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大切なお義兄ちゃんを守るために皇帝になりました  作者: 米田薫
第5編皇帝陛下と禁じられた恋
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第3章受付け

私が部屋に戻ると部屋の前には怪異が一列に並んでいた。

人間の様な見た目のものから、獣のような見た目のもの、形状自他が謎のものなど様々な怪異が並んでいた。

おそらく力の弱い怪異が多いのだろう。

私以外の人間には見えていないようだった。

おそらくお義兄ちゃんがぎりぎり見えるかどうかという次元であろう。


私がそんなことを考えると、扉のところに見知った顔を見つけた。

雪女衣である。

雪女衣は怪異達に言った。

「皆さん。中にお通ししますから焦らないで下さい。それと、中に入っていたら悠々さんがお名前をお聞きしますから直ぐに返事ができるようにしておいて下さい。」


私は雪女衣はその小さな体で一生懸命、他の怪異達を先導していた、

私はそれを見て言った。

「雪女衣。何をやってるの?」


すると私の姿を見た雪女衣は満面の笑みで言った。

「陛下。見てください。これだけの怪異達が集ってくれました。」


私は言った。

「たしかに凄い数だよね。でも一体なんのために集ったの?」


私の言葉を聞いて雪女衣が驚いた様子を見せた。

「陛下のご命令ではないのですか。陛下が集めるように仰ったと楊玉環さんから聞いたのですが」


楊ちゃんか。

多分、私に無断で私の名前を使ったんだろう。

もっとも、ここで私の指示ではなかったことを告げると雪女衣が罪悪感を感じてしまうかもしれない。

そこで私は言った。

「そっか。それで。楊ちゃんは部屋の中に居るの?」


すると雪女衣は答えた。

「はい。部屋の中にいらっしゃいます。」


私は言った。

「分かった。少し楊ちゃんに話があるから部屋に入ってもいいかな。」


雪女衣は言った。

「かしこまりました。」


そして、雪女衣は案外慣れた仕草で怪異達を誘導し、扉の前を空けてくれた。

そのため、私は、部屋の中に入ることができた。

☆☆☆

「ミー。ミー。」


私が部屋に入ると、悠々が私の仕事机の席に座り、部屋に入ってくる怪異達と次々に話をしていた。


「ミー。ミー。」


悠々が鳴くと、目の前に居た虎のような怪異が言った。

「私は騶虞すうぐと申します。」


虎の様子は中々勇ましい。

それだけに悠々が食べられてしまわないか少し不安になる。

しかし、悠々は自らの方が上位の存在であるかのように偉そうに鳴いた。

「ミー。ミー。」


すると虎は大変恐縮した様子で言った。

「まさか。人を食べるなど滅相もありません。私は生き物を食べることは絶対にしないのです。食べられた生き物がかわいそうなので」


その言葉を聞くと悠々は笑い出した。

そして鳴いた。

「ミー。ミー。」


すると虎が困った様子で言った。

「(見てくれはいいのだから堂々としろ)ですか。そうは言われましても、この性格は生まれつきでして。」


私はこの虎のことが気になり横から声をかけた。

「そこのお前。お前は歩くときはどうしている?」


すると虎は一瞬驚いた様子をして言った。

「皇帝陛下ですか。私が皇帝陛下とお話しするなんて恐れ多いです。歩くときは、草花を踏まないように気をつけて歩いております。もう長いこと走っておりません。」


間違いない。

この虎はかなりの大物である。

そこで私は悠々に言った。

「あんまりこの虎を虐めるな。おそらく神獣の一種だぞ。強力な力に比して、厚い仁の心を持ち、昔から人間の尊敬を集めてきた怪異だ。」


悠々は私の話を聞いて鳴いた。

「ミー。ミー。」


するとその話が聞こえたのだろう。

楊ちゃんが会話に入ってきた。

「(猫も人間から尊敬されるべき存在です)ですって。神獣に張り合うなんて、傲慢な猫だわ。」


そして、虎に向かって言った。

「それで。出し物はなにを企画しているのかしら」


虎は言った。

「最近、歌にはまっておりまして、歌を詠む会を開きたいと思っております。」


それを聞いて楊ちゃんは笑みを浮かべた。

「虎さん。良いわねー。歌を詠むのね。風流だわ。参加にしましょう。」


悠々も鳴いた。

「ミー。ミー。」


そして悠々は、口で判子をくわえると、紙に判子を押し、虎に渡した。

虎はそれを楊ちゃんに背中に乗せてもらい、嬉しそうに部屋を出て行った。


虎が出て行ったのを見て私は言った。

「楊ちゃん。これはなんなの?」


すると楊ちゃんは言った。

「お祭りを開くのよ。あなた達人間が祭りを開くのと同時に怪異の祭りをね。そして天下に示すの。この国は、人間だけでなく、怪異達も楽しく暮らせる素晴らしい国である事をね。」


私は、楊ちゃんがかってに私の名前を使ったことに文句を言うつもりだった。

しかし、楊ちゃんの発想を実際に聞いてみるとそんな気持ちは吹っ飛んでしまった。


「楊ちゃん。それは凄く良いよ。それが実現できたら私が皇帝になった甲斐があったっていえると思う。」

そして私は楊ちゃんを強く抱きしめたのだった。


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