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愛してなんてあげない

作者: 祐月

頭に浮かんでいた内容を形にしてみました。

死を連想させる表現がありますので、苦手な方はご遠慮ください。

 彼と出会ってからもう7年。

 失恋して、落ち込んでいた時に出会い優しかった彼。

 気づいたら一途に好意を示してくれる彼に次第に心を寄せて行った。

 でも、すれ違い、一緒にいられなかった。

 あの日もこんな寒い日だった。


「あのね。

 赤ちゃんができたの。」

 ここ数日どう伝えようかと思っていたことを伝えた私は不安でいっぱいで、彼の反応を伺っていた。

 重い沈黙の後、彼が口を開いた。


「子どもは待てないかな?

 君はまだ仕事を始めたばかりだし・・・」

 言いにくそうに、だが、ありそうな言葉に心が冷えて行くのを感じる。

 うつむいたまま、何も言わない私に彼はまだ若すぎるし、家族を養う力がないとか、一般的な意見を言い募る。


「わかった。

 私、帰るわ。」

 冷えた心で彼にそう告げ、ソファから立ち上がり彼の部屋を後にする。

 その背中を追いかける様に、病院には一緒に行くと聞こえたけど、私は応えることなく彼の部屋を後にした。


 涙を我慢して家路を急ぐ。

「やっぱりだめなのね。。。

 私、男運ないね。

 今度こそ大丈夫だと思ったんだけど。。。」

 自重気味にひとり言を言いながら歩き、気づいたら駅だった。

 彼は追いかけてはくれない。

 彼は私はもちろん、この子を望んではくれない。

 自分の部屋に帰った私は一晩泣いて、翌日早速荷造りをした。

 彼の知っているこの部屋を引き払うために。


 その後、私は仕事を辞め、引っ越した。

 彼とはそれから一度も会っていない。

 

 そして今日、なぜか彼は死の淵にいる私の病室にいる。

「どなた?

 どうしてここにいるの?」

 誰なのかは痛いほど知っている。

 でも、誰なのか認めたらこれまでの時間がダメになってしまうそう思い、とっさに知らない人のふりをした。

 彼は寂しそうにあの頃より年を重ねた落ち着いた表情で枕元の椅子に座っている。

「やっとみつけたんだ。」

 泣きそうに顔を歪めた彼に、期待してはだめだと自分に言い聞かせる。

 もう時間の無い私はあの日の事は忘れた様に振る舞わなければいけない。


「やっと、君をみつけたんだ。

 君が僕の目の前からいなくなって、連絡もつかなくて、ずっと探していたんだ。

 謝りたかったから。」

 私は彼の言葉を聞かない振りをしながら、耳を傾ける。

「子どものことで驚いて、君のことを考えられなくて、なんで子どもを待つ様に言ったんだろう?

 君のことを失いたくなんてなかったのに。。。」

 彼はあの日、黙って彼の元を去った私に懺悔している。

 私を失いたくはなかったと。。。


 でも、あの日、壊れた私の心は戻らない。

 もう信頼出来る人はいないと。。。

 彼へと繋がる友人全てと連絡を絶ち、1人で知らない街へと引っ越した。

 それに、もう遅いの。

 私にはもう時間が無いから。


 黙ったままの私の手を取り、体を寄せ、自分の額に私の手を当てる。

「愛しているんだ。

 君をこのまま失いたくはない。」

 今更言われても、信じることなんてできない。

 それに、私に明日は来ないかもしれない。。。


「信じられないわ。

 人のことなんて信じられない。

 私は私だから。」


「愛しているんだ。

 俺のそばにいてくれ。

 できれば愛して欲しい。」


 なんてわがままなんだろう?

 信じられないって言ったのに、もう終わったことなのに。。。


「愛してなんてあげない。

 だって。。。」

 彼がそばにいる間にもだんだんと意識が重くなり、もうちょっとと思うけれどもう時間切れみたい。

 だんだんと彼のぬくもりも、力強く握られている手も感じられない。

 最期の時にそばにいるのがあなただなんて、なんて皮肉なんだろう?

 重くなる意識の中で口に出てしまったのかはわからない言葉の続き、永遠に言わないつもりだったこと。

 

    だって、こんなにまだ愛してるんだから、これ以上愛してなんてあげない。。。

習作のため内容はぼんやりしています。

続けようかこれで終わりにしようか。。。

イメージが伝わるかわからないですが、伝わっていたらいいな〜

上手く表現できるようになりたいなと思って書いてみたものです。

一応、別視点からの話も考えているので後日あげるつもりですので

よろしければまたチェックしてください。

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