74話 楽しいランチ
「お腹が空いたですの!」
「んじゃあ、何処かで食べるお店を探すか」
「妾も一緒に食べるのじゃ」
ヒョウガ達が歩きながら話してると、さり気なくリーフが話に入り込む。
「な、何で私達に付いて来てるのよ!?」
「それはなのじゃね。コロネが『折角だから、未来の婚約者>」
と食べてきたら?』って言ってたのじゃじゃ」
「んじゃあ、一緒に食おうな」
「ムッ」
存在を確認すると、当然ながら突っ込みを入れる。
理由を伝えられて、不満な顔を見せるも、ヒョウガの方は優しく受け入れた。
―――ぜ、絶対にリーフみたいな幼女より、私の方を振り向かせるんだからね!
アミリはリーフを凝視し、闘志を燃やす。
「なあ、リーフ。何が食べたいんだ?」
「妾はね‥‥‥」
「わ、私は温かいものが食べたいわよ!」
「温かい物か。グラッタとか、ドーリアとか?」
「そ、そうよ!」
「ん、分かった。んじゃあ、行くぞ!」
という訳で、グラッタやドーリアのあるレストランを探していると。
「ねえねえ、ヒョウガ。あそこなら条件に合うんじゃない?」
そう言って指を差したのは、『ラ・ヴァイア』と言うグラッタとドーリアのお店で。
「確かに良さそうですの!」
「確かにそうです」
「ここ良いよ~」
「んじゃあ、入るぞ!」
後ろを歩いていたアーティナ、ミューフィ、サラがショルダーケースの中にある食品サンプルを覗き込んでそう言い。
ーーー店内へと入店した。
「いらっしゃいませ! 七名様ですね。どうぞこちらへ」
ウェイトレスの女性に案内された所は、両方共がソファー席で。
「どうぞ! メニュー表です。ご注文が決まり次第お呼び下さいませ」
そう言ってメニュー表を二つ渡すと、一度別の場所へ行き―――水を二回に分けて持って来てから、別のお客さの元へと向かう。
―――今更だが、座る順番は奥川にアミリ、ヒョウガ、リーフ、そしてアミリの前にミューフィ。ヒョウガの前にサラ。リーフの前にアーティナ、カナミだ。
「何にしようかな」
とカナミが、メニュー表を捲っていると。
「アタシはランチメニューにある、海老と#烏賊__イカ__#のシーフードドーリアのAセットにするですの」
アーティナが頼むAセットには、ワンタンスープとサラダが付いて来る。
「んじゃあ、俺は牡蠣のドリタンのスープセットにするぞ!」
ヒョウガが選んだ牡蠣のドリタンは―――牡蠣がたっぷりと入っているドーリアグラッタのこと。
「妾は何にしようかなのじゃ。全部美味しそうで迷っちゃうのじゃじゃ」
彼からメニュー表を見せて貰ったリーフは、彼方此方を見て可成り悩む。
「わ、私はランチメニューの奴に決めたわよ!」
アミリが選んだのは、茸と舞茸のクリーミーグラッタのAセットらしく。
「よし、私はこれにしよう」
とカナミが選んだのは、アーティナと同じで、海老と烏賊のシーフードドーリアのAセットを選ぶ。
「では、ワタシはランチメニューにある、パンプキンドーリアのBセットにします」
ミューフィの選んだBセットには、パンとサラダが付いてる。
「それじゃあ、ウチはチキンドーリアのサラダとワンタンスープセットにするよー」
とサラも決まったらしく。
「妾も早く決めないといけないのじゃ。ん~ん、ん~ん。迷うのじゃじゃ。ん~~~ん。じゃあ、これにするのじゃ」
幼女は迷いに迷った挙げ句、シチュードーリアの単品を選んだ。
「済みません!」
その声に反応したウェイトレスの男性が、注文を伺いにやって来て。
「ご注文をお伺いします」
「え~と、海老と烏賊のシーフードドーリアのAセットを二つと、牡蠣のドリタンのスープセット一つ。茸と舞茸のクリーミーグラッタのAセットを一つに、パンプキンドーリアのBセット一つとチキンドーリアのサラダとスープセット一つ。シチュードーリアを単品で一つ下さい」
「注文の確認をします。ランチメニューの海老と烏賊のシーフードドーリアのAセットを二つ。牡蠣のドリタンのスープセットが一つ。ランチメニューの茸と舞茸のクリーミーグラッタのAセットをお一つ。同じくランチメニューのパンプキンドーリアのBセットをお一つに、チキンドーリアのサラダとスープセットがお一つと、シチュードーリアの単品がお一つ。以上でお間違いありませんね」
