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この作品には 〔ガールズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。

なんで!!? なんでなの!?!?

掲載日:2026/04/01

 親が仕事へ出るエンジン音で目を覚ます。 

 

 朝の薄暗い部屋が私を包み込む。


 布団から起きて、カレンダーの前ゆっくりと歩きながら、動きを慣らす。



 4月1日、カレンダーはそう示している。



 「今日も学校……か。」





 

 私は独占欲が強いって言われる……


 私のどこが強いのかわからない…

 だって何もしてないもの。


 


 

 まぁ、私は確かに杏菜あんなを……

 愛してはいる。




 幼稚園から高校までずっっっと一緒でさ、陸上競技で二人でメダルを受け取った時は一緒に喜んでさ……


 二人で手を繋いで楽しく遊んで……


 失敗した日には悲しい時は泣いてさ……



 中学生時代は一緒に生徒会に入ったっけな……



 部屋にある集合写真の額縁をやさしく撫でる。

 

 杏菜………


 杏菜と人生の感情を全部共にした。



 私はその想いは言葉に、行動に、全身全霊を愛を形にして、ずっと渡し続けてきた。


 杏菜は……私を変えてくれた…、



 「なのに…、なのに、なのになのに!!」


 私は身を震わせ、力に任せて手を強く握る。

 



 高校に入って二年、クラスメイトからは

 『愛が重い〜』

 だの、

 『ずっと一緒だよね〜』


 だの…だの……

 

 

 「みんな、好き勝手言いやがって……」

 



 そいつらに何を言っても火に油を注ぐだけ。

 

 「やめろといっても糠に釘……」


 「杏菜も……嫌だったよね……」


 

 あいつらは……どうにもならない。

 私からするとあいつらは友人ではい。



 光に群がるただの虫だ。


 

 虫のせいで、最近の杏菜は少しずつ変わっていって……


 「あいつらのせいで…」


 私から、どんどんと逃げてゆく……


 

 私の部屋にあるアラームが鳴り響く。



 私は怒りに任せて3月のカレンダーを荒く引き破る。


 

 あぁ、もうそんな時間か、学校の準備しないと……



 ―――



 静寂に包まれているリビングへと降りる。


 

 私は置いてあるパンを手に取り口へと運びながらテレビを照らす。



 朝のニュースの途中で、火事とか、食べ物紹介とか、変哲のない放送だった。

 


 『ここでニュースです。』

 『昨日、〇〇学校で27名の生徒が一人の女子生徒によって殺害されました。』


 

 私はやっと、興味の出る話題で画面に釘打ちだった。


 『犯人は「間違えてる者を、ただ、正義で執行しただけ…」と容疑を認めています。』


 


 私は、その人に感銘を受けた……

 

 なるほど……


 喉に力を入れていない息だけの小声で呟く。


 

 「間違いは、"正せば良いんだ"」

 

 

 私の愛が重いなんて、間違いだ……


 杏菜が逃げてゆくのは、あいつらが私にヤンデレのレッテルを貼るからだ……


 

 そんなの全部…全部全部全部


 「間違いだ…、」



 私は画面とのにらめっこをやめ、キッチンへと向かう。


 

 キッチンで銀色に光り輝く"正義"を手に持ち、愛しの人の様に私は話しかける。


 「待っててね……」

 「私が、杏菜を虫から取り戻すから…」


 

 正義に反射している私の顔の目には光が感じられなかった。





 ―――――――




 「おはよ〜!!」


 隣に居る杏菜の挨拶が教室を照らす。


 

 杏菜の挨拶で数人が彼女へと群がっていく。


 一番杏菜と馴れ馴れしい虫けらAが今日も今日とて杏菜に近付く。


 「おいおい杏菜さんよぉ…」

 「今日も愛無あいなと登校か〜い?」



 「ふぅ〜お熱いねぇ〜!!」

 


 

 杏菜に絡まないでほしいな。

 怒りで胸が熱くなる。


 「いつもだよ〜!」



 きっと、杏菜は気を遣ってる。

 杏菜だってこう言われるのは嫌なはずなんだ。


 「愛無も〜、杏菜の事ほんっと好きねぇ〜!」



 私は想いを熱い胸に抑えて偽造した笑顔を振りまく。


 「いや〜〜! まぁ好きだよ〜?!」 

 「なんてねー!!」

 

 


 害虫Aは気を遣ってるのに関わらずそれに気付かずにそのまま話を続ける。


 「いや〜〜でもお似合いだと思うよ??」

 「だってさぁ、成績優秀! 運動神経抜群!」

 「中学、高校でも陸上競技で賞を掻っ攫う!!!」

 

