかつての乙女のように祈りました。

 この世から人間がいなくなりますように。


 毎日毎日、少女はとても熱心に祈り続けました。





 物語はこうして続いていきます。

 かつて聖女と呼ばれた清浄なる魂は、生まれ変わった後に闇に落ちていきました。







 そして再び魔王が誕生しました。

 恐ろしい魔王の力と神様より授かった聖女の力を併せ持った、神にも等しい存在。


 かつての魔王の臣下たちは、その不思議な存在に惹かれ、次々と新しい魔王のもとに集まりました。

 日陰の存在とされ、一度魔王が討伐されると長い間不遇の時代を過ごさなければならなかった魔物たちは、今度こそ、積年の恨みを晴らすべく、密やかに、しかし確実に力をつけていきました。

 ひっそりと、人間たちに気付かれないように。


 そう進言したのは他でもない人間であるはずの聖女です。

 かつての魔王や魔物たちは姿を隠すことなくそれぞれ自由に振る舞って好きな時に人間の国を襲っていましたが、そのせいで各個撃破され少しずつ勇者達に勢力を削られていった事実がありました。

 自分たちのやり方にケチをつけられ、人間の聖女を気に入らない魔物たちもいましたが、新しい魔王に神の力を与えているのも聖女であり、実際聖女のやり方で魔王軍は人間など足元にも及ばない力をつけられたのでだんだんと聖女を目障りに思うものもいなくなっていきました。




 そして魔王軍はとうとう勇者のいる王国に総攻撃をしかけましたが、結果は無残なものでした。


 勇者も戦ったようでしたが、聖女からの力もとうになく、王族であるお姫様や王からの祝福だけではかつてのような力は出せませんでした。

 自分の体がかつてのような力を発揮できず次々と人々が殺されいく中、呆然と立ち尽くす勇者の前に幼馴染である聖女がどこからともなく現れ昔のように語りかけてきました。

 やはり自分には彼女しかいないと勇者は藁にもすがる思いで懇願しました。あの時のように自分に力を与えてほしいと。


 けれど聖女は拒みました。

 今は魔王に力を与えているからそれは出来ない、同時に二人に力は与えられないと。

 それを聞いた勇者は混乱しました。

 かつて誰よりもわかっていたこの聖女のことが勇者はわからなくなりました。


 混乱したまま激昂し、勇者は聖女に襲いかかりましたが聖女はされるがままでした。

 何故、と勇者が問いかけると聖女は悲しい、痛みをともなう顔で同じ問いかけをしました。

 何故、魔王を倒したあと会いに来てくれなかったのか。

 勇者が固まったのち、口を開こうとしましたが答えに迷っているうちに聖女は優しく微笑み勇者をそっと抱きしめました。

 そしてこう言いました。


 すべてを許すから一緒に行きましょうと。


 勇者が驚き目を見開いた次の瞬間、おびただしい数の魔物が周囲に現れ勇者と聖女を取り囲み、そして連れ去って行きました。


 残された王様とお姫様と、騎士団だけでは戦いにすらなりませんでした。

 かつて栄華を誇った勇者と聖女を輩出した伝説の王国は、たった一晩で影も形もなくなりました。

 積年の恨みが募っていた魔物たちは、破壊の限りを尽くしたようでした。



 そのまま魔王軍の勢いは止まらず、隣接する国々にまで及び、世界の殆どの国を蹂躙し、自分たちの住みやすいように作り変えていきました。

 こうして聖女が夢見た通りの荒廃した魔物が住みやすい世界になりました。


 まるで乙女の祈りが届いたかのように、世界から人間だけがほとんど消え去ってしまいました。




 しばらくののち聖女も魔王と結ばれ、長く幸せに暮らしました。

 二人のもとにはペットとなった元勇者も幸せそうに暮らしているそうです。







 めでたし、めでたし。

お読み頂きありがとうございました。

読み辛いと思いますが、改行などどうしたらいいかわかってませんのでご容赦下さい。

一言でもいいので広い心で感想など頂けたら幸せです。


キーワード?やジャンル等これでいいのかもわかりませんので、何かあれば教えて頂けると助かります。

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