4 エンジェルツイート
今回はパソコン教室で第2のマニフェストについてです。
そしてまた仮想空間に・・・
「勇者召喚なんてもう古い!今の時代は【王子様召喚】させるぞ!」
「古いわけないでしょう!このアンポンタン!この世界にあなたに合うイケメンがいないからって、よその異世界から金持ちで白馬に乗った王子様を無理やり召喚させようなんて・・・小悪魔どころか恋泥棒の性わるな悪魔だよ!」
【ハーレム婚姻】というマニフェストを説明したサクラたちは、すでに頭の中はお花畑になっている。
JKってこんなものねと言わんばかりに、私はあごをあげるように斜に構えながら聞いていた。
その態度にむかついたのかサクラは私に突っかかってきた。
「先生の年齢なら異世界からとりあえず顔だけいいような男を【イケメン転生】させて赤ちゃんから育てたら?」
「はぁー(怒)!!サクラ殺す!誰が行き遅れの不細工でモテないことが前提なのよ。いきなり将来の旦那を赤ちゃんから育てる方がハードル高いわ!」
ゼー、ゼー、ゼー!フー・・・・
私が一瞬、気がふれたのは気のせいです。メンヘラではありません。気にしないでください。
ふーと、息を整えながら心の中の鬼をゆっくりと言い聞かせながら気を静めた。
その横で爆笑しているスミレはネタ帳ノートにメモを取っている。こいつは後でシメよう。
まだ、その横で大爆笑しているサオリの方がすがすがしい。もちろんこいつもシメるつもりだ。
妄想のとばっちりで笑いの種になる私。
夢見るJKたちの笑いが響く中で、その横でうなづいているアヤネがいた。
思わず何も気にせず、アヤネに突っ込んでしまった。
「不良であるあなたの人生に何があったの?笑うことがあっても関心する場面ではないよアヤネさん」
「何も・・・しいていうなら、私はそこのゲーハオヤジと見知らぬ美人とのハイブリッドとして生まれたからな。せめてゲーハにならないイケメンとの間で試験管ベービーだったら良かったのに!っておもったからさ。美人がイケメンを選べば問題ないんだよなー」
何このヤンキー娘‼見直した!!いい子だー!笑わなかったといことは私が美人って認めてくれてるのー!成績UPさせておこう。あー今日はこれで酒が飲める!
でも、その横で死んでる・・・ゲーハー教頭・・・代わりに心の中で声を大にして言ってやろう。昔はフサフサだったんだぞー‼・・・多分。ガンバ!HAGE!
ヨボヨボなりながらも産れたてのバンビのようにヒザをふるわせながら起き上がった教頭は私に向かって命令をした。
「教頭命令だ!鈴木教諭・・・これから異世界で政治政党を作れ!党首はおまえだ!」
「異世界で政治政党って何?意味がわかりません!」
「おまえは俺の影武者だよ!今以上に奴隷のようにこき使ってやるからな!覚悟しろよ。娘たちがよそ様に迷惑かけたら責任は取ってもらうからな!わかりましたか・・・鈴木清香先生‼」
このゲーハ教頭‼責任転嫁は見事だが絶対逆切れだぞ!基本的な娘の育て方を間違えたのはおまえだろ!
