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世界征服に魔王軍は必要ですか?   作者: ダミー


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第5話 出立

「た、助けて!!」


少年は涙と鼻水でぐしゃぐしゃになりながら私に飛びついてきた。あまりの勢いに思わず尻餅をついたが、すぐに少年を背中に庇った。


「なんだ、貴様は。その子を渡してもらおう。」

先頭に立った騎士の一人が剣を抜いたまま近づいてくる。


「この子をどうするつもりじゃ。」

「無論、死んでもらう。」


「っっ……!この子は何か悪いことをしたのかのぅ?」

「存在すること自体が罪だ。我が国の障害となるのだから。大人しく引き渡せばお前の命までは勘弁してやろう。」

「そういうことかの。」


ふっと後ろを向くと、私の背中で服を握りしめている少年は泣きながらこちらを見上げてくる。その顔には絶望と懇願の色が窺えた。


「お前はどうして欲しいのかの?死にたいか?」

「いやだっっ!!!死にたくない!!!あたし何も悪いことしてないのに!!!」

「そうか。」


私はユラりと立ち上がり、少年を抱えて塔の入り口まで連れていく。騎士たちがジリジリとこちらに剣を向けながら逃げ道を塞ぐようににじり寄ってくる。

扉を開けて少年を下ろした。


「少年よ、その扉から中に入って待っておれ。中で勝手に動き回るでないぞ。」

「でもおねぇちゃんは!!?」


「ふっ、なに任せておけ。余は負けぬ。」

「でもっ!」

「大丈夫じゃ、安心して待っておれ。」


そういって無理やり扉を閉めた。


「その者を庇うとは愚かな。死にたいようだな。」

「何を言う。あのような幼い子を追い回しておいて。貴様ら騎士の仕事は敵からあのような子供を守ることであろう。貴様らが騎士の仕事をしないのであれば、余があやつを守ってやろう。」

「ふっ、貴様こそ子供のくせに、随分と余裕だな。何者だ。」




ついにこれをカミングアウトする時が来たか。転生してから長い年月が経った。



「余はリリィ。魔王リリィである。貴様たちを打ち滅ぼす魔族の王だ。」


周囲が静まりきった。誰一人声を出さない中、私は胸を張って周りを見渡す。ふっ、絶望に震えて眠るがいい。


「ぷっ、ククク……!」

「あっはっはっはっは!」


騎士達が堰を切ったように笑い出した。


「っ……!何がおかしいのじゃ!」

「『魔王さまごっこ』とは、やはりただのガキではないか。」

「何を言う!人々は魔王を恐れ、日々暮らしているのであろうっ!」

「あっはっは!何年前の話をしてるんだ。そんなお伽話のようなことを。」

「おとぎ…ばなし、じゃと!?」

「そうだよ、だからガキだって言ってんだよ。じゃあ時間もねーし、そろそろ死んでもらおうか。」



そういって、騎士たちは同時に襲いかかってきた。


「ふっ、愚かな。魔王を知らんとはとんだ田舎者のようじゃな……。純血の華。」


私の周りを血が取り囲み、それが多数の氷柱(つらら)のように形作られていく。騎士たちの剣が氷柱(つらら)に当たり、攻撃は私に当たらない。


「なんだっ!?このスキル!赤い槍っ!?」


そう騎士が叫んだ次の瞬間、騎士たちは血の氷柱(つらら)に身体中を貫かれ、一瞬のうちに命を散らした。


「ふん、たわいもない。そうじゃ!」


ガリッと指を噛み、血を出す。その血を死体となった

騎士たちの口の中に垂らしていく。


「ぐぅおおおおおおおっ!」


およそ人とは思えぬ叫び声をあげ、騎士たちは痙攣したように手足を動かし、地面を転げ回った。しばらくすると、騎士たちは何事もなかったかのように立ち上がり、私の前に整列して頭を垂れた。


