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身代わり令嬢に終わらない口づけを  作者: 和泉 利依
第三章 十分に、美しい

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- 4 -

 ローズは軽く目を見開いてから、笑った。

「はい、喜んで」

 そのローズを見て、レオンが目を瞬く。

「ようやく、笑ったな」

「今まで笑い方を忘れていたようです」

 すまして言えば、レオンも楽しそうに笑った。

「そうか。仏頂面よりも、その顔の方がずっといい」

(そういうときは、その方が綺麗ですよ、くらいは言えたらいいのだけれど……これがきっと、ありのままのこの人の言葉なのね)


 視界の端に肩をすくめるエリックの姿をとらえながら、愉快な気持ちでローズは差し出されたレオンの手をとった。


  ☆


 公爵家に来て四日目になった。いつも通り部屋で朝食をとっていたローズに、ソフィーが言った。

「奥様、お食事がお済みになりましたら、ドレスの寸法直しをしたいのでご試着をお願いいたします」

 ベアトリスのドレスは、半年かけてこっそりと縫い上げたものだ。本人に内緒の作業だったために、まだ直接ベアトリスが着たことはなかった。


「試着なんてしなくても……」

 さりげなく言いながら、ローズはひどくあせった。これから仕上げをする、と聞いた時に、試着をすることには思い至らなかった。これが、実際にベアトリスが試着するというなら問題はないが、今ローズが着て仕上げをするのは大問題だ。


 普段着のように少しゆとりのある服ならお互いに貸し借りできるほどには二人の体形は似ていたが、先日目にしたドレスは、上半身が体の線に沿うようにデザインされていた。

 ローズの方が少しやせていて、ベアトリスよりも女性特有の丸みに乏しい。特に、胸の部分が。ローズに合わせて寸法直しをされては、当日ベアトリスが着られなくなる恐れがある。


 尻込みするローズを、ソフィーは不思議そうに見る。

「普通のドレスとは違います。特別なドレスですもの。当日になって合わないなどという事があれば、あわてて直すのでは大変ですよ。お針子たちが用意しておりますので、どうかおいでください」

「何度も寸法は図ったもの。おそらくそのままで大丈夫よ」

「それでも一度お試しくださいませ。それほどお時間はかかりませんわ。さあ、まいりましょう」

 ソフィーは有無を言わせず、ローズを部屋から連れ出した。


「出かけるのか」

 廊下に出ると、ローズは運悪くレオンと鉢合わせしてしまった。ローズは顔を伏せて淑女の礼をとる。

 昨日は、ベアトリスのためとはいえ調子に乗って言いすぎた気もするが、レオンは気にした風もない。

(なんとか雰囲気もよくなってきたから、これ以上はなるべく会わないですませたかったのに……)


「これから、ウェディングドレスの試着に参ります」

 口を開かないローズの代わりに、ソフィーが答えた。ほう、と答えたレオンが、しばらく考えた後で言った。

「後で見に行ってもいいか?」

 レオンに言われて、ローズはぎょっとして顔をあげた。


「ただ着るだけですよ?」

「それでも、お前がドレスを着た姿を見てみたい」

「中途半端な仮縫いの姿など、わたくしは見せたくありません」

 そっけなく言うと、レオンが少し鼻白む。すると、ソフィーが助け舟のつもりか口をはさんだ。

「では、お化粧もしてきちんと身を飾ります。ぜひ、レオン様にも奥様のお美しい姿をみていただきましょう」

(あああソフィー、余計なことを!)

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