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夏祭りの胸騒ぎ(1)

SFカテゴリーで『光と陰-織りなす夢に形』に、双子の美人をヒロインにして毎日投稿しています。

純文学のエッセイでも思ったことを随時投稿していますが、短編集も書いてみることにしました。

反応が強かった短編を長編にしていこうかなと思っています。これもまた宜しくお願い致します!

暗闇に提灯の灯火

男達の汗と喧騒

それを取り囲む人々

人は何を思ってみているのだろうか?


僕は神輿に押されて後ずさる群衆を横目に

その後ろの歩道を歩いていた。

その道は神社に向かう参道で

両脇には出店が並んでいる。


いつもの参道と違って

すごく賑やかな時間となっていた。

たこ焼き屋、お好み焼き屋

りんご飴、チョコバナナ

綿菓子屋、たい焼き屋

お面屋に焼きそば屋

金魚すくいに射的まである。


一番印象に残ったのが、

お面屋だった。

数あるお面の中で狐のお面が大好きだったのだ。


夏夏りの汗ばむ空気の中で

僕は何かを探していた。

いや、むしろ見つけてもらいたかったのかもしれない。


田舎の中学のため

男子生徒は5分丸刈り以下が規律だった。

女子は肩に付かない長さだ。


内気で引っ込み思案の僕は、

女子学生と話すのは大の苦手であった。

外見が可愛くない女子に関してはさほど緊張はしないのだが

いわゆる美人の女子学生の前ではたじろぐ自分がいた。


学校では、そういった彼女達に目を合わせないように

でも外見を眺めて鑑賞していたのだった。


この日も1人であてもなく歩きながら

その彼女達の姿を探していた。


まず目に留まったのは

まるでハーフのように色白で大き瞳をもつ加藤だった。

彼女は中学生にしては発育がよく胸の大きさが目立つ大人びた女子だった。

その妖艶な身体は男子学生達の憧れの的であった。

『あれ、男と一緒にいる! しかもあの笑顔・・・』

『同じ中学のやつじゃないけど、どこの男子だろう?』

様々な憶測が飛び交ってくる。


次に道端で見かけたのは鈴木だった。

この子はバスケ部ですらっとした8頭身の身体の持ち主で、

小さく整った顔を持っている。

さっきの加藤と違って

勉強は中の下ぐらいになる。

やっぱり予想通り部活の女子仲間とワイワイ騒いでいる。

他の男子と違って、

僕的にはこの均整が取れたプロポーションの持ち主の彼女は推しなのだ。


そして最後に見かけたのが木村だ。

彼女は同じクラスの女子

品がある優等生クラスの女子で

細く長い足が印象的である。

肌の色は日焼けした感じなのだが

顔が小さく堀が深い造形をしている。

しかも今同じ班のメンバーなのだ。


「あれ、石塚! 1人なの?」

と見つかってしまい声をかけられた。

流石に美人でも同じ班の女子にはある程度抵抗力がある。

「おっ木村、友達??」

「この子は従兄弟だよ。学区が違うから違う学校に行っているけど同い年。」

その従兄弟も綺麗な子だったので、本当はこのチャンスに話をしたかったのだが

心臓がバクバクと高鳴りそれどころではなかった。

向こうも同じ班だからか?話したがっている様子であった。

その従兄弟とやらも僕に興味を持った印象を得たのだが・・・

そこで思いがけずにカッコをつけてしまったのだった。

「ごめん、人探しているから。じゃあな!」

またもやチャンスを無駄にしてしまったのだった・・・


「おい、石塚!石塚!!大丈夫か?」

同じ部署の同僚が声をかけていたのに気がつき我に返った。

『あっ また空想の世界に行ってしまったのか・・・』


どうやら目の焦点が合っていなかったようだ。

彼に声をかけられて、咄嗟にピントを合わせた。

『そうだ!社長秘書の子を眺めていたんだった』

彼女は去年の新入社員で今や会社のマドンナ的女子である。


今ここは僕が所属する会社の忘年会だったのだ。

社長の挨拶の真っ只中で隣には秘書の彼女がたっている。

書類を持ってサポートしているようだ。


仕事上なんの接点もない彼女なのだが、

昨日の内線電話はなんだったんだろうか?

確かに「明後日の定時以降空けておいてもらえますか? 

詳細は当日の午前中にまたお電話しますので。」

と言っていたと思う・・・





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