その騎士たちの先頭で跪く騎士、先程まで私と声を交わしていた隊長だろうか。その騎士は彼らを代表して口を開いた。


「リリィ様。先程までの無礼な態度、平に、平にご容赦を。申し訳ありませんでした。」


「む。なぜ余の名前を知っているのか。」

「リリィ様の血を頂いた際に我々の魂にリリィ様の真名が刻まれたのでございます。」

「まぁよい。余は先ほどの少年の元に向かう。貴様らはこの塔の周囲を警備せよ。何人たりともこの塔に入れてはならぬ。」

「少年……?いえ承知いたしました!!貴様ら!!配置につけ!」

「はっ!!」


私は、騎士たちに警備を命じると塔の扉を開けた。


先ほどの少年は、扉の前で手を合わせ、目を閉じ、必死に祈っているようだった。



「おい。少年よ、終わったぞ。」

「え、おねぇちゃん……?」


私に気づいた少年はとてとてと私の方に走り寄り、先ほど出会ったときのように、私に抱きついた。


「よがっだ!よがっだぁぁぁぁ!」


わんわん泣く少年を見て、久しぶりに温かい気持ちが湧いてきた。しばらくぶりに人の感情表現に触れて、人間だったときの懐かしい気持ちに思いを馳せる。


しばらく少年を胸に抱き、泣き止むまで頭を撫でてあげた。



「泣き止んだか?少年。名はなんという?」

「少年?あたし、女の子だよ?」

「………。」


女の子だったのか……!長いこと人間見てないと男か女かもわからなくなるのか……?自分だけ勘違いしてたのはずかし……。


「あたしね、家から逃げる時にお母さんが髪を切ったから短くなってるの。男の子に見えたら追いかけてくる悪い人も見間違えるかもって。」


「そうか……、そなたの母はどうした。」

「……。お父さんもお母さんも死んじゃった……。あたしが逃げれるように……。」

「そうか……。」


両親は先ほどの騎士たちの仲間に殺されたのだろう……。




「おうち、帰りたい。」



「お父さんに」



「お母さんに」



「会いたいよぅ……。」


少女はもはや涙すら出ないのか、俯いたまま地面をじっと見つめている。


6歳前後のこの年齢で両親を殺されるという悲惨な体験にあって、まだ心の整理がついていないのも仕方ないだろう。しかし隠れて育てるにしてもここはまずい。私がなんとかしてやりたいが、ここにはベッドどころか、食べ物すらない。

故に、この子を救うには街に出る必要がある。



……。そろそろ潮時か。いつまでもこんな引きこもり生活。ダメだよね。


私も毎日吸血して少しずつ力を溜めてきた。騎士たちを圧倒できたように、たいていの戦力には対抗できるだろう。


「失礼した……。少女よ、名前は?」

「マリア、お父さんとお母さんはそう呼んでた。」

「そうか、マリアか。いい名だ。余はリリィ。マリア、余とともに行かないか?」

「どこに?」

「ふむ、ひとまず街じゃの。この塔には食べ物はほとんどない。生きるためにもまず街に行く必要はあるじゃろう。」

「でも街に行くと捕まっちゃう……。」

「なら、こうすればいいのじゃ。……純血の華」


私の指から放たれた血がマリアの頭に降り注ぎ、金髪だったマリアの髪は明るい赤色になった。そして、青色だった瞳は、髪と同じ赤色に変わった。懐から手鏡を取り出し、マリアに渡した。


「余の魔法じゃ。これで変装すればきたからないじゃろう。万が一バレても余が守ってやる。それに、嫌なら別の街に行けばいいのじゃ。どうする?」


マリアは結局街に行くことに納得し、すぐに出発することとなった。まあ、何かあっても塔にはすぐに行けるのでな……。


実は毎日自堕落な生活を送る中で、一つの覚えたというか作ったスキルがあった。引きこもりであろうと、移動を迫られるときは大いにしてある。その度に長距離を移動するのはめんどくさい。吸血姫特有の羽でも出せば良いのだが、あれも体力を使うのだ。

故に「スキルメイカー」で作ったスキル「空間管理」。ざっくりいうと、グー⚪︎ルマップを頭の中で表示し、任意の場所をお気に入り登録でき、登録したところに転移できるスキルだ。そのほか戦闘や索敵にも使える。ただし、地形や地図自体は表示されてても転移するには実際にその場所に行かないとダメらしい。これは、どう調整してもダメだった。


まあ、街で仮に襲われたとしてもマリアとともに塔に単位で戻るだけなので、特に心配はしておらんのだ。




塔の管理を死んだ騎士たち……今はヴァンパイアナイトたちに任せ、私とマリアは騎士たちが追いかけてきた方向に向かって歩き出した。

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 リリィ

 ジョブ: 真祖吸血姫(魔王種)

 年齢: 111歳

 Lv 1 (MAX)

 HP: 8E+313 / 8E+313

 MP: 8E+313 / 8E+313

 SP: 8E+313 / 8E+313

 武器: なし

 防具: なし

 攻撃: 8E+313

 防御: 8E+313

 速度: 8E+313

 器用: 8E+313

 頭脳: 8E+313

 精神: 8E+313

 運勢: 8E+313

スキル

 ダンジョンマスター

 スキルメイカー

 AI

 空間管理 New!

ユニークスキル

 純血の華

 不老不死

 光属性吸収

呪い

 オンリー1

 経験値取得効率低下(特大)


空間管理とスキルメイカーの詳細については後日後書きにて。

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