30 再会への導き
ジアの強い腕に抱きしめられたあみは
冷たい夜風の中でその温もりを感じていた
彼の胸に顔を埋めたまま、小さな声で「ありがとう」と呟いた
その言葉に応えるように、ジアは小さく息を吐き、低い声で「良かった……」と呟いた
ジアが腕を緩めると、あみは彼の目を見上げた
その瞳には安堵の光が宿り、彼女を守ろうとする強い意志が感じられた
「あのね、ジア……話したいことがあるの」
あみは慎重に言葉を選びながら口を開いた
ジアは黙って彼女の言葉を待つ
「エリクさんのことなんだけど……あの人の娘、エリナちゃんが捕まっているの」
その言葉にジアの眉がわずかに動き、鋭い視線があみに注がれる
「エリナが?」
ジアは短く問い返した
その声には冷静さを保とうとする意志が滲んでいたが、どこか焦りも感じられた
「うん。私、エリナちゃんに会ったの。とても心細そうにしていて……助けてあげたい」
あみの声にはエリナへの強い思いが込められていた。ジアはしばらく沈黙し、彼女の言葉を深く受け止めているようだった
「……分かった」
ジアは短く返事をすると、鋭い目で周囲に命令を飛ばした
「エリクを連れて来い」
しばらくして、エリクがジアの前に連れて来られた
彼の表情には疲れと覚悟が混ざり合い
視線を下に向けていた
ジアは冷徹な目で彼を睨みつけ、静かに問いかけた
「エリク。お前が裏切った理由を話せ」
エリクは一瞬迷いながらも、決意したように顔を上げた
「……娘を守るためだ。エリナを病院に連れて行ったんだが、そこで市長に脅されて……奴に従わないと、エリナの命が危ないと……」
その言葉に、ジアの目がわずかに鋭さを増す
だが、彼は表情を崩さず、短く命令を下した
「ついて来い。エリナを助ける」
牢屋の中、エリナは薄暗い光の中で小さく震えていた
扉が開かれると彼女は驚いたように顔を上げ
そこに立つ父親の姿を見て涙を溢れさせた
「お父さん!」
エリナは勢いよくエリクに駆け寄り強く抱きついた
エリクも彼女を抱きしめ震える声で「ごめんな、エリナ……」と呟いた
あみはその光景を見ながら
心が温かくなると同時に切なさを感じていた
しかし、その後ろに立つジアの目は鋭く冷たいものだった
「再会を喜ぶのもいいが、話は終わっていない」
ジアの声が空間を切り裂くように響く
彼はエリクを真っ直ぐに見据え、冷静に言った
「お前がしたことの結果は変わらない。仲間を裏切った者を俺たちは許すわけにはいかない」
エリクはその言葉に目を伏せ
黙ったままジアの言葉を受け止めているようだった
エリナは驚いたように父親を見上げ
「お父さん……?」と小さな声を出した
「お前を追放する」
ジアの冷酷な宣告が下される中
エリクはエリナを守るように抱きしめながら
ただ無言でその場を立ち去った




