第二話
助けて、助けて、
そんな声が聞こえた、
ふと我に蘇ると、そこは燃えている甲板だった、
頭が急に痛み出す、手で触ってみると生ぬるい感触が伝わってきた、
血だ
それと同時に肩を掴まれる、
何やら誰かが俺の階級と名前を連呼している、
誰だろうか、まだ頭の中が混沌としてる、
「少佐ぁ!」
その瞬間、
僕は記憶の渦に飲み込まれた、
1942年
我が日本帝国陸海軍は南方へ進出、
その圧倒的な戦力で次々と欧米列強を返り討ちにした、
そんな花の戦場とは程遠い台湾にその年僕達の部隊は進出した、
九六式艦攻は全て商船護衛のために取り上げられ、
代わりに九七式艦偵を一機もらい受けた、
試作二機で終わったしまったうちの貴重な一機である、
さらにこの年、
ドイツの潜水艦が大西洋とインド洋を横断し、
様々な貴重な機材を運んできた、
九六式三号艦戦の機関砲は九九式二〇粍一号機銃三型へ改めた、
ドラムマガジンだが100発の弾丸を携行出来るようになった、
さらに発動機をDB 601に換装した、
速度は550を超え、あの零戦をも超えたのだ、
そして、僕達の部隊は祥鳳へ配属になった、
機関科出身でもあった為毎日僕はダメージコントロールの訓練をしていた、
そして日本本土を米空母から発艦した爆撃機が爆撃、
これに触発され、珊瑚海へ消えた米空母を追うべく、
ポートモレスビー攻略を結構した、
これが今僕が乗艦する祥鳳の初陣であり、
後の珊瑚海海戦でもあるのだ、
そして今、米軍の偵察の飛行艇から投下された爆弾一発が甲板に命中、
その付近でたまたま作業してた僕は吹き飛ばされた、
そして今に至る、
重巡四隻と駆逐艦一隻に護衛された祥鳳は、
安全な海域とポートモレスビー攻略のために南下を続けている、
大抵の物語は多分ここで頭打ってるから艦魂が見えるようになると、
そんな感じな展開が待っているが、
残念ながらこの物語は戦闘機の企画の話でおまけに事前に艦魂の設定を全くもってしなかった馬鹿作者のせいで、
艦魂は、登場しないかもしれません、
「飛行甲板は大丈夫か」
漸く記憶の渦から浮かび上がり、
しかし朦朧とする意識の中で、
僕は飛行甲板の炎を見た、
「大丈夫です、今火は静かになっています」
ところどころ怪しい発音のこの日本語には聞き覚えがある、
おそらく、
「今僕の目の前にいるのはミエール少尉か………」
「いえ、私はベルダです」
あれ?
どこで聞き間違えたんだ?
うーん………
「まもなく艦隊指令の艦内放送が始まります」
まもなくして、
艦内のスピーカーが音を立てた、
『こちら艦隊指令の五藤だ、これより我がMO攻略部隊は強行突破をする、敵の居るこの制空権の無い海域の突破は容易ではないと思われる、なお本隊の機動部隊が米空母の殲滅を試みている、これをバネに突破する、飛行甲板の火災は鎮火しつつあり、修復もまもなく完了する、以上、総員、戦闘に備えよ』
『総員に告ぐ、制空隊は直ちに甲板へあげよ、作業急げ』
『衣笠二番機より入電、敵の攻撃隊の接近を確認、艦爆10、艦攻12をさらに確認、注意されたし』
『各艦対空戦闘備えよ』
木材を張り替えている甲板を気にすることなく、
次々と零戦が上げられる、
まもなく攻撃隊が水平線上に見え隠れするときには、
零戦は全て空の上に居た、
艦内には九七艦攻12、九七艦偵1、九六式艦戦4(そのうち二機が九六式三号艦戦である)が残っていたが、
九六式艦戦二機もついに舞い上がり、
九六式三号艦戦が甲板に取り残された、
少佐は飛行甲板の修復のために駆け回っている、
ミエールとベルダは初めての実戦をここで経験するのだ、
彼女達の初陣は始まったばかりだ




