新しい門出、信頼できる仲間との再会
婚家を出て数時間後、私はとある一軒家の前にいた。
「ここが私の新しい住処になるのね……」
感慨深く私はそう呟いた。
この家は元旦那様と契約した時に報酬として頂いたもので名義は私になっている。
元々は公爵家が持つ別荘の1つだけど1人で暮らすにはゆとりのある広さで私には充分だ。
「さて、荷物を置かないといけないわね」
私は鍵を開けて中に入ろうとした。
「あれ? 既に開いている?」
鍵は私の手の中にあるし、まさか泥棒?と思ったけど中は荷物も何も入っていない状態、盗られる物は何も無い。
恐る恐る扉を開けてみると……。
「レジーナ様、お待ちしておりました」
メイド服を来た女性がいた。
「貴女……、シェルナじゃない」
「覚えていらっしゃって頂いて光栄です」
「どうして此処に? ていうか実家はどうしたの? 貴女、確かユリアに付いていた筈よね?」
私の脳内は?マークでいっぱいになっている。
シェルナは結婚するまで私の専属メイドであの家で唯一味方だった人物だ。
私が出て行ってからは妹のユリアに付いていた筈だったのだが……。
「私、レジーナ様が結婚した直後に退職して実家に帰っていたんです」
「えっ!? 辞めちゃったの?」
「えぇ、元よりレジーナ様以外の方に付くつもりはありませんでしたし、そもそも無理矢理レジーナ様を追い出したあの家に仕えるつもりは毛頭ございません。 私以外にもメイドや執事は辞めた者もいますから」
どうやら元家族はメイドや執事達に対して色々やらかしているみたいだ。
そんな事したらどうなるかわかっていないみたいだ。
「暫くは実家に身を寄せていたんですが私のメイド仲間がレジーナ様の元婚家で働いていましてレジーナ様の話を耳にするようになってレジーナ様がこの家を購入した、と聞きまして居ても立っても居られずこうして馳せ参じました」
「そうだったの……、世間って意外と狭いわね。でも、良いの?私はもう公爵夫人でもないし貴族令嬢でもないしただの平民よ」
「肩書など関係ありません。私はレジーナ様の下で働きたいのです」
そう断言してくれたシェルナに私はウルッと来てしまった。
「ありがとうシェルナ、これからよろしくね」
「こちらこそよろしくお願いします」