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大切なお義兄ちゃんを守るために皇帝になりました  作者: 米田薫
第4編皇帝陛下と楊玉環
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第26章帰るべき場所

そして、私と楊ちゃんは都に戻ってきた。

私達が部屋に入ると、雪女衣が楊ちゃんのもとに駆け寄ってきた。

「楊玉環さん。帰ってこられたんですね。良かったです。」


雪女衣は心底嬉しそうだった。

きっと言葉に出さなかっただけで私達のことを心配していたんだと思う。

楊ちゃんはそんな雪女衣に照れくさそうに言った。

「ええ。戻ってきてしまったわ。あと、ライチの甘味はありがとね。あなたも作るのを手伝ってくれたんでしょ。」


雪女衣はその言葉を聞いて嬉しそうに頷いた。

「はい。また一緒の時を過ごしたいという心を込めて作りました。伝わって良かったです。」


雪女衣はまっすぐと自分の言葉を伝える事ができる。

それはきっと個人の素質だろうけど、私もそうなれたら良いのになとも思う。

私がそんなことを考えていると、部屋の中に李林甫が入ってきた。


李林甫は楊ちゃんを見ると呆れた様子で言った。

「はー。噂には聞いていましたけど、本当に戻ってきたようですね。役に立たない上に、暗殺を企てる狐など不要だというのに。陛下。そんなに妃が必要なら私がやりますよ。この狐は処罰しましょう。」


勝手に部屋に入ってくるな。

そして、お前を妃にするなんて絶対ごめんだ。


そこで私は言った。

「李林甫。そういえば私はお前に楊ちゃんの捜索を命じたなあ。だが、一切報告がなかった。まさか。さぼってたんじゃないだろうな。」


李林甫は平然とした様子で言った。

「毎日寝ずに探索を行なっていましたが、流石は強力な怪異です。全く発見する事ができませんでした。」


私は言った。

「顔に昼寝の跡が付いてるぞ。」


李林甫は焦った様子で言った。

「えっ。そんなはずわ。どこですか。」


私は言った。

「嘘だよ。でも仕事をせずに昼寝をしてただろう。知ってるんだぞ。」


李林甫は、ばれていたことに驚き、唖然とした様子だった。

私は言った。

「とりあえず減給な。あと、出て行ってくれ。このまま居座るなら、お義兄ちゃんを呼ぶぞ。」


最近お義兄ちゃんは、李林甫のことを鍛えなおそうとしている。

そして、李林甫はそんなお義兄ちゃんを心底苦手としている。

李林甫は良薬が口に苦いなら飲まないで蜂蜜をなめて治した気になるような男なのだ。

李林甫は言った。

「そういえば用事がありましたので失礼します。」


そしてそのまま李林甫は去っていた。

すると私の足元で鳴き声が聞こえた。

「ミー。ミー。」


私は楊ちゃんに言った。

「悠々はなんて言ってるの?」


楊ちゃんは言った。

「(陛下。今日の毛づくろいの時間です。昨日はやっていただけなかったので、丁寧にやってください。)」


私は楊ちゃんが帰ってきたことに触れずに、いつも通り振舞う悠々の気高さを感じ、悠々の申し出に頷いた。


すると、楊ちゃんが私と悠々の間に入ってきて言った。

「だめよ。今日は陛下は一日中私と遊ぶの。あなたの毛なんて唾をつけてなめて置けばいいのよ。」


いつもの流れなら、ここで悠々が怒り喧嘩になる。

しかし今日の悠々は違った。

楊ちゃんの方を一瞥すると、静かに笑みのようなものを浮かべて鳴いた。

「ミー」


そして悠々は自分の寝床に戻っていった。

私は楊ちゃんに言った。

「ねえ。悠々は何て言ったの?」


楊ちゃんは少し照れた様子で言った。

「さあね。よく聞き取れなかったわ。」


私に悠々の言葉は分からない。

でも、楊ちゃんの態度や悠々の様子を見ていると、きっと「おかえりなさい」と言ったのだろうと思った。


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