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世界征服に魔王軍は必要ですか?   作者: ダミー


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第4話 逃亡者

すっごい色々考えてリリィは考えて行動してるように見えますけど、


ステータスオール1ってことは頭脳も1なんですよね……。

塔の前の土を手でかき集めてダンジョン内に持ち込むことを繰り返した。


でもスコップがないからたくさん掘ることができない。力がないから一気に運ぶこともできない。


数時間の格闘をして夜が明け始めたとき、この不毛な作業はもう諦めることにした。こんなの無茶だ。あれだけ頑張って土を運んでようやく米袋2つ分10kgといったところ。


他のところにダンジョンを作り直すことも考えたが、それはできないらしい。初めてのダンジョンは魔力消費が不要だが、2個目以降のダンジョンを作るには必要になるので魔力が1しかない自分には無理。


ということで、諦めてモンスターはこの10kgの土で作ることにした。


「いでよ、スライム!モンスター作製!」


土が虹色に光りだし形を粘土のようにグネグネと変えていく。


そしてついに目の前に水色のプルプルとしたスライムが現れた。


「キュッ!」

スライムは小さく鳴くと飛び跳ねながら私の方に近づき、肩の上に乗った。キュッキュッ鳴きながら頭?を擦り付けてくる。


土はスライム1体に使い切ってしまったようだ。仕方ないが、このスライムをこのダンジョンのボスモンスターということにしよう。(そうでないと自分がボスをやるハメになる。)


「スライムよ、お前に名前を与える。」

「キュッ!」

「お前の名前はライだ。余に忠誠を誓え。」

「キュッ!」

「余は神によって力を奪われ今はとても弱い。余が強くなるまで余を護衛せよ。」

「キュッ!キュ〜?」

「うむ。余が強くなっても余に仕え続けよ。その身が滅ぶその時まで。」

「キュッ!!!」


なんだか、かわいいものだ。キュッしか言わないがなんとなく言いたいことが伝わってくる。このスライム……いや、ライから流れ込む思念には、敬愛と忠誠が強く感じられる。

まあ、彼らが戦闘しても強くなることはないが……。


 ライ

 種族: スライム

 年齢: 0歳

 Lv 1

 HP: 100 / 100

 MP: 100 / 100

 SP: 50 / 50

 攻撃: 10

 防御: 20

 速度: 5

 器用: 5

 頭脳: 10

 精神: 5

 運勢: 20

スキル

 水属性攻撃無効

 物理攻撃耐性(小)

 火属性ダメージ倍加(小)

ユニークスキル

 スライムの力



ふむ、主人の10〜100倍ほど強いと……。

今、謀反されたら魔王討伐されるのでは!!?


と思い、肩に乗るスライムを見つめる。スリスリと体を寄せており、とても可愛らしい。まあ、この状態なら大丈夫かな。


それと、スライムのスキルは、と。


 【スライムの力】

 ユニークスキル

 [吸収]

触れたものを任意で吸収し、スライム内の次元空間に保存する。次元空間内は時間が停止する。

 [合成と分解]

次元空間内の物質を合成または分解できる。



まあ、普通のスライムのスキルとあまり変わり映えしないな。とはいえ、今のところ心強い護衛にはなってくれそう。


ライを連れて塔の階段を登ろうと階段に触れると、突然景色が変わり、私が目を覚ました部屋が目の前に現れた。この部屋に戻ろうと思ったからだろうか、ダンジョンの管理者は場所を頭に思い浮かべるだけでダンジョン内を自由に行き来できるらしい。



部屋から窓の外を覗くと周りは雲海が広がっていた。やはり、最初の部屋は塔の霧がかかっていた部分よりはるか上にあるらしい。明るく光る太陽が眩しく、そして美しい。まるで飛行機から外を見たときのような壮大な景色に見惚れてしまった。


当たり前のような太陽光にあたっているが、むしろポカポカしてきて力が漲るような気がする。光ダメージどころか、光が当たると回復する特殊な吸血鬼になったからな。



そんなこんなで黄昏ながら、今後のことを考えてみた。ダンジョンの強化は無理。モンスターもライ以外に作る体力がない。戦闘で経験値も得られない。


もはや、この部屋に冒険者なり勇者なりが押し掛けないことを祈りながら自分の血を吸って強くなるのを気長に待つしかない。幸いにしてここは深い森の真ん中にあるようで、人っ子一人いない。

お腹も空いてないし、吸血鬼は食事が不要なのだろう。


うん。自分の血を吸って寝よ。カプッと自分の腕に噛みつき、血を吸う。まるで蚊に血を吸われているときのように何も感じない。噛み付くと同時に局所麻酔薬でも注入して痛みを鈍化させているのだろうか……。謎は深まるばかり。


ひとしきり血を吸い終わったら、満腹感のせいか眠くなってきた。ちょうどそこに寝心地のいい棺桶(吸血鬼の感性なのか)があるので、そこで寝ることにしよう。





それから、血を吸って寝るだけの毎日が始まった。初めはちょこちょこステータスを確認していたが、ずっとつづくオール1の表記に飽き始め、次第にステータスを見なくなっていった。


幸いにしてやはり誰も塔に訪れる様子もなく、たまにネズミなどの小動物が入るくらい。平和なものだ。



何回季節が巡っただろうか、何回あの眩しい夕日を見ただろうか。いつしか数を数えるのをやめてしまった。


勇者と魔王の因縁もすっかり記憶の彼方に。


毎日血を吸ってライと遊び、ライを愛でて寝るだけの日々。いつしかこのスローライフを楽しんでいる自分がいた。


ここ最近の趣味は塔の1階の前で冷たい塔にもたれながら夜空を眺めること。昔は、夜空をそんなに見ることはなかった。むしろ手元の書類やスマホに目をやることばかりで、星空を楽しむ習慣なんてなくなっていた。


こちらの世界に転生して何年か経った頃だろうか。


いつものように夜空を眺めていた時のことだった。


いつもなら静かなはずの森がザワザワと俄かにやかましくなり、喧騒が森の向こうから聞こえてくるようだった。そして徐々に音が近づいてくるかと思えば、こちらに走り寄ってくる足音が聞こえてきた。


軽い足音だが焦ったように走っており、まるで子供が逃げているような音だ。そうすると森の奥の方から、茶髪で5〜6歳の少年が泣きながらこちらに向かって走ってきており、後ろからいかにも騎士といった出立ちの大人たちが剣を抜いて少年を追いかけているようだった。


一度は少年の護衛かと思ったが様子が違う。明らかにあの騎士たちの目はその少年に殺意を向けていた。このままでは少年は追いつかれて斬られてしまうだろう。



これがこの世界に来て初めての人間との遭遇だった。



そして、このときの私は考えてもいなかった。



この少年との出会いが私の運命だけでなく、世界の運命をも変えていくことになるのだということを。

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