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この運命を天使《キミ》と共に  作者: 事故物件住まいの伽藍鳥
4章 激動の交武祭典篇
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73話 アクシデントと海底楽園都市《ライシス》

修正とシーン追加しました

出発する前に'妙なもの´に気付いた乗組員さんが、


 「え~と、皆さん、先ほど潜水艇内を捜索中、怪しいバッグを発見しました。安全の為に一度外への避難にご協力ください。安全が分かり次第にすぐに出発するよう指示してきますので」


  乗組員の男性の一人が血相を変えてやって来た。

それを聞き、慌てふためく人も、驚く人も、理解が追いつくのに手間取っている人も冷静な人も皆、急いで外へと逃げて行く。


 そして乗組員のうち三人と、運転手も一時避難を行い。


「あの慌て様は最高だ。さてと」


 本性を現した長身の男性の乗組員―――鍵は、元学園長へ連絡を入れ、


「では行こうかのう」


「了解でしょう」


「分かったメア」


 元学園長―――セロラン・リュードの合図で、偸盗から生まれた悪魔―――盗魔(ムフィード)と、両舌から生まれた悪魔―――裂魔(ヒアイ)と共に、誰の目にも触れぬ事無く、艇の下部にある荷物入れへ潜り込んだ。


 そして発覚(バレ)ぬよう上手く隠れることに成功。


「これで後は最後まで乗っているだけじゃのう」


「では念のために気を付けましょう」


「確かに必要メア」


などと一人と二体はそれぞれがそう口にし。


 「皆様、お待たせ致しました。唯のタイマーとクッションでした。誰かの悪い悪戯でした。でももう大丈夫そうなので、潜水艇に戻って下さい」


 乗組員の長身の男性は、全員の目の前に現れ、予め用意しておいたタイマーとクッションをバッグから取り出して見せた。安心させてから他の乗組員や運転手も戻って行き、已む無く潜水艇は出港する。


そして最後に離島へと向かう。


「それにしても驚いたのじゃ」


 「ああ、まあ、絶対危ない物だと思ったから、安全なものでよかったぞ!」


 「そ、そうね。それにしても一体だれが何のために仕掛けたのよ?」


 先と同じ綺麗な景色が眺めれるテラス席に座り、リーフが早速口を開く。それを聞いたヒョウガは危惧しすぎていたと口にした。アミリは仕掛けた人物の理由を気に掛けていた。


「確かに気になるね!」


「何事も無ければいいですの」


「ワタシも同じことを思いました」


 「なんだかその言い方だとフラグにしか聞こえないよー」


 気掛かりなカナミと、アーティナ、ミューフィはこれからの事を危惧し始めて。

そのセリフを聞いたサラはフラグだと喚く。


 「みんな心配のしすぎなのじゃ。唯の誰かの脅かしに決まってるのじゃ。心配いらないのじゃ」


「リーフのそう言う所が、俺は好きだぞ!」


 「や、やっぱりヒョウガ先輩は、私よりも積極的でこういう子が好きなのね……」


「ん・・・・・・!? 何か言ったか?」


 「な、何も言って無いわよ。聞き間違いでしょう」


 幼女が彼らに少し強くそう言うと、彼は大胆にもそのような発言をする。

 唇を噛んだ彼女は、自分にない物を持つの事を妬み、疎ましく思う悪い自分がいるではないか。



 そんな事をしている内に、何時の間にか離島についており、その島の代表二チームと先生、運営委員が乗り込む。


 全学園代表が揃い、潜水艇は―――いよいよ海の中へと潜って行く。

 その為先程迄空いていた天井が閉まり始めり出す。


すると早速、辺り一面に沢山の魚が現れて、


「奇麗ですの」


「本当ですね」


「あのお魚可愛いよー」


「ホ、本当ね」


「お魚が一杯なのじゃ。奇麗なのじゃじゃ」


 魚の群れを見たアーティナ、ミューフィ、サラ、アミリが見た率直な思いを述べ。リーフは見るのが初めてだったのか、大(はしゃ)

ぎし、喜ぶ。


 「ねえねえ、ヒョウガ君。お魚が沢山泳いでるよ」


「そうだな」


―――本当、普通の子供みたいだな。


 とヒョウガは天使―――シナモンの燥ぎっぷりを見て本音を漏らす。


 そこで、元学園長らですら予期せぬアクシデントが起きてしまう。


 ―――その原因は、潜水艇を囲むように三頭の鮫がこちらへと襲い掛かって来たから。


 ドォォオオン! ドォォオオン! ドォォオオン!


