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狼の耳の番  作者: himi
30/34

30 再会への導き



ジアの強い腕に抱きしめられたあみは

冷たい夜風の中でその温もりを感じていた


彼の胸に顔を埋めたまま、小さな声で「ありがとう」と呟いた

その言葉に応えるように、ジアは小さく息を吐き、低い声で「良かった……」と呟いた



ジアが腕を緩めると、あみは彼の目を見上げた

その瞳には安堵の光が宿り、彼女を守ろうとする強い意志が感じられた



「あのね、ジア……話したいことがあるの」



あみは慎重に言葉を選びながら口を開いた


ジアは黙って彼女の言葉を待つ



「エリクさんのことなんだけど……あの人の娘、エリナちゃんが捕まっているの」



その言葉にジアの眉がわずかに動き、鋭い視線があみに注がれる


「エリナが?」



ジアは短く問い返した

その声には冷静さを保とうとする意志が滲んでいたが、どこか焦りも感じられた



「うん。私、エリナちゃんに会ったの。とても心細そうにしていて……助けてあげたい」



あみの声にはエリナへの強い思いが込められていた。ジアはしばらく沈黙し、彼女の言葉を深く受け止めているようだった



「……分かった」

ジアは短く返事をすると、鋭い目で周囲に命令を飛ばした

「エリクを連れて来い」





しばらくして、エリクがジアの前に連れて来られた

彼の表情には疲れと覚悟が混ざり合い

視線を下に向けていた

ジアは冷徹な目で彼を睨みつけ、静かに問いかけた



「エリク。お前が裏切った理由を話せ」



エリクは一瞬迷いながらも、決意したように顔を上げた


「……娘を守るためだ。エリナを病院に連れて行ったんだが、そこで市長に脅されて……奴に従わないと、エリナの命が危ないと……」



その言葉に、ジアの目がわずかに鋭さを増す


だが、彼は表情を崩さず、短く命令を下した



「ついて来い。エリナを助ける」





牢屋の中、エリナは薄暗い光の中で小さく震えていた


扉が開かれると彼女は驚いたように顔を上げ

そこに立つ父親の姿を見て涙を溢れさせた



「お父さん!」



エリナは勢いよくエリクに駆け寄り強く抱きついた

エリクも彼女を抱きしめ震える声で「ごめんな、エリナ……」と呟いた




あみはその光景を見ながら

心が温かくなると同時に切なさを感じていた

しかし、その後ろに立つジアの目は鋭く冷たいものだった



「再会を喜ぶのもいいが、話は終わっていない」



ジアの声が空間を切り裂くように響く

彼はエリクを真っ直ぐに見据え、冷静に言った




「お前がしたことの結果は変わらない。仲間を裏切った者を俺たちは許すわけにはいかない」




エリクはその言葉に目を伏せ

黙ったままジアの言葉を受け止めているようだった

エリナは驚いたように父親を見上げ

「お父さん……?」と小さな声を出した



「お前を追放する」



ジアの冷酷な宣告が下される中

エリクはエリナを守るように抱きしめながら

ただ無言でその場を立ち去った




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