65話 壊された装置
先に試合を終えたアミリ達は。
「や、やっぱり来てくれたわね、カナミさん。信じていて良かったわ」
「来るのが遅いですの! もう…けど、本当に良かった」
「間に合って良かったです。これで勝機に繋がれば良いのですが…」
「きっと大丈夫だよー」
待ちに待ったカナミのお出ましに、それぞれが嬉々していてる。
観客達は。
「やっぱ最強チーム相手じゃ全然手も足も出ないね! 遅めの登場が…」
「これが力の差ってやつか。あれって」
「そうだね。一対四じゃ、勝は無理無理。もしかしなくても」
観戦客の一番前の端っこで、男女三人が今の在り様を言う。
そして遅めの登場した彼女を見た三人は言葉を紡ぐ。
「カナミが復活したださ! でもこれは」
「遅いお出ましだべぇ~ これがどうでるか」
「良かったみたいだな。少しでも希望が持てる」
一瞬カナミの登場に喜ぶルゼインだが、状況的には厳しいと。
なまった喋りの青年とその隣にいた大柄の男も喜び、逆転を願う。
「グハハハハハ。主役は遅れてやってくる? か。まあ、流石に二人では負けるに決まってるではないか」
「はああぁ~。カナミ来た。もしかしたらこの戦い逆転あるかも」
「四対二。微妙な数だけど無理……」
ルゼインの所の女子たちがネガティブな事を言い出す。
「ヒョウガ。それにカナミ。君達を信じてるよ!」
「ここで勝つとカッコいいな」
「皆気持ち良くなっちゃって。じゃなくて、勝ち目はないけど最後まで頑張れ」
エデロアたちは彼に一縷いちるな望みを託す。
「流石最強チームと呼ばれる事は有るよう」
「でもキセキが起きたら凄い」
「ルアッタの言う通り」
女性陣も其々が思いを口にする。
そして決勝戦へ戻る。
「それじゃあ、行くぜ! 」
瞑っていた目を開眼させると。
「妖魔想像<雪女>」
「させないぞ!」
透かさずヒョウガが動く。
「能力<旋風>!!」
ガヴェールの目前に雪女が出現。
ヒョウガへ凍てつく雪を吹かかす。
透かさずヒョウガは、雪に向けて渦のように巻き上がる風で雪女を吹き飛ばす。
「逃れることは出来ません」
コロネが片膝を立てて、中央に居るカナミの至近距離へと移動し、素早く刀を抜き放つと。
「武装霊刀奥義<居合業火>」
地獄の火を纏われて、カナミを斬り倒そうとすると。
「武装想像<水の女神>」
カナミは事前に想像していた水を司る女神を出現させると、コロネごと水で呑み込む。
「中々やりますね!」
ずぶ濡れのバトルウェアのコロネがそう称賛しーーー
バトルウェアを乾かす。
「こんなものじゃないよ!」
「それなら妾がやるのじゃ」
ヒョウガに向けてリーフが、右手に持つ神鉈で技を発動。
「武装神鉈技<神風波斬り>!」
幼女は、神が創り出した風の大波で斬りかかり―――。
ギリギリのところでカナミが躱す。
「んじゃあ、俺も行くぞ」
代わりにヒョウガだが風双刃を構えて、
「風双刃剣技<風女神の嵐乱舞>」
リーフの目前に予兆もなく風の女神が美しい羽を羽ばたかせながら現した。
アウラは踊り狂うかの如く嵐を起こしてーー。
ビュオオオオオオ。ビュオオオオオオ
「行くぜ」
『アウラ』の起こした嵐の乱舞を止めようと動く。
「妖魔想像<塗り壁>」
しかし、
「そうはさせない」
瞑っていた目を力強く見開くと。
「武装想像<天空の歌姫>」
天空から舞い降りた歌姫を出現。
音符と歌を武器に変えて塗り壁に突き刺す。
「行くね」
狙いを定めたザクが引き金を引く。
「武装呪銃術<怨念丸>」
放たれた怨念の弾は、一ミリたりともズレることなく猛スピードで飛んで行く。
「そうはさせないぞ! 能力・・・・・・・」
能力を発動する間も与えられぬまま、コロネが片膝を立てて、ヒョウガの至近距離に移動し、
「覚悟してください。先輩」
素早く刀を抜き放つと。
「武装霊刀奥義<居合閃光>」
閃く光を纏わせえて、ヒョウガを斬り倒す。
「ぐはっ…」
閃光を食らったヒョウガは、激しい痛みが体中を襲い。
「ヒョウガ!? 大丈夫?」
「これで終わりなのじゃ」
勝ち誇ったように言った次の瞬間。
「能力<崩壊>」
次は成功したらしく、ヒョウガ達の立つ地面だけに皹が生じて、軈て崩壊していく。
この時に限っては、全然地面が戻らない。
―――このままじゃ墜落するぞ! 何で地面が戻らないんだ?
