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第一話 前日

季節はまだ少し肌寒い、春。


俺は現役高校2年生兼浄鬼師である。

最近俺と楓の働きで鬼や怨霊がかなり減った。

もし出てきたとしても楓一人でも何とか出来る程の雑魚ばかり。

だから俺はほのぼのと高校生活出来る。


「飛鳥く〜ん、朝御飯出来ましたよぉ〜。」

階段の下から楓の声が聞こえる。

何故俺の家に楓が居るかというと…。

俺の両親どもが「私達は鬼を浄化するのが疲れました。ちょっと旅に出てきます。楓ちゃん、飛鳥をよろしく。」などと言って長期旅行に出かけてしまったからだ。

楓は「新婚生活みたいだね!」とウキウキしているが、俺流石にイヤだった。


そんな説明はどうでも良い…。

俺は眠いだけ…。

あと半日程寝かせてくれ……。

バタンッ、と俺の部屋のドアが開かれる。

「飛鳥くん!あ〜さ!起きて!」

と耳元で大きく叫んでくる。

しかし俺の眠りは誰にも妨げることは出来ない!

すると楓はいきなり俺のベットの中に入り込んできた。

「飛鳥くん……。」

またイヤらしい声を出しやがって…。

ガバッ、と起きあがり着替え始める。

「もぉ〜…飛鳥くんったら…照れちゃって〜。」

ハァ〜〜

俺は大きな溜息を吐いた。

確かに楓は物凄く可愛い。

だが俺は興味がない。

だが楓はいつも俺にベッタリで、たまに「飛鳥くんが居なきゃ私死んじゃうよ。」とか言い出してくる。

百歩譲ってそこまでは許そう…。

最近なんか夜這いしようと俺が寝ている間にベットに進入してきたりする。

ゆっくりと寝ていることすら出来ないぜまったく…。


俺は着替え終わり、ベットの中に入っている楓を無視して居間に向かう。

早速俺は箸を手に取り朝御飯を食べ始める。

ようやく俺の部屋から楓が出てきた。

「おはよ。」

と俺が言うと楓はムスッとして、

「飛鳥くん最近妙に冷たいよ〜。今日くらい優しくしてよ〜。」

勝手に親達に結婚させられるのが俺はイヤだ。

それも楓とだぞ?昔から俺は妹のように可愛がっていた奴とだぞ?そんな感情にはならないっつの。

「すまんが俺は妹同然のお前に手を出すつもりはないぞ!」

俺は箸を口に持っていきながら話す。

「んもぉ〜。飛鳥くんのケチ…。」

と口を尖らせているが無視しよう。



バリン!


何かが割れるような音が俺の頭で響いた。

「飛鳥くん!この音!」

「めんどくせ〜な…朝なんて滅多に出ないはずなのになぁ〜。」

この音は鬼や怨霊が悪さをしたときに発する霊派。

普通の人間には微塵にも感じられないが、俺達浄鬼師には感じ取れる。

「さて、お前は先に学校に行け。これ位の霊派なら俺だけで十分だ。」

「だね。飛鳥くんは初代浄鬼師波の力を持ってるからねぇ〜。」

「そゆこと、んじゃ先に行くな。」

「いってらっしゃ〜い。」


俺は太刀を手にして霊派が出たとされる場所に向かう。

「あぁ〜居た居た。」

前には森の中に歩いていく鬼が居た。

「余裕余裕♪」

俺は左手に持っている太刀のに手を添える。

そして一気に走り出す。

それに気付いた鬼は振り向き思い切り大きな拳で殴りかかってきた。

しかしそれを避けようとせずに俺は不敵な笑みを浮かべながら鞘から太刀を抜刀する。

一瞬で何が起きたのかすら解らない鬼は腕に少し違和感を覚える。

その時、鬼の腕はバラバラになった。


ウゴアァァアァァァ!!


鬼は苦痛に耐えきれず叫びだした。


「いったそ〜…。いや自分でやっといてこれ言うのも難だが…。」

戦闘中にそんな気軽な言葉を口にする俺は結構大物じゃね?

そして俺は鬼との距離を一気に詰める。

その瞬間、鬼は跡形もなく消えてしまった。


俺の戦闘スタイルは居合中心。

鞘から太刀を素早く抜刀してその勢いで相手を切る技。

このスタイルはカウンターにも使える。

しかし居合はそう簡単にできる物じゃない。

長年の修行をしてようやく扱えるスキルだ。


「さって、ただ働きも終わったことだし、新学期早々遅刻するわけにもいくまい。」

そして俺は氣を足に集中させる。

氣と言うのは力の源とでも言うのかな?

俺もよくは知らない。

この氣を使った技を『流氣術』と言う。

攻撃にも防御にも移動にも、多種多彩に活躍してくれるが氣には限界があるから無駄に使い過ぎると体が壊れてしまう。よーするに体を代償に力をくれるって感じ。まさにギブアンドテイクだね。


その氣を使い、俺は超速度で学校に向かう。

「ぎりちょんセーフってとこかな…。」

学校に着いた俺は即座に教室に向かった。


「お、遅刻常習犯が珍しく間に合ったようだぜ。」

2年になり、クラス替えがあった。

俺にはあまり友達は居なかった。

とゆーより二人しか居ない。

一人は幼馴染みの楓。

もう一人はまた一緒のクラスになり、俺を勝手に犯罪者扱いにした、前の席に座っている杉崎すぎさき 洋哉ようや

何故二人しか居ないのかと言うと、俺の家の掟だからだ。

友人は出来る限り作らない様に、だそうだ。

「いやいや、洋哉殿、始業式に遅刻するほど私も馬鹿じゃないで御座る。」

「それ何?テレビでそんなのやってた?」

「ちげーよ、何となく時代劇っぽくやってみた。んで俺は忍者?約。」

「そうかそうか、お主もなかなか悪よのぉ〜。」

「いえいえ、お代官様こ……って俺は越後屋じゃねーっての!」

「悪い悪い。」

「「あははは!」」

こいつとはかなり昔から仲が良い。

だが俺が浄鬼師だとは隠している。


洋哉と無駄話していると楓がやってきた。

「ちょっと洋哉くん!私の飛鳥くんを取らないでっていつも言ってるでしょ〜!」

「戯け!俺がいつお前の物になった!?」

「飛鳥くん朝とはいつも性格変わるんだから…。」

そう、俺は朝無言で、目が完全に覚めるとこうゆーキャラに進化するのだ!

「いやぁ〜惚れ惚れしい夫婦喧嘩だなぁ〜。」

「てんめ!俺は好きでやってる訳じゃねーっての!」

「洋哉くんったら……。」

「照れるなぁ〜〜!!」


そんなこんなでいつも俺達は馬鹿をやっていた。

ついでに楓も同じクラス…。


こんなに幸せな日々を過ごしていた俺は、まさかこの後に異次元へ飛ばされるとは思いもしなかった…。

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