 「まさに最強の二人! だよねぇ〜!」



 その言葉に便乗して虫Bが入り込む。


 「もう付き合っちゃいなよ〜」


 「なんてね〜!! 嘘ー!!」


 

 事実、事実なんだけど、お前がそれを言う資格も、それを行わせる権利もない。


 しかし、虫A,Bが杏菜に正しい言葉を言うので周りの人達もそれを反応して相槌を打つ。


 

 「さっ、! もう行くよ〜!」


 これ以上杏菜を変にさせたくない。

 

 私は杏菜の手を握り無理矢理教室へと入って朝の準備をする。


 

 よく、頑張ったね、杏菜……

 今日で、全部終わるからね。


 

 ―――――――


 

 お昼休憩のチャイムが鳴る。


 私はそれを合図に行動を始めた。


 まずは……

 

 「鳴海ー!! トイレで手洗ってこよ!」


 「あいよ〜!!」

 


 害虫Aをトイレまで誘き寄せる。


 「じゃっ、杏菜も〜」


 杏菜も連れてこようとするので、どうにかして虫Aだけ……



 「いや〜〜鳴海だけの話があるのよ〜!」


 「も〜〜仕方ないなぁ〜〜」


 羽虫Aは"だけ"って言葉に満更でもなさそうな顔で私にのこのこついてくる。


 

 私は『正しさ』を入った小さな小袋を待って一緒に人気の少ないトイレへと向かう。


 ―――


 「あれ? なんでこのトイレ??」



 「まぁ……それはねぇ〜」

 


 小袋から『正義』を取り出す。

 

 「なんでだと思う??」



 ゴミ虫Aは察しが良く、右手に持っている物に気付いて逃げようとしたけど、


 出口には私がいる為、そのまま、トイレの奥へと逃げる事しか出来ていなかった。


 あぁ……哀れだなぁ…


 ゴミ虫Aは腰が抜けたのか、トイレで座りだし、口を開けたま震えて息をしてる。



 「ねぇ、鳴海。」


 「正しさってなんだと思う?」


 私の質問に反して、叫ぶかのように息を吸ったので……


 虫Aに近づき空いてる手で口を塞いだ。


 「ねぇ。」


 「なんで叫ぼうとするの??」


 

 虫Aは私の腕を引き剥がそうと夢中で会話が出来なかった為……


 持っている正義で虫Aの《《首を一突きした》》。


 不思議と、罪悪感など、そういう気持ちは全くなかった。


 ただ、私の気持ちは、やり遂げた安心感だけだった。



 

 「あんなに暴れていたゴミ虫も首を一突きで力が抜けるんだ」


 

 首に刺さってる『正しさ』を引き抜くと虫Aから壊れた蛇口のように『悪』が噴き出して来た。


 

 『悪』って、こんなにも生暖かいものなんだな。



 

 しかし、その温もりは一瞬にして消え去った。

 


 「さて、次だ次。」


 

 あいつを置いて、トイレを出る時、ふと鏡を見た。


 『悪』が付着している私は、《《笑っていた》》。



 

 トイレから出てきたものの、人気が少ない場所だから、誰も居ない。


 

 ―――


 右手に『正義』を持って自分の教室へ向かうため歩いていると、やっと誰かに会えた。




 

 その人達は、私を見てから恐れて逃げて行った。

 腰が抜けて動けなくなってる者をいた。


 誰かに裏切られ、転んでいる奴もいた。


 


 私は真っ先に……逃げてる奴を追いかけた。


 逃げてる奴には一瞬で追いつき、正しさを教える訳ではなく、ただ、逃げれないように脚を切った。


 

 ついでに舌も剥いてやろうか悩んだものの、時間がない為やめておいた。


 しかし、そいつは叫ぼうとした為…、


 

 「私の目的は害虫駆除。」

 「だもんね!」



 脚を切られた奴に同意を求めてみたけど、もう、生きる為の光は残っていなかった。



 「さて、次。」



 ―――――



 私は出会った奴ほとんどの何処かを傷つけ叫べないようにした。


 叫んだ奴、あるいは叫ぼうとした奴は容赦なく正しさを示した。


 

 私の目的の害虫もできる限り『示した』。


 害虫には一人一人話しかけはしたものの、時間もないし、返ってくるのは大体同じ。


 

