幕間 レベットと王太子
レジーナが出て行ってから数ヶ月後、クワイアンス公爵家にある人物が訪問していた。
「レベット、元気そうで何よりだな」
「おかげさまでね、特に変わりはないよ」
「離婚した、と聞いたから少しは落ち込んでいる、と思って慰めに来たんだが……」
「ご期待に添えなくて悪いがお互い合意で円満な離婚なんだ。 気にする事ではないよ」
「いや、気にしているのは……」
「わかってる、レジーナの事だろ?」
レベットが親しく話しているのはこの国の王太子、ロガッタ・ケイランス。
彼は学友でありライバルでもありレジーナの事を何気に気にしていたのだ。
「レジーナは今は平民として元気に暮らしているよ、それよりも大鉈を振るったな」
「あぁ、コンシュランド公爵家の事か? ユリアはまず王家に相応しく無かったし愚弟は王家としてのプライドを持ち合わせていなかった。 適切に判断しただけだ」
「そういう所が『氷の王太子』と呼ばれている由縁だし未だに婚約者が出来ない理由なんだろうな」
「煩い」
レベットがそう言うとロガッタは苦笑いした。
「本来はレジーナが王家に来る予定だったんだ。それなのに有能さを理解しなかった公爵が邪魔してきてお前と無理矢理結婚の話をつけた、お前には真に愛する人がいるのにな」
「でもレジーナはそこを理解してくれて、ミッシェルを相応しい人物に教育してくれた。 彼女は本当に俺には勿体無いくらいだよ」
「あぁ、お前の顔を見ればわかるよ」
「それで? レジーナの居場所を聞きに来たのか?」
「そんな野暮な事はしない。 彼女が今の暮らしを満喫しているのは承知している。 ただ……」
「ただ?」
「彼女の力はこの国の将来の為に必要だ」
「……だろうな、このままだと勿体無い」
レジーナ本人はもう貴族に巻き込まれるのは御免だと思うがどうなるかはわからない。