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赤の騎士とスピリットドレイン  作者: 流 齡
第一章 塔の目覚めと騎士の誓い
2/10

2.小屋の中で

 パチ、パチと薪がはじける音が聞こえる。薄く目を開けるとそこには木でできたなんの変哲もない天井。体には厚手の毛布が掛けられている。

 暑い、部屋の温度も高いが毛布の中はもっと暑い。毛布の温度を下げようと横に体を向けると薪が燃えている暖炉、本棚もあることがわかる。そして四角い机に椅子、その上に鎧が座っている。


(鎧?)


 僕は記憶をたどる。そしてあの時僕を抱き上げた騎士だと気づく。

 声、かけるべきだろうか悩んでいると騎士はこちらを向き声をかけられる。


「起きたか。」

「うん。」

「そうか、体に異常はないか。」

「大丈夫。」


 そういい僕は体を起こす。少し骨が軋む音がする。どうやら長い間横になっていたようだ。体を起こすと目に白い髪がかかった。かなりの長さだ前髪だけで胸ぐらいまである。鬱陶しなと思い前が見えないので耳にかけて背中に流すようにすると騎士の方へ向く。


「あなたは誰?僕は何をすればいいの?」


 僕は騎士に聞く。この騎士は何者なのか、そして僕はなんのために作られたのか。


「我の名はアルド、我は終わりゆく世界の再生を望む物。」


 騎士はそれだけ答えるとこの部屋を出て行ってしまう。僕は何をすればいいのだろうか。騎士は答えてはくれなかった。

 ベッドから降り騎士を追いかけようとした時、部屋の空気が体に直に触れるのに違和感を感じて自分の体を見下ろす。そこには何も着ていない起伏の乏しい体があった。


(ふぇ、裸?)


 僕は先程まで話していた状態と騎士のことを思い出すと顔が赤く染まっていく。


(見られた、でも今更気にすることでもない。だって)


 そもそも最初目が覚めたときに全て見られているのだから今更だと思い、高鳴った鼓動を抑えつつ机の上に置かれていた服を着て騎士の後を追った。




 寝室を出ると火の前でフライパンを振っている騎士がいた。なんというかかなり違和感がある。特に鎧の上につけているエプロンだ。笑ってはいけないのに表情が緩む感覚を覚える。不思議だ僕は作られた存在のはずなのに感情が、心があるみたいだと錯覚を覚える。通常僕のような紛い物は動く機能はあっても感情はないはずなのに。

 調理を終えた騎士は二つの皿に料理を乗せ机に置く。そして僕の方を見るとしばらくこっちを見たあと声を掛ける。


「座って食べるといい、食べぬとも動くことはできるだろうが、それでも限界というものがある。」


 そう騎士は僕に席を勧めた。皿から香る匂いに早足にならないように気をつけながらゆっくりと椅子に座る。そしてスプーンを取って料理を食べようと口に当てると驚いたかのように口をパクパクする。単純に熱かったのだ。どうやら僕の体は変なところまで敏感らしい。

 ほどよく冷めてきたところで料理を味わう。簡単なものだがしっかりと塩で味を調えオイルで香りを高めており、普通に美味しかった。また自然と口元が緩んでしまう。

 ここまでこちらを見ていた騎士も食べようとスプーンを手に取る。だがフルフェイスの兜をかぶったままどうやって食べるのであろう。僕はもぐもぐと口を動かしながら騎士を見るとスプーンが近づいた瞬間兜の口元が裂けてその中に入る。そして吸い込まれるようにスプーンの上にあった料理がなくなっていた。


(え?どどどうなってるの?)


 僕は驚きのあまりスプーンの先を咥えたままじっと見てしまった。なにか僕の中にある常識が間違っているんじゃないかと疑いかけたが、なるべく気にしないように努め、この奇妙な食事風景は過ぎていくのであった。

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