ガブリガブリと鮫の牙で噛み付かれてしまい。


 鈍い音と、その直後に来る大きな衝撃により、艇がバランスを保たれなくなってしまい。


 『皆様、お分かりかと思いますが、鮫の攻撃を受けて、墜落して行ってます。慌てず、柱、または丈夫な何かにしっかりと捕まっていてください』


―――落下していかざるおえない。


『ぎゃあああぁ~』


彼方此方こちらから悲鳴が木霊する。


 そして海底ギリギリのところで、まるみのある声音で一人の少女がこのタイミングで技を発動。


 「精霊魔術<精霊(ナンフール ・)導き(ライテン)



 そう少女が唱えた直後―――潜水艇の自由落下が止まり、独りでに動き出した。


―――否、違う。


 とヒョウガが思ったのもその筈だ。何故なら彼は目にしてしまったから。


 彼らが乗る潜水艇が、トラ型の精霊により、目的地へ文字通り―――導かれようとしている所を。


 そして精霊使いの少女の技により、創り出された誘導線と、トラ型の精霊により目的地を目指す。


 そして後、六分が経過したその時ーーー


 「これが海底楽園都市(ライシス)何だね!」


そうカナミが呟くと。


 目の前に現れたのは、都市全体が水の結界に覆われ、彼方此方に娯楽施設や遊園地がある。中央にはコロシアムの様な物が有り、他にもいろいろとあって『楽園』と呼ばれるのも分からなくもない。


 「ん・・・・・・!? 此処がそうなんだな。中々良い所だぞ」


 「確かにそうなのじゃ。沢山遊んで、戦うのじゃ」


 「あ、遊んでばかりは駄目なんだからね。特訓もしっかりするのよ」


 ヒョウガがどうやら気に入った様子で、リーフも同じらしく、予定を決め、アミリが内容に対して注意をすると。


 「では皆さん、到着いたしましたので、皆さん降りて下さい」

 

 と乗組員の長身の男が全員に指示を呷ると、続々と潜水艇を降りていく。


 ―――水の中でも、結界の中の為普通に歩けるらしく。

その為の結界のようだ。

 全員が外に出ると、乗組員の長身の男は準に荷物を取り出した。

全ての荷物を取り出し、潜水艇の乗組員を残し港を進んだ。


「せいぜい残りの時間楽しむといい。でないと地獄のような時間しか残らないからよ。あの人も喜ぶ恐ろしい時間が」


白いフードを被ったマントを纏う少年の姿へ変わった男は、歯揃えの悪い牙を剥き出しに笑う。

マントの胸元には黒い太陽が描かれていた。

少年の姿が本来の姿なのだろうか。



人気が無くなったことを確認した元学園長は、二体の悪魔と共に荷物入れから出ると、目的地である丘の上に立つ小屋を目指して歩き出す。


そこへ責任者らしき人と、二チームがやって来た。


 「ようこそ! 皆さん、無事に辿り着いて頂けました。海底王に仕えるものの一人です。そしてこちらの二チームが、海底楽園都市の代表チームです」


 海底王に仕える男性が紹介した直後、キャプテンと思わしき人物が口を開き―――


 「本当はもう一チームのキャプテンのお話があったんですけどね、時間の都合上そのキャプテンの話は割愛させて貰います。アタシ―――グレナ・マイゲラット率いる、チーム〈混種多族(ハーフ・エヴェン)〉。こちらがジャーラ率いるチーム〈魚人族(ルイシュ・メンファ)〉です。どうぞ! 宜しく」


 亜人の少女―――グレナが、予め了承を得た上で自己紹介とチーム名を口にして、話を終わらす。


 それから、海底王に仕える男性に又バトンを託し。


 「では、これからの話をさせて頂きます。一先ず、皆さんが宿泊する選手専用のホテルへ案内します」


 彼の後に続き、全員が三十分ほど歩いた所に建つ、選手専用には似つかわしい豪華な高層(宿泊施設)に向う。


 <交武祭典>《アルージェフェート》参加者専用のホテル前。


 「では、先ずこちらの説明からさせて頂きます。部屋割りはこちらになります」


 海底王に仕える男性が、部屋割表を全員に見せ。


 「この通り、部屋には学園名とチーム名。それから男子と女子と書かれています。では、一度荷物をお気に言って下さい」


  と言うことで、荷物を置きに行く。


 カナミたちの部屋は、二つのホテルの内、右側で、エレベーターで二階に上がり、その真中だ。

そしてヒョウガの部屋は、その二つ隣りらしく。


 部屋の窓からは、今は賑やかな街や店が見え、更に遠くの方には丘の様な物も見える。


 「ほら! ヒョウガ、行くよ」


「ああ、そうだな」


 カナミの呼びかけにそう返すと、部屋を出てエレベーターで一階に下りて、出口へと戻って行く。


 彼らが戻ると、他のチームも全員揃っていた為、海底王に仕える男性が、口を開き―――。


 「それでは、簡単に説明します。二日後の午前十時より、コロシアムにて開会式を行います。其方で海底王様から詳しい説明があります。それ迄の間は、ご自由にお時間をお過ごしください。最後にお食事についてですが、今晩は祝宴場にて十九時となります。尚、明日につきましては、部屋食で七時になります。これで終わりです」


 説明を一通りした所で、自由時間となった。


乗組員に化けてたフードの少年とは何者なのかこれから章跨いで明かされていきます

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