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地下アイドル弁慶ちゃんはクーデレアイドル義経とともに鎌倉を倒します  作者: 森田季節


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21 新しいアイドルの時代へ

 そこで、やっとMCが入る。最初のMCは義経だ。


「一度、お姉ちゃんとケンカして、アイドルやめようと思ったこともあった。でも、弁慶と出会って、静と出会って、今、ここに立ってる。やめなくてよかった」


 そして、義経は、

「ありがとう」

 と一礼した。


 会場からは「おかえりー!」なんて声が飛ぶ。そう、元々、義経は鎌倉爆風興業のアイドルだった。

 そんな義経に静が抱き着いていた。


「うれしい! うれしい! わたし、すごくうれしい! こんな気持ち、はじめて!」

 静の声は涙声だ。感極まっているんだろう。それぐらい、今は特別な時間だった。


「あ~、次は私か? みんな、弁慶ちゃんだぞ。一言で言うと、アイドルってものすごく楽しいぞ! これを見てるお前たち、今からアイドル目指せ!」


 会場から笑い声が起こる。


「ちょっと本気で言ってるんだぞ。アイドルって職業柄、活動期間は短いし、練習量もすごく多いし、恋愛だって制限されるし、きついことだらけだ。それでもやってるのは、楽しいからだ。私は楽しくてしょうがない。だから――」


 弁慶ちゃんは舞台袖のほうに目をやって、続ける。


「――もし、アイドルやってるけど楽しくないって奴がいたら、私たちのところに来い。楽しいんだってところ、見せてやる。でなきゃ、もったいないからな!」


 それはこれからもアイドルを楽しんでやっていくぞというある種の決意表明だった。


 駆けてくる足音がする。

 誰かが舞台袖から走って出てきた。


(おいおい、本当に誰かやって来るとは思ってないぞ!)


 それは『さねともみなも』だった。

 観客からも「おおっ!」という声が上がる。


 そのまま『さねともみなも』は弁慶ちゃんに抱き着いてくる。


(えっ!? どういうことだ……)


「ありがとうございます! 皆さんに勇気をもらいました!」

 彼女はそう叫んだ。


「本当は、本当は……もうステージに上がるの怖くて、引退したかったんです。でも、ママに出ろって言われて……今日も少し怖かった……」


 会場は騒然とする。

 舞台袖でもあわてているスタッフの声が聞こえた。


「だけど、今、皆さんのステージ見て、アイドルってすごいものなんだって、楽しいものなんだって……あらためてわかって……ありがとう!」


『さねともみなも』が『牛若◎』を認めた。

 その瞬間、『牛若◎』の敵はいなくなった。


「伝わったみたいだね」

 義経が『さねともみなも』のほうに近づいていく。

「アイドル続けるって決断、あなたにもしてほしい。もう、言う必要もないと思うけど」


 義経の中で、『さねともみなも』は敵というより戦友になっていた。


「はい、ありがとうございます、おばさん!」

 むっとした義経は、『さねともみなも』のほっぺたをつねった。


「おばさんって言わない!」

「痛い、痛い! すいません、お姉さん!」


 会場から笑いが起こる。


「あ~、みんな、みんな、それじゃあ、次の曲、歌えたら一緒に歌わない? ほら、シングル曲だし、『さねともみなも』ちゃんも一緒にどうかな」


「『☆奇☆襲☆』だったら歌えます!」


 こうして急遽、四人で「☆奇☆襲☆」を歌うことになった。


 それこそ、『牛若◎』による最大の奇襲になった。



 トリのはずの『シッケンズ』は実質的なトリをとられてしまい、若干気落ちしていた。彼女たちは『さねともみなも』の復活もあって、いつのまにかトップアイドルから三位のアイドルに落ちてしまったのだ。


 アンコールでは参加したアイドルが一堂に会して、イベントは終わった。


 どこの取材陣も<さねともみなも、弁慶ちゃんに抱き着く>というニュースを報道しないわけには行かず、鎌倉爆風興業の計画はぶち壊しになった。


 イベント終了後、秀衡は『牛若◎』メンバーを笑顔で出迎えた。

「皆さん、真のアイドルになりましたね」


「義経、そういう実感はとくにない」

 平然と義経はその言葉を否定した。

「だって、まだ義経たち、現在進行形。もっとパワーアップする」


 秀衡は苦笑した。

「それそうですね。メジャーデビューしてそんなに時間も経ってないし、ここで成長止まったら困りますよね」


「よーし、今日でインスピレーションが湧いたし、またいい曲作るぞ!」

 弁慶ちゃんも気合いが入った。


 ――と、弁慶ちゃんのスマホが鳴っていた。

「ああ、さっき、『さねともみなも』とLINEアドレスの交換したな」


 ものすごい数のメッセージが送られていた。

 しかも、全部五・七・五・七・七で切れるような文章だった。


「あれ、こいつ、ちょっと病んでるタイプなのか……。しかも、一緒にどこか行きましょうって内容だぞ……」


「あ~あ、やっぱり弁慶ちゃんって女子にモテるのよね」

 静がやれやれといったため息をついた。


「いや、女子にモテても困るのだが……」


「ちなみに事務所に来るファンレターで女子率が一番高いの、ぶっちぎりであなたですよ」

 秀衡も援護射撃? をしてきた。


「いや、そんな話聞いてないぞ! 初耳だぞ!」

「あんまり言うと、ちょっと引かれると思って言ってなかったんです。この流れなら言えるかな~と。けっこう熱烈なものも交じってますけど読みます?」


「いや、怖いからやめておく……」


「はいはーい。じゃあ、わたしが読みま~す!」

「なんで、静が読むのだ! 人のファンレター読むな!」


 そんなしょうもないやりとりをしていると、義経が弁慶ちゃんのほうにやってきた。


「弁慶、義経はよくやったよね?」

「うん、本当にそうだな」

 弁慶ちゃんは義経の頭を撫でてやった。


「今度、二人で打ち上げ行こう」

「おお、いいぞ。どこだ?」


 義経は珍しく、笑みを作って言った。


「銀座で一番高いお店」


ひとまず、いいところまで書き切りました!

今後の展開は不明ですが、ここまで読んでくださってありがとうございました!


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