桜の園6
桜の園の木の床は歩くたびにギシギシと音を立てる。うちといい勝負なくらい随分と古い建物だ。
廊下を進むと2階へと続く階段が現れる。アゲハはそれを横切りながら先に進むので、サクの部屋はどうやら1階らしい。
階段の方に目やると花が飾られた薄暗い踊り場が見えるだけで2階の様子は分からない。
階段を横切った先には小太りな中年男性を模した弁柄色の木像がじっとサクの事を見つめていた。
すれ違う時もその木像から視線を感じて気味が悪い。
階段を通り過ぎた先の廊下には扉がいくつも並んでおり、そこには【103】【104】と言った具合に部屋番号が書かれている。
「男の子は1階です。上の階は女の子の部屋なので男子は入っちゃ行けませんよ?」
まぁ、女の子も男の子の部屋に入っちゃダメなんですけどね?と付け加えながらアゲハは楽しそうに尻尾を振る。
じゃあさっきの階段が女子の部屋へと続く階段なんだろう。
「行きませんよ、別に興味ないですし」
ちょっと興味があるが、そんなの恥ずかしくて言えるわけもない。
そんなサクの顔をアゲハはクスクスと笑いながら覗き込む。
「あ、因みにもし女の子の部屋に続く階段を登っちゃうと……」
そうアゲハが説明しようとした、その時だった。
バチィィィィン!!!
突如何かの破裂音が響く。少し遅れて衝撃波が風としてサクの身体に吹き当たった。
ドンッ、ゴロゴロゴロ……。
振り返ると、先ほど通り過ぎた階段から真っ黒コゲになった1人の男子生徒が転がり落ちてきた。
それはそのまま廊下の壁にぶつかると、黒い煙を上げながらぴくりとも動かなくなってしまった。
「…………ああなっちゃうので、サク君は黙って侵入しようとしちゃダメですからね?」
「肝に銘じておきます」
多分、魔法か何かだろう。男子禁制の女子寮に男子が入ったらああなるみたいな。
冷や汗を流しながらサクは小刻みに頷いた。




