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この運命を天使《キミ》と共に  作者: 事故物件住まいの伽藍鳥
3章 越えた先の結末
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61話 続く葛藤と決勝戦

そして決勝戦当日。午前のこと。


 今だにカナミは、トラウマをと葛藤していた。


 そんなカナミを見ているだけのヒョウガ達は実に辛い。


 ーーー…どうすれば良いんだろ…

 

カナミは悩みに悩む。

 トラウマを乗り越える為にも。


そこへ近付いてきた人影が。


 「カ、カナミさん。あんまし考えすぎるんじゃないわよ! 怖いって怯んでてもなにも変わらないわよ」


と、一拍開け、


 「勝てないって諦めるのは簡単よ! 誰にだって出来る。けど、本当にそれで良いって思ってるの?  」


 アミリは必死になってカナミへ訴えかける。 


 それをただ聞いていたカナミは言い返せない。


「・・・」


アミリの言葉はまだ続く。


 「た、たった一度や二度コテンパンにされたくらいで、諦めるんじゃないわよ! それと考え方を変えなさい。 ポジティブなことも考えてよね」


 それだけ言うとそっぽを向いてしまい。


 何かを言おうとカナミはするも、言えずに。


その変わりにまたアミリは。


 「わ、私達は何があっても優勝するんだから! 信じてるわよ」


 そうアミリが言うと、立ち上がって去っていく。


「…信じてるか」


 一人寝室に取り残されたカナミは、そうぼそりと呟く。


 時間は過ぎていきーーー試合の時間に。


 外は晴々としていて雲一つ無いが、この時期とは思えないほどに気温が低く、肌が寒い。


そして試合三十分前のこと。


 「んじゃあ、最終確認するぞ! やはりカナミは駄目だったか」


 何のことかと言うと、誰が誰を相手するかと言うこと。

 ここにいない一人に対し、予想していたのか。そうヒョウガは口にした。


 ヒョウガが相手するのは、リーダーである少女―――リーフ・チェレヌで。アミリはエボットを担当し。アーティナがミカネ・コロネを、ミューフィはザクを、最後にサラがライディスとガヴェール。と言う組み合わせだ。


 「が、頑張るわよ! 一人欠けてても」


 「そうですね! でも屹度立ち直れます」


 「頑張るよー。来るって信じるよー」


 「可成りの強敵ですけど、きっと大丈夫ですの! カナミがいないのはあれですけど」


 と四人が、緊張していることが伝わってくるほどに身震いをし、そんな状態でもカナミのことを思っていてーーー。


 しかしヒョウガだけは、緊張を重んずる様子がない。


 「緊張するだけ無駄だぞ! 全力を尽くして最後までやりきることが大事なんだ。戦っているうちに勝利に繋がる何かが見つかるかもしれないぞ! カナミのこともただ信じることしか出来ない」

 

