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第二輪 手ぇ柔らかっ!

「ねぇたっくん?考えてるだけじゃ分からないし試してみない?私がいるから魔力が切れても安心だし。ポーションならまだあるからね!」


 気絶なんかドンっと来い!そんな雰囲気を出すアイカ姉ちゃん。実際に気絶するのは俺なんだけども。

 指輪の実験のためなら魔力切れで気絶するくらい構わないんだけど、ちょっとイタズラしたくなった。

 

「はぁ〜いつもの天使のように優しいアイカ姉ちゃんはどこに消えたんだろ。まぁ一人で実験するより安全だからいいんだけど」

「そ、そんな今も心配で言ってるんだよ?ちょっとワクワクしちゃったのは事実だけど⋯⋯心配なのは本当だよ!」


 真っ赤な顔でアワアワしてる。


「分かってるよ、ありがとう!あははっ、ちょっとからかっただけだから!じゃあ実験してみる?」


 恋愛的な好きって気持ちはなくなってもアイカ姉ちゃんはやっぱり可愛い。


「もう!生意気になっちゃってー!魔力切れになっても知らないからね!ポーション、ビンごと投げてやる!」

「ごめんごめん、それは勘弁して⋯⋯いやまじでそれは勘弁してね!?」


 危うく普通に流すとこだった。ないとは思うけど完全に否定できないとこが怖い。


 「そ、それより実験しようか!どんなのがいいかな?」

 「今までのたっくんには出来なかった事で⋯⋯分かりやすくて簡単なのがいいんじゃないかな?」


 簡単で分かりやすいか⋯⋯それなら。


「行った事がない場所へのテレポとかどうかな?名前しか知らないような場所とか」


 写真なんかで見たことがある場所だと、何かの偶然でテレポできる可能性もなくはないし。

 

「それなら私行ってみたい所がある!魔族領のアルビスってスイーツ屋さんとかどうかな?」

「アルビス?魔族領なら普通のテレポじゃ絶対に行けない場所だしいいんじゃないかな」


 人間国の領域と魔族国の領域には魔法を使えなくする結界がある。ゆえに、仲が悪い訳ではないがお互いの領域には入りたがらない。

 教科書には遥か昔にはなかったと書いてあった。

 どんな理由で結界を張ることになったのかは分からないけど、今は人間領生まれは人間領で、魔族領生まれは魔族領でしか魔法を使うことは出来ない。


 あっ、二つの領域の中央に友好の街っていう誰も魔力が使えない場所もあるな。


「よかったー!ずっと前から行ってみたかったんだっ!あっそれならフードが必要だよね?待ってね、たっくんにはちょっと大きいかもだけどパーカー出してくる!」


 アイカ姉ちゃんはルンルンな足取りでクローゼットへ向かった。

 よっぽど行ってみたかったんだな。

 俺的にはスイーツよりパーカーの方が気になるけど。

 アイカ姉ちゃんはそんなに背が高い方じゃないからサイズは心配ないと思うんだけど。


「これとかどうかな?」


 黒い無地のパーカーだ。

 ピンクとか出てきたらイヤだなーと思ってたけど、これなら着れるな。


「サイズもギリギリおしゃれなくらいだし、これ借りるね!ありがとうアイカ姉ちゃん!」

「やっぱりかわいい!たっくん目がパッチリしてるから似合うと思ったんだ!ちっちゃい子供のクマさんみたい!かわいすぎるよー!」


 くまさん?なんの話だ?ん?このパーカー頭に⋯⋯。


「ちょっと鏡借りるね⋯⋯なにこれ!?こんなの着て歩きたくないよ!」


 話しながら着たからフードまで見てなかった。

 くるんとした耳だけじゃない。小さくつぶらな目と逆三角形の鼻までついてある。


 自分で言うのもなんだけど、この年でこれは流石にキツい。


「えぇー!可愛いよー?色違いだけど私もお揃いにしようと思ったのにー!」


 ほんとだ。白いパーカーだけど同じ耳と目と鼻がついてある。

 アイカ姉ちゃんは髪の毛が黒い珍しいタイプだから白い服だと目立ちそうだけど⋯⋯フード被るから問題ないか。

 お揃いかぁ。こんな機会でもなかったら出来ないとは思うんだけど。


「大丈夫だよ!魔族領だから知り合いに会うこともないだろうし!初めての魔族領だよ?せっかくだからお揃いで行こうよー」


 確かに知り合いに会う事もないしアイカ姉ちゃんには助けてもらった恩もあるからな。

 しかたないな。これはしかたない。


「じゃっこの服で行こっか。アルビスだったよね?準備はいい?」

「アルビスであってる!ふふっ、ポーションも持ったしいつでもいいよ!」

「よし。じゃぁ俺のテレポで飛ぶから一応、手、繋いどこっか?」


 普通のテレポなら近くにいるだけで大丈夫なんだけど。

 何が起こるか分からないしな。一応、念の為にな。


「うん!楽しみだねっ!」


 手ぇ柔らかっ!⋯⋯後は指輪が言う事を聞いてくれるかだな。まぁ大丈夫だろ。今の俺なら何だって出来る気がする。


「よし、それじゃあ認識の指輪よ!認識を変えろ!目的地は魔族領アルビス!テレポ!」



「たっくん⋯」

「よし、それじゃぁ認識の指輪さん!認識を変えて下さい!魔族領のアルビスというスイーツ屋さんに行きたいです!お願いします!テレポ!」



「⋯そういえばもう夕方だし暗くなる前に帰っ」

「俺は魔族領にあるアルビスへテレポできる!認識を変えろぉぉぉー!テレポーーーーー!!!!!」シュンッーーーー

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