注文を伺い終えると、厨房へと向かって行き―――注文をキッチンスタッフに伝える。
それから何十分かして二つが運ばれてきて、更に十分かして二つ運ばれてくる。それから何分かして二つ運ばれてくると、それから何分かして一つ運ばれてきた。
流石のヒョウガ達も、こんな大勢の客の前だと、食事の挨拶はせずに食べ始めて。
「戴くのじゃ。ふうふう。ん~ん。ハアハア。あっ、あっ。熱いのじゃ。でお、美味しいのじゃじゃ」
「そりゃ、ドーリアだかっら熱いに決まってるぞ!」
早速フォークで掬
い上げたドリアを、軽く吹いて口に入れたリーフは、熱いが故に舌を絡ますも、美味しそうな顔をし、
その光景を見て、当たり前のように言うヒョウガだったが、美味しいなら良かったと言う。
「ふうふう。パクッ、ん~ん。この牡蠣のドリタン。牡蠣の甘さが、ホワイトソースと会って美味いぞ!」
「わらわにも一口頂戴なのじゃ」
ヒョウガがフォークにほわーとソースの乗った牡蠣とドリタンを吹いて少し冷ますと、口の中に頬張り、味の感想を率直に言う。
リーフが口を開いて催促してくると。
ふうふうと掬い上げた分を冷まし、口の中へ放り込む。
「ん~ん。美味しいのじゃ」
「だろ!」
その光景を横で食べらがら観ていたアミリが、羨ましそうに見ていると。
「ん・・・・・・!? アミリも一口入るか? その代わりにそっちのも貰うぞ!」
彼女は辺りを見渡し終えると、口を開け。
「ん~ん。か、牡蠣の旨みがホワイトソースと絡まって美味いわよ! はい、ヒョウガ先輩!」
と言ってアミリは、彼に茸と舞茸がタップリと乗ったグラッタを、口の中へと放り込んで来て―――。
パクッ、
「ん~ん。美味いぞ!」
「そ、そうでしょ! 茸と舞茸が凄くクリーミーソースとご飯絡んで良いわよね」
ヒョウガの味の感想を聞き、嬉しそうにそう言ってから、自分も感想を言う。
パクッ、
「ん~ん。何度食べても美味しいですの! プルプルした海老と、パキツっとした烏賊がシーフードソースとご飯に合って、とても美味しいですの!」
「私も同じだよ! 凄く美味しいね!」
アーティナとカナミも美味しそうに食べて感想を言う。
パクッ、
「ん~ん。パンプキンドーリアも想像以上に相性抜群です」
「ウチのチキンドーリアも、普通に美味しいよ~」
ミューフィとサラも食べた感想を率直に言い。
ゴクゴク、
「ん~ん。このワンタンスープも美味いぞ!」
「ちょ、一寸冷めて来たけど美味しいわね!」
「本当ですの! こんなに美味しいのは、アタシも飲んだこと無いですの!」
「こんな美味しいのも飲めて満足だね!」
「ホントそうだよー」
ワンタンスープを飲む五人が其々感想を口にしてると。
「サラダも美味しいです」
とミューフィがそう零すが、五人とも既に知っておりーー
「此方のパンも美味しいです」
と大満足そうなミューフィが食べ終わり、他の子達も次々と完食していくが、ただ一人を残しては。
「ふうふう、もうお腹一杯なのじゃ」
「まだ少し残ってるね」
「仕方ないから、アタシが食べて上げるですの!」
もう満腹な顔をし出すリーフに、カナミがそう口にして。
するとアーティナが、幼女の残した分を食べてあげると言うことで、皿ごと自分の前へ持って行く
そして残った少しを、ぺろりと間食し。
「ありがとうなのじゃ。完食してくれて」
「どう致しましてですの」
少しでも、二人の仲が縮まれたと言えるのではないか。
―――り、リーフって、本当はしっかりできる子じゃない。唯ヒョウガ先輩の事が好きで、他の人はどうでもいいって思っている訳じゃ無いのね。これなら普通に仲良くなれるかも。
リーフへの印象が、アミリの中で少しずつ良くなっていくのに気付いた。
全員が食べ終わり。水で一息吐くと、布巾で口を綺麗に拭き終ってから、レジに向う。
その内に、カナミ達はお店の外に先に出て行き―――。
待つこと数分して、会計を済ましたヒョウガがやって来てから。
「んじゃあ、これからどうする?」
とヒョウガの問い掛けに、皆が悩み込んだ。




