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世界征服に魔王軍は必要ですか?   作者: ダミー


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第1話 魔王転生

 気がついたら、真っ白な世界にいた。

 どこにいるのかと周囲を見渡すと、自分の手と足が見当たらない。あろうことか胴体すらも見当たらない。これは一体…。


「目覚めたかね。」

 声のする方に目を向けると、頭が禿げていて、立派な白い髭を蓄えた老人が佇んでいた。老人は古代ギリシア人のような白い服を着ていた。このテンプレな展開に嫌な予感がよぎる。


「君にはこれから異世界に行ってもらう。」


 やはり、異世界転生というやつか。現状に不満はあったけど、転生までする気はなかったんだが…。

 

 そう訴えると、老人は困ったような顔をしながら、続けて話し出した。話の内容をまとめるとこうだ。


 どうやら、とある異世界に魔王として転生してほしいとのこと。そこはいわゆる剣と魔法の世界で、人類最高戦力の勇者と魔族最高戦力の魔王が争う世界。勇者が魔王を討つこともあればその逆もまた然り。だが、どちらかの国が滅ぶこともなく、どちらかの民族が死滅することもなく、争いは次代の勇者と魔王に永遠と引き継がれているのだそうだ。

 

 世界の唯一神であり管理者であるというその老人は、その状態に辟易としていたらしい。前回の勇者と魔王はまさかの相討ちで、ちょうどチャンスだからと、自らの手で勇者と魔王を転生させ、この不毛な争いを断ち切るつもりらしい。人間と魔族、勇者と魔王、勝っても負けてもこれが最後の勝負。もう勇者召喚も魔王転生もできなくなる。

 今代の勇者と魔王には己の欲する通りの力を授け、自分が思うように世界を平和にしてほしいそうだ。ただし、その与えた力に相応しい代償(デバフ)を与えるとのこと。これが世界の調停者・管理者として神が行使できる精一杯だと。


「与える能力またはステータスは合わせて5つじゃ。」


「どんな能力が欲しいかね。なんでも叶えてやろう。」


世界を自分が思う平和な世界に……。そのためには……。


「あなたが知らなくても、そんな能力がその世界になくとも、あなたが説明が理解できればそれは叶えてくれるのか?」

「もちろんなんでもじゃ。能力の詳細まで決めてくれてもいいが、曖昧なところは勝手にこの世界が調整してくれるので安心するが良い。」

「では……。」


 俺はほしい能力を伝えると、神を名乗るその老人は快く叶えてくれた。そして俺は意識を失った。

 



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 目が覚めると今度は真っ暗な世界だった。

 どこをみても真っ暗。というよりかなり狭い。なんだここは。


 目の前に手を伸ばしてみると木の板があり、それを押してみると明るい光が目に飛び込んできた。体を起こしてみれば、どうやら自分がいたのはこの棺桶らしい。


 顔に手やると、わかりやすく口から出ている牙がでていた。予定通り俺は吸血鬼らしい。


 にしても、上半身が妙に重い。重心が変だ……。まるで鎧でも着ているかのような……。


 そう思って自身の体に目をやると、自身の胸部に柔らかくわずかに丘状の物体とその頂点に桜色の小さな梅干しが乗っていた。思わず自身の下半身に目をやると、我が自慢の息子である振り子はなくなっていた。道理でバランスがとりづらいと思った。男はこの振り子でバランスを取って歩いているのだから。


 という冗談はさておき、どうやら俺は女になってしまったようだ。顔はわからないが柔らかな肌。若い女……、いや女児の吸血鬼、いやロリ吸血姫というべきか。そういえば、あの老人、俺が意識を失う直前に、「どうせ最後なら、萌えがあっても……」とか言ってたな。これが答えか、クソジジイ。いい趣味してやがる。


 一旦落ち着こう。ともかく、今は現状把握が先決か。

「ステータス」


 そう唱えると、目の前にゲーム画面でお馴染みのステータスが表示された。


 リリィ

 ジョブ: 真祖吸血姫(魔王種)

 年齢: 11歳

 Lv 1 (MAX)

 HP: 1 / 1

 MP: 1 / 1

 SP: 1 / 1

 武器: なし

 防具: なし

 攻撃: 1

 防御: 1

 速度: 1

 器用: 1

 頭脳: 1

 精神: 1

 運勢: 1

スキル

 ダンジョンマスター New!

 スキルメイカー New!

 AI New!

ユニークスキル

 血の掌握 → 純血の華 New!

 不老不死

 光属性ダメージ倍加 → 光属性吸収 New!

