魔王軍幹部カロリーヌ
この子は今のところはデレてはいませんしデレません
イメージはサ○ヤ人か某十一番隊(※一応ヒロインです?)
「よー久しぶりだなー! リヒトォ! 生きてたか! いや正直、魔王との戦いとかぜってえ生き残れねえかと思ってたんだけどなぁ。こいつぁ嬉しい誤算ってえ奴だぜ」
くっくっくと笑いながらボロボロの布きれを纏い、現れたのは見知った顔だった。
「くふ……ふふふふふ!」
挨拶を交わそうとしたところで、アリシエンティフィナさまの笑い声が響いた。
何だろう、いつもの微笑みとは違って、その笑い方は酷く不安定だった。
「ああどうしましょうかリヒト狂いそうです狂ってしまいそうです何で私達が結ばれるのをここまで邪魔するのでしょう世界というものはこんな世界は滅ぼして私達二人から世界を始めた方が効率がいいでしょうかそうですねその方がいいですね楽しみですね私達の子が世界を埋め尽くすのですよ何て素敵なのでしょう待っていてくださいとりあえず手始めにあの邪魔者を滅してきますね塵一つ魂の欠片すらも残しません」
ものすごく早口で言っていて正直何を言っているのかよく聞き取れなかったんだけれどとりあえず目の前の知人を滅す……? と聞こえたのでそれはさすがに阻止したいと緩慢に歩き出したアリシエンティフィナさまの背中から羽交い絞めにして止める。
「あぁ、リヒト。いけませんこんなところで」
「やっべえな。プレッシャーがスゲえ。テンション上がんぜ。リヒト! 何だよぉいつの間にこんなスゲえのどうしたんだよ。お前の嫁か?」
アリシエンティフィナさまの耳がぴくりと震え、ふふ、と先程よりも落ち着いた笑みを浮かべる。よかった。何とかなったみたいだ。
「なるほど。どうやら見る目があるようですね。ところであなたは何者ですか。竜の一族の末裔、と見受けましたが」
「彼女の名前は、カロリーヌ……えっと、魔王軍の幹部です」
アリシエンティフィナさまが怪訝な顔で俺を見つめてくるけど俺はそれを苦笑で受け流すことしかできない。
「どういう知り合いでなのですか?」
「……信じて貰えないかもしれませんが、彼女には何度か助けられたりして、魔王の根城に乗り込めたのも彼女のおかげというか……」
「……魔王軍の幹部なのですよね? そんな彼女が勇者であるあなたに手助けを? 魔王を裏切っているのですか?」
「……んー……説明が難しいなぁ」
正直、カロリーヌの行動原理を論理的に説明するなんて無理だ。事実、最初は何度も面食らったし疑った。
ただ、カロリーヌの動機というのは酷くシンプルだ。戦闘民族。より強い敵と戦いたい。それだけである。カロリーヌと出会った当時の俺は彼女に殺されてもおかしくは無かったのだけれど、
『お前……強くなりそうだな。けどこのままじゃ死にそうだしなーしゃーねえ。クソメンドクセーけどオレがメンドーみてやんよ』
と言われ、色々お世話になったのである。
「いやあの時はありがとう」
「別に礼は要らねえって。済まねえって思うんならオレを愉しませるために戦おうぜ戦い」
そしてお礼を述べてもこれである。相変わらずの様子に俺は笑みを浮かべてしまう。
根っからの戦闘狂ではあるが悲しみや憎しみが残るような行動はしない。どこまでも己の欲求に正直なだけである種の清廉さすら感じるというか。何というか憎めない人物である。
「ハァ!」
て、目を離したすきにカロリーヌはアリシエンティフィナさまにその爪を突きつけていた。
何と畏れ多いことを! しかしカロリーヌの攻撃にアリシエンティフィナさまも反応し、ハルバードを手にした反撃でその身体が派手にふっとばされていた。
「ゃっべぇ! 受けた腕が痺れるぜ。こんな強敵は久しぶり……いや、初めてだ。興奮が止まんねえ」
「……まさか私の神気を前にしてここまで立ち振る舞えるとは思えませんでした。なるほど、確かにあなたの強さは認めましょう」
アリシエンティフィナさまはカロリーヌを油断のない目で見遣る。
「困りましたね。リヒトの恩人であるのですから出来れば退かせるに留めておきたいとは考えますが首だけになっても食らいついて来そうなほどの生命力です。あなたがもう少し強いか弱いかすれば対処のしようもあるのですが」
「言ってくれんなぁ」
しかし、地上最強の女神にとっては万が一などもあり得ない。それほどの力の開きはあった。
アリシエンティフィナさまはくるりと背中を向け、俺を見る。
「……リヒト。ここはあなたに任せます」
微笑んで、女神は告げる。彼女の勇者として、そう言われたからには俺のするべきことは一つ。
「はい!」
頷き、俺は前に出る。
「おいおい、いいのか? 今からやんのは殺し合いだぜ?」
目を細めて、楽しそうに呟く言葉には愉悦と共に狂気と殺意が混じっていた。
ぞくりと恐怖が走るが、しかしアリシエンティフィナさまの勇者である事実はそれを退ける。
「問題ありません。リヒトを殺したというのであればその時はあなたが許しを請おうと地獄まで追いかけてその魂を滅ぼしてさしあげます」
「アハハハ。そいつぁ楽しみだ」
「というのは冗談として……大丈夫ですよ。この程度でくじける様であればどの道、魔王に太刀打ちできるはずがありません。それに、リヒトはこのアリシエンティフィナが認め、鍛えた勇者です。それが最強でない筈がありません」
アリシエンティフィナさまは俺の後ろから肩に手を置き、顔をのぞかせる。
「信じています。リヒト」
そして、俺の頬に口づけを交わした。
まあ最強はアリシエンティフィナさまなんですけどね
リヒトとのデートを邪魔されてうっかり○してしまいそうなのでチェンジですそのくらいの分別は付くんです




