みざちゃんがやってきました
少し高級そうな木製のデスクに椅子があり、紙が数枚置かれていた。
そして、デスクの前には少し古びた雀卓があり、囲むようにして4人が座っていた。
端に寄せられたソファーに座っている何人かは、少しにやつきながら、一人の男を見ていた。
見られている男は小汚い衣服を身に着けていた。
「ルールは普通に25000点持ちアリアリ。トビ終了有り。貴方と私で先に3回順位が上になったほうが勝ちです。あなたが勝てば借金帳消し、負ければ臓器を売って借金を詰める。良いですね?」
男の対面に座っているスーツを着こなす男が、柔らかい口調で話しかけた。
借金持ちは、ただ小さく、震えながら頷くだけだった。
タン、タンと乾いた音が部屋に響く。
だが、ギィと擦れた音が、部屋を静かにさせた。
「すまん、珈琲くれ。あ、ブラックでよろしく」
扉を開けて入ってきたのは少女だった。
澄んだ茶色い瞳で扉の傍に立つ男を一瞥し、タメ口で喋りかけた少女は、身長が120cmの後半があるかないかほどの小柄だった。
一見して短髪だが、前に大雑把に胸ほどまで束ね、後ろには小さく束ねられた綺麗な白髪が揺らいでいる。
意図的にしているのか、夏場なのにコートを着込み、透き通るような白い手と顔を覗かせている。そして、胸ほどまである日傘を抱えて煙草を吹かしている姿は、子供のような雰囲気を全く纏ってはいなかった。
「お嬢ちゃん、ここがどこだかわかってんのかい?子供は入っちゃいけないところだぜ?」
顔に古傷を持つ若い青年が睨み付けながら話す。
「キッサテンっていうとこだろ?表に書いてあったぞ」
「・・・お嬢ちゃん、あれは鳳楼会って読むんだぜ。ここは所謂ヤクザの部屋だ」
少し呆れ気味になりながらも、先ほどよりも低く、響いた声で
「取り合えず、ここで見たことは忘れてもらおうか・・・」
と言いながら、青年は手を少女へ向かって伸ばした。
だが少女は、
「汚い手で触れるな!」
と叫び、片手で日傘を横に振った。
青年の体が横に大きく吹き飛び、ガラスを突き破って外へ出た。
「座らんかい!」
少女が青年を吹き飛ばすのをきっかけに、部屋に居た何人かが懐に手を突っ込み、立ち上がるが、スーツの男が一括し、止めた。
「・・・さて、お嬢さん。頼むから出て行ってもらえないかな?」
「そう言われても困るな。私はあと数時間、どこかで暇を潰さなきゃならないんだ。」
スーツの男が少女の方を向き、諭すように言うが、無意味だった。
小声で何人かが『此処じゃなくても良いだろ・・・』と呟くのが聞こえたが、少女は聞こえないふりをした。




