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世界征服に魔王軍は必要ですか?   作者: ダミー


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第6話 引きこもりすぎた結果

「ねぇ、おねぇちゃんはなんであんな森の奥にいたの?」


森を歩くのが疲れたマリアのために、比較的日当たりのいい広場の岩の上で休憩していた時のことだった。


「ふむ。そういえば名乗ってなかったな。」


まあ、子供であるし、本当のことを言っても構わんだろう。この子も追われている身の上のようだし。


「余は魔王。魔王リリィじゃ。種族は吸血姫ってところじゃな。」

「まおう……?あっ!勇者にやられる人のこと!?」

「お、おう……。まあ余は勇者ごときには負けぬが、過去の魔王にはそういう事例もあったろうな。余は今代の魔王なのじゃ」


「へーっ!すごいんだね!」

「そうじゃろうそうじゃろう。」


幼女とはいえ、褒められると私も嬉しい。私とて魔王としてのプライドはあるのだ。


「でも……。」


その後にマリアが口にした言葉で私に戦慄が走った。


「勇者様が魔王を倒してから魔王も魔族も滅んで、平和な世の中になったって、お母さん言ってたよ。」


「なん……じゃと……?それは、何年前のことなんじゃ……?」


「えーっとね。あんまりわかんないけど、百年くらい前だったかなー?」


「百……年……前……?」


「うんっ!あたしのおじいちゃんのおばあちゃんが勇者様だったって!かっこいいよねっ!」


「おじいちゃんのおばあちゃん……?もしかして勇者の末裔なのかの……?」

「まつえい…?はよくわかんないけど、そうなんだって!」

「で、ではっ!おまえの親は勇者だったのかっ!?」


勇者の末裔だとすれば、この子は勇者を継ぐ者になるかもしれぬ。


「ううん。違うよ。勇者様はもうとっくに天国にいっちゃったから、もう勇者様はこの世界にはいないんだって。」


【悲報】勇者、死す。


なんてこった……。勇者に勝つために力を高めていた(だらだらしていた)というのに……。勇者よ、死んでしまうとは情けない。


いや、不老不死をとってなかったのだろう……。いくら強くても寿命には勝てぬ。


戦わずして勝つとは、このことだったか(絶対違う)。


私が考えを巡らせている間にもマリアは楽しそうに話し続ける。


「それでね、勇者様はたくさんの魔物や魔族を薙ぎ倒していって、たくさんの街を救っていったんだって!それでついに、魔族も魔物も居なくなったんだって!」


「いなくなった?一匹もおらんのか?」

「うん。一匹もいないって。」

「全部倒すことなど一人ではできんだろう。」

「勇者様のすごい力で世界中から魔物が消えたんだって。」

「どんな能力じゃ、それ……。では、マリアは魔物を見たことがないのか!?」


「見たことないよ。鹿さんとか猪とかは見たことあるけど……。魔物ってどんなのかよくわかんないよ。本でしか見たことない。」


「その勇者は魔王を倒したのか?」

「うん!勇者様は『魔王にしては弱かったな』って言って倒したんだって!戦争の最後に残った1番強い魔物が魔王だったから倒したって、お母さんから聞いたし……。」


なるほど、戦争の終盤で唯一残っていた強いモンスターが魔王と疑われて討たれたということか……。現にそれ以降魔物は出ていないから、魔王だったと結論づけられたのだろう。


っということは……。今世界唯一の魔物が私(+ヴァンパイアナイトたち)しかおらんということではないかーー!?


ダラダラしすぎた!!!!ほぼ負けの状態だった!!

まあ魔王である私が死んでいない以上まだ魔族側は負けていない判定なのだろう。そうでなければ、私に神から何かしらのアクションがあったはずだ。


そりゃ騎士たちもあんな顔するわな。魔物すら見たことない世界で魔王を名乗るのはただの厨二……。異世界なのに魔物を今まで全く見かけなかったのは、そういうことか……。



異世界なのに魔物いない。魔族側は99.999%負けている。こんな状況とは知らなかった。このまま引きこもり続けたらそれこそ、魔王も魔物すらも伝説の存在になっていたかもしれない……。


てか、これもう、今更人類滅ぼしたところで、私と動物だけの世界になるのでは……?それってどこの「エデンの園」だよっ!?創世記かっ!?


むー。これは少し路線変更した方が良さそうだ。ようは、魔族(私)が天下を取ればいいわけだ。なら、私が裏から世界を牛耳る。人類を裏から操って支配する存在になれば、神の言う魔族の勝利を達成するかもしれない。


1番手っ取り早い魔族と人間の争いを止めるには私が死ぬ必要がある。だけど、私は死にたくない。なら人間を裏から支配することで人間に勝利すればいい。



そう。私は魔王だが、魔王軍はいらない。

魔王として、人間を使って人間を支配する。


これが私の最終目標となった……。





そんなこんなで、森を歩くこと3日。


ついに目の前に街が見えてきた。私とマリアは高くそびえる街の防壁を眺めながら、街に近づいていった……。

評価・レビュー・感想よろしくおねがいします!

誤字等がありましたら、誤字報告受付機能でご報告いただければ幸いです。



今回は、この小説の全体の方向性(魔王の目標) を明確にするために、すこし説明チックになってしまいました。


次回からは人間の街での話が展開していきます。


魔王が人間界の政治にどう食い込んでいくのか、乞うご期待。

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