 途中でめんどくさくなったので、もう見つけた奴は全部『正義』で光を奪った。





 途中で、担任の仲のよい先生と出会った。


 先生は、私と一定の距離を取りながら優しく話してくれた。


 「君を信じてるよ」

 とか、

 「君はそんな子じゃないよね…、」   


 とか、綺麗事を並べていたけれど、距離を取られる時点で先生は信じられなかった。


 いや、まぁ………




 

 話しかけるだけの先生に興味は無かったから、そのまま素通りした……


 そしたら、先生は私を掴んで、引き止めようとしてきたから、


 それがムカついて……私は思いっきり奴の腕を切った……



 ――愛無はほんっといい人だね〜――



 この時だけ……少し、ためらいが……

 あった……

 





 だけど………

 これも全部、杏菜の為……



 「待っててね。もう少しだから。」


 

 私が通り過ぎる事よりも、腕が一本無くなった事に悲鳴を上げている先生に呆れて、そのまま素通りした。




 ――――



 大体光を奪ったのは30人近く…?

 かな。


 わかんないけど。



 なんだが…、途中から、少しずつ……

 『正義』を教えるのが楽しくなってしまった。


 なんていうんだろうな……

 無双ゲームの操作キャラクターみたいな。


 そんな楽しさ、がった。

 誰も私に勝てず、一掃するだけ。



 

 そんな感覚に私は、笑みが止まらなかった。


 ―――


 

 そんな時、自分の教室へと着いて、扉を開けた。


 

 そこには……《《一人の女の子》》が居た。



 私がこれを始めた理由……

 私を変えてくれた存在。 

 

 私を導いた彼女……


 「杏菜………!」


 

 逃げ遅れたのか、それとも私を待ってくれてたのか、教室の片隅で座っていた。



 私は彼女を見つけた喜びでゆっくりと近づきながら話しかける。


 

 「杏菜ぁ……」


 あぁ…胸がキュッとなる…、

 

 「良く、我慢してたね…、」


 やっと…返ってくる……


 「安心して……」


 なんだろう……この感情…、


 「私が全部…終わらせたから。」

 

 最高に……嬉しい………

 


 杏菜の前に来て、優しく笑っていると、彼女と目が合った。


 彼女は……杏菜は……





 

 怒りでもない、悲しみでもない。


 

 杏菜は、泣きながら、憎むような、軽蔑する様な顔で私を睨む。


 「あんな……?」

 「どうして……そんな顔するの…?」



 理解しがたい状況に私は思ってる事をただ伝えてしまう。


 「私は杏菜に救われた…!」

 「杏菜が………杏菜が……杏菜がぁ!!」




 ―――これでずっと一緒だからね!―――


 私を変えた時の杏菜が頭に浮かぶ……

 

 杏菜は……親が忙しくて……誰も居なくて……

 

 一人だった時に………

 一緒に居てくれた………


 声をかけてくれた……




 「杏菜ぁ…!!」

 

   

 


 杏菜は震えながらも口を開ける。


 「ねぇ……あいな」

 「嘘……だよね。」


 

 「これ全部…嘘……なんだよね…、」


 

 この言葉を聴いて、初めて……

 私の置かれてる状況に理解が出来た。


 あぁ……あぁ……、



 「だって…、」


 これは全部……杏菜の為……

 杏菜を想って……


 杏菜を、愛してるから……


 

 そんな言葉は……私の口からは出て良い資格なんてなかった。


 

 胸が誰かに握られてるかのような苦しさがくる。


 ゆっくり息を吸ってるのに入ってこない…



 ――これ全部…嘘……なんだよね…、――



 あぁ……そうだ…、

 

 今日は……


 

 繕った即興の笑顔で杏菜との会話を試みる


 「そうだよ…!」

 「あんな!!」


 「これ全部嘘!」

 「今日はエイプリルフール〜!!!」


 「へへへ〜驚いた〜〜?」



 「いやさぁ〜―――」




 自分でも何を言ってるかわからない言葉をただ都合良く並べる。


 「あいな……」


 杏菜の一言で、並べられた言葉はすぐに片付けられる……



 

 「もう…午後だよ……」


 私の夢を壊すかのような、嘲笑うかのように昼休憩が終わりのチャイムが鳴る。


 

 私の右手にある『正義』を見てみた…、

 それはもう……銀色の光を失い……


 人から奪った光で赤黒く……輝いていた。


 それに反射して見える私の顔は……


 正義ではなく……『悪』だった……



 私は……それでも……それでも…!!




 「杏菜……愛してるよ……」






 返ってきたのは、冷たい視線だけだった……






 『次のニュースです。』

 『昨日、女子高生一人が約36名を殺害。』

 『41名は傷を着けて―――』





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