呪い

 オンリー1

 経験値取得効率低下(特大)


 ステータスに並ぶ1は一旦放置。スキルが5つではなく3つになっているのは、スキルの枠2つを種族特有のスキルであるユニークスキルの改変に使ったからだ。

 まず、血の掌握は吸血鬼の成長・戦闘に直接関わるスキル。いわゆる他人の血を吸えば、スキルやステータスを奪って成長したり、自身の血を使って武器を作ったり戦闘したり、自身の血を与えることで眷属化したりと汎用性が高い。吸血鬼といえばこのスキルと言えるだろう。

 

 純血の華は他者の血を吸ってもスキルや技能、経験値、ステータスを奪えないが、自身の血を自ら吸うことによって強化するように改変した。また、血の掌握ではデバフであった吸血衝動を削除した。


 【純血の華】

 ユニークスキル

 [強化] 1日1回、自身の血を吸うことで年齢以外のステータス全項目を前日より2%増加させる。他者の血を吸っても何も起こらない。

 [使役] 自身の血を他者に飲ませると、眷属の吸血鬼となる。

 [創造] 自身の血を使って任意の物体を作り出すことができる。

 [吸血] 吸血衝動を無効化する。

 [幻術] 他者と目を合わせて能力を発動することでその者に状態異常[魅了]を付与する。状態異常[魅了]が付与できなかった場合、その者に敵意を抱かせる。※[魅了]の効果: 思考・感覚・行動をコントロールできる。コントロールされている時の記憶は効果終了後も残存する。

 [偽装] 自身の血を身に纏うことで自身のステータス表示を任意の状態に偽装できる。実際の能力値は変わらない。


 【不老不死】

 ユニークスキル

 [不老] 年齢が固定化される。状態異常による変更も不可。

 [不死] HPが0になっても死亡しない。不死属性が付与される。※[不死属性]の効果: 【光ダメージ倍加】のスキルを得る。光ダメージの累積値が最大MPを超えれば[不死]効果が無効化される。[不死]効果の無効化は1日後に解除される。

 【光属性吸収】

 ユニークスキル

 光属性ダメージを無効化し、ダメージ値の分だけMPが回復する。MPがこれ以上回復しない場合は、余剰分だけHPまたはSPに分配される。HPまたはSPにも振り分け不能の場合、余剰分だけステータスの各能力値をランダムで上昇させる。


 不老不死はもともとついていた吸血鬼のユニークスキル。そのデバフ効果であった光属性ダメージ倍加を光属性吸収に改変した。これが1番厳しい交渉だったが、呪いを2つにすることで神と合意に至った。そして、その呪いというのが……。


 【オンリー1】

 呪い

 年齢以外の全ての初期能力値を1にする。

 【経験値取得効率低下(特大)】

 戦闘による経験値取得効率が99%減少する。


 徹底的に成長させないようにするつもりらしい。事実上、唯一成長できる方法が純血の華だけになる。

 少なくとも今攻められたら死にはしなくても封印されて二度と表に出てこなくなるくらい弱い。勇者の持つスキルによっては【不老不死】と【光属性吸収】を突破してくるかもしれない。初めは死ぬリスクは高いが、強くなりさえすればそうそう負けないと思う。今はとにかく潜伏生活だな。


 棺の横に置いてある姿見で髪型や服装を整えてから出かけるとしよう。姿見に映る自分の姿は吸血姫として申し分ないほどかわいい。

 サラサラな長い銀髪。切り揃えられた前髪の下にクリクリと愛らしい目。そして吸血姫らしい赤い瞳。

 体型は中学生くらいの背に成長途中といった胸部装甲。艶やかな白い肌が月夜でキラキラと光っているように見える。

 ロリ吸血姫といえばコレ、といった見た目だった。あのクソジジイ、やっぱりいい趣味してやがる。ウキウキしながらこの体を作ったのだろう。悍ましい見た目の男の魔王より、可憐な見た目の魔王の方がテンションがあがるのはまあ理解できる。もし死んだら一度ともに茶でも飲みたいものだ。


 この見た目で、一人称「俺」は違和感があるし、今後は「私」……いや私って言いづらいし魔王っぽくない。普段クールぶってるが、俺も俺とてクソジジイの趣味に共感できる程度にはオタクな一面もある。

 ロリ魔王に似合う口調といえば……余、かな。語尾はもちろん「のじゃ」でいいだろう。のじゃロリは王道鉄板だろう。


 そんなくだらないことを考えながら、部屋の外にでて、永遠に続くかのような長い螺旋階段を降りて行った。

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