第七話 至ってシンプル
沢山失敗をしてやっと思いついた。
師匠が出した氷は 内側から煌めいていた。
初めは光の加減で煌めいたのかと思い込んでいたが、違う事に今気が付いた。
おそらく氷を出し、内側で火を付け水にしていた。
「こんな感じかな?...っと...お、出来た」
フワフワと浮く水は新しい光景だった。
そのまま持って行こうとすると、水の塊は歪な形になりやがて形を崩し手の上へ。
持ち運びはこれじゃできないのかな?
でもそしたら攻撃とかできないよな?って事は他にも方法があるかも...
*試行錯誤する事一時間*
「で、出来たぁー!」
結論から行くと空気を冷やし、出来た小さい結晶を加熱するだけだった。
いや、この言い方だと語弊があるだろう。正しく言うならば、火を出さないよう力を抑えて水にしたのだ。
これによって、やっと成功したのだ。
「師匠の所行こ」
そう思ったので師匠の所へ行こうと、ドアを開けると何かがドアに当たる音がした。
不思議に思って見てみると、そこには一匹の鳩がいた。
真っ白の羽に赤い瞳。その瞳は、「や、ヤバイ見つかったどうしよう」と言っている様な気がする。
こういう時ってどうすればいいんだっけ?
1、見て見ぬ振り
2、捕まえる
3、とりあえず攻撃
1かな?見て見ぬ振りをして師匠の部屋へ向かった。
バターン!と音を立てて入った。
そしてとても驚いた。そこにいたのはスラリと背の高い女性だった。髪は白髪だが、下に掛けて黒くそまっている。
「だ、誰ですか?」
「ん?ああ、シンヤかどうした?」
何で俺の名前を知ってるんだ?
「誰ですか?」
「あ、そうか。私だ、プライブだ」
...うん?今この人プライブって言った?それって師匠のことだよね!?師匠ってそのちっさくて五歳児ぐらいの男の子だよね!?
「信じて無いだろ。今思ってたことが口に出てたぞ...」
「......本当ですか?だって性別違くないですか?」
「...つまり、あの姿の私を見て男の子だと思ったのか?」
とっても言いにくいので頷くだけにした。
「まあ良いか。で、どうしたんだ?」
言われて思い出した。余りの衝撃で頭真っ白になっていた。
「水出来る様に成りました!」
「良し、見せてみろ!」
さっきやった様に力の加減をしっかりとして...
「出来ました!...って師匠?」
見ると師匠はポカーンと言う表現が似合う顔をしていた。
何と無く逆に怖かったので師匠が口を開くのを待った。
「...何でそっちが出来て簡単なのが出来ないんだよ......」
はい?そっちって何?もしかして始めから難しいバージョンをやってたってことですか?
「どういうことですか?」
師匠は、ハァと大きくため息を吐き出しながらも説明してくれた。
「良いか?一度しか説明しないからな。シンヤ、お前は練習し始めてずっと難しい方に考えてたんだよ。」
「はぁ...」
「簡単なやり方も説明しておくから、良く聞きな。至ってシンプルだ。ただ、冷却する力を抑えるだけだ。」
「え、そんなに簡単だったんですか?」
聞いていて拍子抜けする位に簡単な答えだった。
「嘘を付く理由が無い。」
そりゃそうだと頭ではわかっているものの凄く恥ずかしい思いをしたのは言う間でも無かった。
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