68話 式典《セレモニー》
『では梯子を創り出しますので、梯子アリマ君とフヅキ君。それを上ってきて下さい』
先生が用意したを使って、先生の指示通り彼はそれを上って行く。
それから上がり終わると、外へと出る。
既に他の全員が集まっているので急いで二人も並ぶ。
「フヅキ君の参戦によつて、危機的状況から脱して勝機を掴んだアリマ・ヒョウガ率いる450号室の皆さんです」
と先生が勝者を伝えると。
「「‥‥おおお~」」
観戦客の大歓声が響き渡り。
「グスグス。負けちゃったのじゃ」
「でも、俺も危なかったぞ! カナミが来てくれなかったら今頃は… だからさ!」
そう言って、リーフに手を差し伸べつつ、言葉を紡ぐ。
「泣くの止めてくれ! 頼むから」
「グスグス。分かったのじゃ。アリマ・ヒョウガ」
その彼の手を握って握手を交わす。
釣られて他のメンバーも相手と握手を交わす。
それからヒョウガは、幼女へとこう問う。
「なあ、リーフ。もうそう呼ぶんじゃないぞ! 名前で良いから!」
「じゃあ、ヒョウガ。宜しくなのじゃ」
「ああ、宜しくな」
呼び方を変えるように言う彼に、改めて握手を要求するリーフ。それに笑って答えてから、同じように握手を交わす。
その後、正式な閉会式基優勝セレモニーが行われ。
優勝したヒョウガ達と、準優勝のリーフたちが、学園の大きな校庭にて、運営委員会が立つ専用ステージの上に上がり、別々に並ぶ。
「では、先ず惜しくの優勝を逃した、リーフ・チェレヌ率いる001号室の皆さんから始めます」
運営委員会の委員長がそう切り出すや、前が誰が代表として出るかと決めていて。
「妾は大勢の人が見てるのに、人前に出るのはやっぱり無理なのじゃ」
「それでは私が行きましょうか?」
「それじゃあ、オレが行くぜ!」
そう言って、ガウェールが前に立つ。
「では改めて、準優勝おめでとうございます。こちらは銀のトロフィーです。それと、賞金三十万円。後は、<交武祭典>《アルージェフェート》でのチーム名は、<魅破>となります」
「ありがとう。嬉しいぜ! 魅力的かつ破壊的に頑張るぜ!」
副賞を受け取った彼は、観客たちに見せつけ。
パチパチパチパチパチとあちらこちらから拍手が沸き上がり。
「続いて、見事形勢逆転をして見せた。アリマ・ヒョウガ率いる450号室になります」
運営委員長―――ガイヤに呼ばれ、誰も文句なしのヒョウガが前に立つ。
「あの絶体絶命と言っても過言ではない状況の中、カナミが間に合って良かった。優勝おめでとう。それにしても誰があのような罠を仕掛けたんでしょうね」
「ああ、ありがとう。本当に優勝出来るとは思わなかったぞ! あれを仕掛けた奴は恐らく自分にとっていい方に進むようにしたんじゃないかな」
その言葉を聞いた、観戦客の反応は。
「ヒョウガって、あんなに恰好良かったんだ。それにあの、一度も勝ててなかったカナミって子も凄かった」
とか、
「流石に四対二だったから、微妙だったけど、勝つなんて驚いちゃった」
「そうだね。アタシも思った以上に強くて惚れちゃいそう! 彼女も凄かった」
「止めた方が良いと思うよ! でも、あんなに強いと憧れちゃうな~ カナミに」
と女子三人組が其々話していて。
他にも彼方此方でそのことをお喋りしていて。
「これが君が見たかったものかな?」
「ん・・・・・・!? はい、これが見たかったんです!」
訳知りな顔で問う運営委員長に、笑いかけてそう返す。
「此方が金のトロフィーです。それと優勝賞金五十万。高級スイーツ店無料券、お米一年分、全店舗で使える無料券と割引券です。それと、<交武祭典>《アルージェフェート》でのチーム名は、<風女神>となります」
「ありがとうございます。凄く嬉しいです。 風神の如く俺達が勝ち抜けて見せます!」
賞金を受け取ったヒョウガは、観戦客に向け見せつけ。
パチパチパチパチとあちらこちらから大きな拍手が沸き上がる。
その後、出発が二日後であることや、その他大事なことを伝えられて、式が完全に終わった。




