表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大切なお義兄ちゃんを守るために皇帝になりました  作者: 米田薫
第4編皇帝陛下と楊玉環
56/91

第9章宝玉

ある日、私が部屋で休んでいると楊ちゃんが慌てた様子でやって来た。

「大変よ。大変だわ」


私は言った。

「何が有ったの?」


しかし、楊ちゃんは私の言葉には反応せず部屋の隅で寝ている悠々と雪女衣を抱え挙げるといった。

「猫は要らないわね。くさいし。うるさいもの。鳥は良いわ。静かだし、いざという時には食料になるもの。」


そして楊ちゃんは悠々を放り出し雪女衣を鞄の中に入れた。

雪女衣は大人しく鞄に入れられたが困惑した様子で言った。

「あの。これはどういう事なのでしょうか?」


楊ちゃんは言った。

「静かにしてなさい。」


楊ちゃんの言葉に雪女衣は素直に従った。

「はい。」


いや。

従っちゃ駄目だろう。

食べられちゃうぞ。


すると気持ちよく寝ていたら突然抱え挙げられ捨てられた悠々が怒った様子で鳴いた。

「シャー。シャー。」


しかし、楊ちゃんには聞こえず楊ちゃんは考え込む様子で言った。

「あとはライチね。食堂に忍び込んで根こそぎ奪うしかないわ。」


私は大きい声を出した。

「楊ちゃん。一体どうしたのさ?」


私の言葉に楊ちゃんははっとなった様子で言った。

「陛下。そうよ。大変なのよ。早く逃げましょう。」


私は困惑して言った。

「何から逃げるのさ。」


すると楊ちゃんはじっと私を見つめて言った。

「陛下は少し大きいから収納は難しいわねー」


私がますます困惑していると部屋に李林甫が訪れた。

「陛下。おめでとうございます。」


私は頭を抱えていった。

「今日は随分忙しない日だな。一体なんの用だ?」


すると李林甫は玉の欠片を差し出していった。

「実は先日の大雨の後、庭の整備をしておりましたところ、地面が輝きなかから宝玉が出てきたそうなのです。そしてそこにはこのように(天下泰平)と書かれていたそうです。私は嬉しい。ついに陛下が歴代最高の皇帝である事が証明されたのですから。」


私は李林甫の言葉に顔をしかめた。

すると部屋の中にお義兄ちゃんが入ってきた。


そして私達の様子を見ると李林甫に言った。

「全く。悠基様には私が報告すると言ったのですがね。」


それに対して李林甫が言った。

「何故ですか?これ程、めでたいことはないではないですか。」


私は答えようとするお義兄ちゃんを制して言った。

「李林甫。その天下泰平は主体が違うんだ。」


李林甫は困惑した様子で言った。

「どういう事ですか?」


私は言った。

「この玉は全体で(閻王復活、天下泰平)となっている。閻王の復活の兆しがある時にこの玉が現れるんだ。なんでも閻王の復活の際にこの玉が必要とされるらしい。」


李林甫は私の言葉に唖然とした様子だった。

するとお義兄ちゃんが李林甫を嗜める様に言った。

「大丈夫ですよ。今までも何度もこの玉は現れています。先帝の頃の出現頻度は今の比では有りませんでした。それに玉自体も今までどおりなら一週間と経たずに消滅するそうです。」


それを聞いて楊ちゃんは安心した様子で言った。

「そうなの。それは良かったわー。てっきり復活するのかと思って逃げる準備をしちゃったもの」


話を聞いていた雪女衣も楊ちゃんの鞄からひょっこり顔を出して言った。

「良かった。では皆さんには何の影響も無いのですね」


雪女衣の言葉にお義兄ちゃんは顔をしかめ何かを言おうとした。

しかし、私はそれを制した。


そう。

この玉は必ずしも閻王の復活を示すわけではない。

だが玉が出現すると変化も生じる。

玉がある間は閻王の力が強まる。

つまりは新月と同様に皇帝は毎夜、閻王の攻撃に苦しむ事になるのである。


だけど私が苦しむだけだ。

周りに不要な心配をかけることは出来ない。


だから私は言った。

「うん。大丈夫だよ。」


お義兄ちゃんはそんな私を切なげな様子で見つめていたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