―――これはチャンスなのじゃ。何故戻らないかは気にしないのじゃじゃ。
リーフは右手に持つ神鉈と左手に持つ魔斧を構えて飛び降りた。
「ヒョウガ! 大丈夫かな」
「リー。危ないよ!」
「戻っておいで! リーフちゃん」
「リーちゃん。何で地面が戻らない」
三人が呼び掛けるが、リーフは既に空いた地面の下へと落ちて行った後だった。
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これはまだ地面に異変が起きる前へと遡る。
地面の再生には、装置内にある機関や機軸、機能の全体修復が深く関わっており。
その設備へと、何者かが侵入したらしく。
侵入経路は分からぬが、恐らくは能力の類であろう。
謎の人物は色々と機能を弄り、最後にはもの凄い破壊力を持つ腕で再生機関を叩き潰す。
その間も一言も口を開くこと無く。
目的を済ませると、煙の如く消えてしまい。
何と現れて消えるまで約一、二分しか経過していない。
一体何の目的で、このような真似をしたのだろうか。
一体その人物は、何を望んでいるのか。
一体どんな利があるのだろうか。
それを知りえる方法は、本人に聞かざるを得ない。
異様な事態を目の辺りにしてしまった観衆に紛れ、その人物はにやりと笑う。
♢ ♢ ♢ ♢ ◇
そこへ落ちて行ったヒョウガと追いかけるように落ちて行ったリーフの話へと戻る。
「これ本当に落ちて行ってるけど、大丈夫か?」
「妾も、思いつきで飛び降りたけど分からないのじゃ」
と二人が会話している間にも、ごくごくと終わりが見えてきて。
「リーフ、しっかり摑まれ!」
「ふぇ!? ど……何処触ってるのじゃ」
「悪い。やっちまった!」
ヒョウガは、リーフの胸と腰を抱きかかえる形になってしまう。
そんな状況のまま地面へと着地し、すぐさま幼女から手を放す。
「貸しなんて思わないのじゃ。だから、借りは返さないのじゃじゃ」
「別に良いぞ! 何せ君みたいな可愛い子を助けられただけで幸せなんだから。それで何だけど、賭けをしないか?」
「か…可愛い!? 賭けなのじゃ?」
「ん・・・・・・!? ああ、そうだ! 君が勝ったら―――まだ考えてないけど、俺が勝ったら、リーフ、俺のものになれ」
「それってまさか!? プ……プロポーズなのじゃ? ええ・・・・・・ええっ・・・・つまりに妾のことが・・・・・・。どうせ妾たちが勝つのじゃから良いのじゃ」
ヒョウガの出した条件を聞いた途端、耳元まで真っ赤に染め、リーフは慌てふためきながら言葉を紡ぐ。
条件に対して「妾が出す条件は」と彼の目を緊張感漂う面持ちで、力を振り絞って言い放つ。
「何方にしろ同じだから、契約を結んで欲しいのじゃ。それとデートもなのじゃじゃ」
「デート? まあ良いか。了解!」
リーフの出した条件を淡々と受け入れ…
「なあ、ここで戦っても無事にに帰れると思うか?」
「分からないのじゃ。でもここも安全防御壁内だから、多分大丈夫なのじゃじゃ」
「んじゃ、ここで決めるのはどうだ? 決着を! カナミを呼ぶぞ」
「それは良いアイデアなのじゃ。そうと決まれば仲間を呼ぶのじゃじゃ」
ヒョウガの提案を呑み込んで、リーフは仲間に通信機で指示を出す。
場所的に、壊された機関の破砕していたり、機軸が折れているが、戦いには何の影響もないためそう判断したのであろう。
ここで最終決着を着けることとなった。