「何ぶつぶつ言ってるのか鈴木先生。とりあえずマニフェストにはキューピッドツイート制度を盛り込んでくれよ。私は調子が悪くなったから職員室に戻るからな」
あーチクショウ!酒が飲みてーな・・・なんて、つぶやきながらパソコン教室から出ていった教頭。
笑いが静まったパソコン教室で考え込む一同。
教壇の前で大きく頷いたサクラは悪い顔をしていた。
「さすが教頭‼頭だけは見直した。ハゲを見直した訳ではないぞ諸君。【キューピッドツイート】を理解したかい」
「サクラちゃんは【キューピッドツイート】って理解できたの」
「当然だ。【キューピッドツイート】とは天使のささやきだ・・・ようするに通報制度を盛りこめって言ったのよ」
私はサクラの通報制度と言ったのですぐに理解できた。
「サクラさんもしかして、教頭が言いたかったのは【ハーレム婚姻制度】と通報制度を合わせると不幸な恋愛が減るって言いたかったのかしら」
「キヨカ先生‼半分だけ当ってますわ。多分教頭が言いたかったのはアメとムチよ。どんな素晴らしい婚姻制度ができても不倫による不幸は生まれるからその対処方法を示したのよ」
「ハーレム制度ができたとしても婚姻している者と不倫するどうしようもない馬鹿者がいる。だから、不倫現場を目撃したら誰でも通報してくださいってこと・・・そうか!通報してくだされば役所からお金ももらえるし、犯人は公にさらされ社会的信用を失うのか」
「それだけじゃないわよ。わざわざ手の込んだ偽装をしてでも不倫したがる者は必ずいるわ。でも不倫をしそうな馬鹿者たちの頭の中で通報されたらまずいという天使のささやきというネーミングの制度があることでハーレムの中の結びつきをさらに増やし、不倫自体を減らす効果を狙ってるのよ。さすがハーレム教頭だわ」
サクラと私が納得する中で、アヤネがまじな顔をしながら頷いた。
「母子家庭や父子家庭にかかる市役所の更生福利費用等も減らすこともでるね。それに、家族自体が増える効果を考えれば生活保護費のような費用も減らせる。通報制度がうまく機能すれば罰金を徴収すれば増収効果もあるな」
アヤネはただの不良娘じゃないぞ。お役所関係にいろいろ迷惑をかけたのかな・・・
アヤネとは対照的にニヤニヤしながら薄笑いを浮かべながら言い放つ。
「人の不幸は密の味。通報すればお金をもらってハーレム崩壊させられるぞ・・・モテオ!ヤリメン!を社会的に駆逐ができる。フフフフフ」
同様にスミレの目にマネーマークに変わってる。
「不倫取締局設立・・・・制度設計をうまくもってけば利権でウハウハ・・・合コンにハーレムあっせん所に不動産などの生活全般も可能だし・・・それに飲食関係にも広げられる・・・・笑いが止まらない」
本当にこの子達は去年まで中学生だったのかしら。恐ろしわ・・・
サクラは戸惑っている私を指さしてほほ笑んだ!
「先生何かありますか。ちなみに先生は私たちのことを勘違いしているかもしれませんが、私たちは生まれた時から仮想空間に関わっていますから、あまり気にしないでください。仮想空間内のことは詳しいですからね」
サクラは平静な顔で仮想空間との関わりと生い立ちを話してくれた。
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ハイブリッドバイオニックニューロン量子コンピューターに関わったお役人と開発企業である多国籍企業とその関連企業の人以外に唯一この仮想空間事業に関わることができたのは教育関係者だけだった。
数ある多国籍企業と国同士が仮想都市開発競争が激化したこともあり、暗黙の一つのルールができたのである。
その国にモラルや常識を育む機関である教育現場の人たちを仮想空間に迎えるということだ。至極当然なことだと思えることでも利権をめぐる派閥や組織が自分たちの身勝手な論理を持ち出して閉鎖的で利己的になっていた。組織論というがんじがらめになった組織に良識という風を吹かすために教育組織自体を一体化させたのだ。
その流れで、名目上ハイブリッドバイオニックニューロン量子コンピューターの仮想サーバーは教育に関わる名前を通例として使われることになったのだ。
この国では仮想電幻ガクエン都市と名付けられたのである。
だからこそ、研究者や教育関係者の子供たちは赤子のときから仮想空間との関わり合いを持っていたのだ。
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「キヨカ先生は教育現場で働けたから問題なく電幻ガクエン都市の住民権がとれたけど、普通は住民権どころか移民や難民扱いされるか異世界からのスパイや漂流民扱いされたかもね」
「そうなの?さくらさん。もし、不審者と思われたら捕まっちゃうの?」
「間違いなく奴隷ね!ってわけないけど・・・実験体になる可能性はあったね」
「何!そのブラックな扱いは・・・実験って何よ。怖い!」
サクラは教壇からゆっくりおりながら、私が着ている真っ赤なボディースーツに手を伸ばした。サクラのしなやかな指はいやらしく私のボディラインを確かめるように動かした。
「キヨカ先生、仮想空間内で発現したスキルを使って見ました?」
「え、え、使ってなかった・・・それどころか何をどうすればいいのかもわからなかったわ。スキルを確認したかったけど・・・すっかり忘れちゃった。てへぇ」
「いい歳して何が、てへぇ!だよ。教師としての自覚がないよ。自分のポテンシャルを確認することもできなかったの。これでいたい気な少女たちに物を教える立場なんて信じられないわ」
このサクラのダメだしでここにいる全員でもう一度仮想空間に戻ることになったのだ。
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