元旦那様の訪問
私が離婚してこっちに移り住んでから1か月が経過した。
「はぁ~、平和ねぇ……」
のんびりとお茶を飲みながら新聞を読んでいる。
「レジーナ、元気そうだな」
「あら、レベット様ではありませんか」
我が家を訪ねてきたのは元旦那様だ。
別に不仲で離婚した訳ではないのでこの1か月も手紙ではやり取りをしていた。
まぁ、元旦那様も色々忙しいのでなかなか時間が出来ないのはわかっている。
「今、シェルナは買い物に行ってまして……」
「いや、誰かに聞かれるとちょっとマズい話があるんだ。レジーナだけには耳に入れて置きたい事があってね」
「もしかして元実家に関係がある事でしょうか?」
私がそう訪ねると元旦那様はコクリと頷いた。
「離婚が公表された後にコンシュランド家や王族からは手紙やら使者が来てね……」
「王族が決めた結婚ですからね、それが失敗したとなると王家の威厳に関わりますから」
「君が予測した通り、君が何処に行ったかの問い合わせが来たけど知らぬ存ぜぬを突き通している。今日も何者かが尾行していたみたいだが撒いてきた」
「あの人達は自分達の事しか考えていないですからね」
はぁ~、と私はため息を吐いた。
「実際の話、今王家の求心力は揺らぎつつある。そして、これはまだ何処にも出ていない情報なんだが……」
元旦那様は声を小さくして言った。
「君の妹、ユリア嬢の婚約だが破棄される可能性が出てきた」
「えぇっ!?」
私は驚きの声を上げた。
「ユリアは確か王族の方と婚約されていた、と聞いていますが……」
「第2王子と婚約されていたがその話が無くなりそうで公爵は焦っているらしい」
「理由はなんでしょうか? やはりユリアの我儘でしょうか……」
「それもあるが他にもあるらしい。 公爵はユリアの婚約の為に強引な事をしてきてどうやらその影響が出てきているみたいだ。 最悪公爵家にも影響は及ぶみたいだ。国のパワーバランスがひっくり返る可能性が出てきた」
これは国が荒れるだろう、そんな気がしてきた。