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大切なお義兄ちゃんを守るために皇帝になりました  作者: 米田薫
第5編皇帝陛下と禁じられた恋
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第12章商人の戦

商人とは物品を相場が安いときに購入し相場が高くなった際に販売する職業である。

つまり自分達としては、何も物を作らずに利益のみを得るのであり昔から忌み嫌われている。

歴代の皇帝達もまた商人に対して厳しく接してきた。

厳しい規制法が定められそれに背く者には財産が没収されるのである。

そのため、商人達は伝統的に独立心が旺盛であり、国家を敵にまわす度胸がなければ商人は勤まらないとまで言われている。


私は今、青蛙神とともにこの都に名だたる商人達と対峙していた。

私は言った。

「驚いたよ。こんなに多くの商人達と話し合いをした皇帝は恐らく私が初めてだろう。1組か2組来てくれれば十分だと思っていたが、まさか名だたる商人が勢揃いするとは。やはり青蛙神の名前は強いのだな。」


それに対してその中でも筆頭格の商人が言った。

「当然です。この辺りの商人は皆、そこの青蛙神様から商売を習いました。青蛙神様のお呼びとあれば無視することなどできるはずがありません。」


成る程。

この青蛙は都の商人を指導していたのか。

さすが金運を司る怪異である。

私が感心していると商人は続けて言った。

「ですがそれだけではありません。陛下だからこそ話し合いに応じたということもあります。」


私は驚いて言った。

「どういうことだ?私は何もしていないぞ。」


商人は言った。

「そうですか。陛下にとっては特別なことではなかったのです ね。実は陛下が皇帝になってから現在に至るまで処罰を受け財を没収された者が一人もいないのです。これは陛下のご意向なのですよね。」


私は言った。

「そうだ。時々役人から報告があがるが全て無視している。この国の商人に対する法律は、正直嫌がらせ以外には説明がつかないものばかりだからな。お前達は私が愛する民であり、共に都を盛り上げる同士だ。そんな相手に嫌がらせをするものはいないだろ。」


すると青蛙が言った。

「お互いに誉め合ってへんで、早く本題に入るで。お前達、祭りの費用を工面してやれや。」


青蛙の言葉に商人は困った様子で言った。

「急ですね。少し考えさせて頂けませんか。」


当然だ。

商人にとって金は命であり、そう簡単に出せるものではない。

そこで私は言った。

「分かった。こちらとしてもすぐに良い返答がもらえるとは思っていない。」


しかし、私の言葉に青蛙が言った。

「陛下。その必要はあらへんで。陛下が必要な金、こいつらがすぐに全額出したるがな。」


青蛙の言葉に、商人達は凄く驚いた様子になった。

各自が集まり何らかの相談を始めた。

すると奥の方に座っていた若い商人が言った。

「陛下。俺は出します。」


その言葉に青蛙は目を細めて言った。

「お前は本当に分かっとるなー。さすが、期待の若手や。それで、他の奴らはどうするんや?まさか怖気づいたわけやないやろ。」


青蛙に対し、代表して話をしていた商人が言った。

「しかし、青蛙神様。我々は商人です。計算の合わない行動はできません」


商人の言葉に青蛙は言った。

「何のために商売やってるんや?」


商人は青蛙の言葉の意味が分からずに首をかしげた。

すると青蛙は続けて言った。

「金のためか?ちゃうやろ。わしらは、人々に幸せを届けとるんや。商人は、金に汚いと世間からは言われてる。だがわしに言わせれば、金に縛られない人間なんてこの世にはおらへんのや。そんな中でわしらは金儲けに命をかけて人より金を持っとる。だからこそ、金に縛られず、本当に大切な物を守れるんやろ」


青蛙の言葉に、商人達は深く感心した様子で頷いていた。

代表していた商人が言った。

「分かりました。出しましょう。陛下。後で必要な額を言って下されば我々で全額出させていただきます。」


私は驚いて言った。

「本当に良いのか?金額もまだ言っていないのだぞ。」


商人は言った。

「正直に申しますと、陛下が開催される祭りの利益は莫大なものです。しかし、祭りに際して、我々が締め出され、利益は陛下が独占するのではないかという懸念がございました。そうなれば儲けは全て失われます。この際、陛下とともに祭りを徹底的に盛り上げることが得策であると判断しました。そのための出資は惜しみません。」


私は笑って言った。

「商人とは面白いものだな。貴族にせよ。官僚にせよ。お前達ほどに直接的な物言いをするものはいない。楽しみだな。お前達と作り上げる祭りはきっと今よりもずっと楽しいものになるだろう。何か提案があったら遠慮なく言ってくれ。」


商人は言った。

「はい。お任せ下さい。祭りは我々にとっての戦ですから。」


その言葉に青蛙は笑って言った。

「あほかお前は。なにかっこつけとるんや。」


商人たちも一斉に笑い出した。

私は、その独特の雰囲気を快く感じ、これから彼らと共に作り上げて行く祭りに思いを馳せたのだった。





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