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この運命を天使《キミ》と共に  作者: 事故物件住まいの伽藍鳥
3章 越えた先の結末
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終幕 ーー目を覚ますと。

どう仲直りしようか。

 などと考えながら寝たからか、変な夢を見てしまったではないか。


どういう夢かというと。


ヒョウガの夢の中。


 最初に見えて来たのは、リーフと二人で恋人繋ぎをして、見慣れぬ景色の中を歩いており。


『ねえ、あなた。今から何処に連れて行ってくれるのじゃ?』


『それは着いてからのお楽しみだ!』


どうやら、デートの一幕らしい。


 彼女はおめかしをして、背伸びしすぎな印象を持ち。

ヒョウガの方も、洒落た格好をしていて。


そして二人が向かったのは、夕日が奇麗に観られるスポットで。


何故か突然夕日が沈みかけ。


 『おお、凄く綺麗なのじゃ。こんな素敵な景色、見たこと無いのじゃじゃ』


 『それは良かったぞ! リーフの笑顔を負けて無いぞ!』


 『どうせ、それお世辞なのじゃ。でもこんな良い所に連れて来てくれてありがとうなのじゃ』


 『ん・・・・・・!? どう致しまして! これからもずっと一緒に居ような』


 まるで夫婦の会話を交わし、仲陸ましいことが窺える。


次に見えて来たのは、雪の積もった町景色で。


 暖かいマフラーに、ふわふわのジャケットを身に纏うリーフと、暖かい灰色の帽子を被り、ネックウォーマーを首に付け、ジャンバーを着たヒョウガ。


『雪って楽しいのじゃ』


『そうだな』


『今日はオムライスが良いのじゃ』


『また明日な』


 雪に(はしゃ)ぐリーフを、微笑ましくヒョウガは見詰ていて。


と不満な顔をする彼女に言い。


『町は華やかだな』


『あれを見るのじゃ』


『おお』


 リーフが指した方には、イルミネーションが飾って有った。


その美しさに魅了されてしまう。


 『来年の今日も、一緒にイルミネーションを見ような』


『分かったのじゃ。約束なのじゃじゃ』


 指切りを交わしたリーフは、ニコリと笑っていた。


 だがその約束は、もう叶う事は無くはなってしまった。


 何故ならば、春のある日。桜が綺麗に咲く、丘の近くにある崖から落ちて死んでしまったから。

 前日の豪雨により足場が崩れやすくなっていたのが原因だ。

 そして直接とは謂わずとも、その付近に綺麗な花が咲いていたのもあるのだろうか。


それを見付けたヒョウガは、


 「ゔおおおお~。リーフ……リーフ。目を覚ましてくれ! お願いだ。お願いだから目を覚ましてくれ。なあ」


 泣き崩れたヒョウガは、亡骸を抱き締め、唯々叫び続けた。

そう、叫び続けたのだ。



現在。



 「はあはあ、はあはあ。夢か。良かったぞ! リーフにあったら、何て声を掛けようかな」


と思い、もう一度寝ようと横を向き直すと。


ざらざらと、何かつるつるした感触が掌を伝い。


―――何かおかしいぞ!


と思い隣りを凝視して、恐ろしい者を見てしまう。


 何かというと、本物のリーフが、何故か全裸で寝ているという危ういもので。


「これは不味い」


小さな声で最悪な状況だと気付く。

幼女の逆向きを向き、背中に密着する温かなぬくもり。


―――これは俺への罰か。


 と彼が思った次の瞬間。


全然起きてこないことを心配した誰かが隣のヒョウガの部屋へ近付く。


鍵を掛け忘れていたことで、簡単に侵入を許してしまった。


 「ねえ、ヒョウガ・・・・・・。何っしてるのかな?」


 「な、何があったのよ・・・・・・。ヒョ、ヒョウガ先輩、その子と何してる訳? ま、まさか・・・・・・は、早いわよ!」


 そう言ってアミリは、ヒョウガをベッドから降ろす。


 「ヒョウガ。何でこんなことをしてるんですの? 言わなくても良いんですの! このロリコン。変態」


「最低です」


「皆の言う通りだよー」


「違うんだ。良いから話を聞いてくれ」


 その声を無視して、アミリが能力で彼を浮かせて、その内なにアーティナが瞬間移動して、ヒョウガの元へと行き、彼を掴んで、外へと思いっ切り投げ捨てる。


 四階から落ちたヒョウガは、抵抗虚しくコンクリートの地面に落ちてしまい。


その後何十分かして、たんこぶが出きただけで済んだ彼が返って来た。


「はああぁ~。何してるのじゃ? 皆」


 「そ、それはこっちが聞きたいわよ! 何でヒョウガ先輩の隣で裸で寝てるのよ!」


 状況に合わぬ言葉あを発するリーフに、アミリは吠え掛かる勢いで幼女へと近付いて。


 「未来の#婚約者__フィアンセ__#だから良いのじゃ! この格好をしてるのは癖なのじゃじゃ」


 「み、未来の婚約者ですって!? 何馬鹿な事言ってるのよ! 冗談でしょ?」


 「冗談じゃないのじゃ。張と約束だってしたのじゃじゃ」


 毛布で体を包くるんだ幼女は、自信満々に言うのを聞き、戯言ざれごとだろうと口にしたアミリ。


 それを否定するかのように、リーフはそう言い放つ。


「大変な事に成っちゃったね!」


「そうですの!」


「んまあ、俺が悪いんだけどな」


 と修羅場を目にしながら、ヒョウガはぼそりと呟く。


 「も、もう良いわよ! 好きにしなさい。私は明日の準備するのに忙しいんだから。それとちゃんと着衣付けなさいよ!」


 「言われなくてもそうするのじゃ。妾も準備しないと」


 溜息を吐いた彼女は、大きなカバンに衣類とか、持って行くものを詰め込む。

 それを余所に幼女が、彼を寝室から追い出して、無事着替えを済ます。


 そしてリーフは、部屋に戻って明日の準備をするらしく。


「んじゃあ、俺も明日の準備をするか!」


 そう言って大きなバックに着替えとか、持って行くものを詰め込んだ。

 他の子達も明日に備え、カバンにあれやこれと詰め込んだ。


 こうして太陽が目一杯照らしつける賑やかな朝は終わりを迎えた。


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