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ゾンビ、家を買う

ゾンビ、家を買うー4ー

 

 病院内は大変な混雑であった。


 入口の自動ドアを抜けると黒い人だかりがそこらじゅうで溢れかえっていた。



「なんだ、これ。なんで今日に限ってこんなに人が……」




「かっかゆい……痒いよー!!」



 声のした方を見てみると、女の子が病院の地べたに寝転がって、全身を掻きむしっていた。




 僕はそれを見て、ようやくある事実に気付いた。




(そうだ……どうして今まで気づかなかったんだ……)





 周りを見渡す。




 病院内にいる人間のほとんどは平山と同じように、赤い湿疹があり、ポリポリと体のどこかしらを掻きむしっていた。



 僕は直感的に感じた。これは、ヤバい奴だと。




「か……痒いよー」




 平山が僕にもたれ掛かりながら、消え入りそうな声で呟く。



 僕は、そっとしゃがみ込むと平山を地べたへと降ろした。




「……ご、ごめん。重かったよね」



「いや、いいんだ。平山……それよりこれから僕が言うことをよーく聞いてくれ」



「……な、何?痒い……」




 病院内は”ここが地獄か”と思えるような状況であった。人々は泣きわめいたり、怒り散らしたり、

 頭がおかしくなったかのように奇声をあげながら走り出すものまで現れた。



 僕は、コホンコホンと空咳をすると、言うのに躊躇われるが言わなければならない言葉を口にした。




「お前のそれ、移る奴っぽい」




「へ……?」




 僕は立ち上がると、一歩後ろに下がった。



 平山はきょとんとした表情を浮かべている。



 ……察しの悪い奴だ。




「それ、移るみたいだから……その、僕はこの辺で……その」



「えっ……どういうこと?」




 平山が立ち上がろうとしたので、僕は両手のジェスチャーで座るよう促した。



 平山は素直に座り込むと、何故だか声のボリュームを下げて、尋ねてくる




「どういうことなの?……一旦帰るってこと?」



「いや、一旦というか……永遠というか……」



「え、永遠?」




 僕は更に一歩後ろに後ずさる。



 病院の外から、引っ切り無しに人が入って来る。



 これは、恐らく感染爆発パンデミックって奴だろう。得体の知れない謎の病気がこの町を襲っている。




(くそー、もう少し早く気づくべきだったな……)




 平山と同じ空間で仕事をし、車に乗り、そして肩を支えてここまで歩いてきてしまった。



 僕はなんて馬鹿な奴なんだ、と思わざるを得ない。




 それ故に、僕の決意は完全に固まった。




「じゃあな!平山!来世でまた会おうぜ!」




 僕は平山をそこに残し、踵を返して走り去った。









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