 彼の言葉を聞いた他の子達は。


 「ヒョウガの言う通りですの! 全力を尽くして頑張ろうですの!」


 ヒョウガの思いの篭ったセリフを聞いて、アーティナが強く頷いてそう言う。


 それから時間は淡々と過ぎて行き、試合開始五分前になると、彼らは円陣を組む。


「んじゃあ、行くぞ!」


「「「おおー」」」


 勢い良く地面を蹴って軽く砂埃を起こさせつつも、ヤル気を示す。


 その後時間となり、中央の先生が立つ位置に向う。


 「では唯今より、決勝戦を取りわせていただきます」


 「それじゃあ、正々堂々頑張ろうなのじゃ。アリマ・ヒョウガ。フヅキ·カナミが居らんのじゃ。逃げたか」


 「ああ、宜しくな。リーフ。そう決めつけるのは早いぞ!」


 男性教師の試合の合図で、ヒョウガに全力の背伸びをしても届かないリーフが手を伸ばしてくるので、腰を低くして彼がその手を握って握手を交わす。

それに釣られて他のメンバーも握手をかっわす。

握手を交わすと、其々が作戦通りに動く。


 「如何やっら個人戦で来るようなのじゃ。まあ、人数はこっちの方が多い」


 「それじゃあ、こっちもそれで行きますね」


「そうするのじゃ」


 リーフの承諾を得ると、コロネが指示を出す。


 最初に仕掛けて来たのは、アーティナの方で。


「行くですの!」


 コロネのゼロ距離に移動したたアーティナは技を発動。


   「武装魔術<光耀一剣>」


 アーティナの魔剣が輝き始めて、コロネへと斬りかかり―――。


 「その様な攻撃では私は食らいません。先輩」


 そう言ってコロネは、自身の武器である武装霊刀で真っ二つに切裂く。


「驚いてもらえましたか?」


 ニカっとしながら、そうアーティナへ。


アキラの方は。


「どこからでも良いよー」


 「オレが準備出来るまで、時間稼ぎ任せたぜ!」


「任せてよ!」


 準備万端なアキラの一言で、ガヴェールがライディスへ時間稼ぎを頼む。


「それじゃあ、行くよ!」


とライディス害うと。



      「武装植物操杖術<植物(ピアンタ)楽園(ラーイ)>」


 杖を地面に突くライディス。


 すると地面から、ニョキニョキと幾多もの植物が生えくる。


 それがアキラへと襲い掛かってこようとしたが、彼女は妖精を呼び出しており。


「行くよー。妖精」


「はい、マスター。了解です」


マスターからの指示を受けた妖精。


「<フローヌ・ラース・トルリニ>」


 襲い掛かって来る植物に向けて妖精は呪文を唱える。


 すると、襲いかかかって来た植物たちに光が注がれて、見る見るうちに弱って行く。

軈ては消えていく。


「流石だな。アキラ」


「全然だよー」


 嬉しそうにそうなアキラは、ライディスにそう言葉を返す。


そこへーーー


「準備出来たぜ!」


準備を整えたガヴェールが呼び出した。


「妖魔想像<雪女>」


 彼が呼び出したのは雪女で、アキラへと凍てつく雪を吹かす。


「妖精何とかしてー」


 「はい、マスター。了解です」


マスターからの指示を受けた妖精が呪文を唱えた。


      <フローヌ·ラース·トルリニ> 」

 

 すると、雪女は幾つもの妖精の光を浴び、みるみるうちに凍てつく雪が弱まり、雪女もろとも消えていく。


 「オレの攻撃を防ぐとは…中々やるな」


「そうでもないよー」


 驚きの表情を見せる彼へ、アキラはそう左右にてを振って言う。


ミューフィの方は。


魔笛を口元に構えたミューフィが、


「それでは行きます」


魔笛を吹くと。


「催鳥魔術<炎隼>!」


 「僕も行く」

「 武装呪銃術<三千年(トロワミルフ)怨み(・コーレ)>」


炎を纏った隼が上空に出現した。ザクへと襲い掛かろうとすると、彼の技で拒まれてしまう。

 そのザクが放った技は、三千年もこの世を恨み続けて来た物たちの怨みがこもった弾だ。


「そう簡単にはやらせないから」


 と至近距離までやって来て、そう告げた。


アミリの方は。


「そ、それじゃあ行くわよ!

      武装魔銃術<星屑の弾>」


「ほな、行くで! 

   守護空間壁囲技<#無限壁__インフェニル__#>」


アミリがエボットに銃口を向け、引き金を引く。


ーーーバンバン。


 アミリは幾つもの小さな鋭い星を鋭くした弾を、一ミリたりともズレることなく飛んで行かせようとしたがーーー


 エボットの目の前に異能で壁を創り出した途端、数えきれない程の壁へと変化して自身の周りを囲み込む。



「甘く見たら駄目やで」



 「こ、これがランキング上位の実力ってわけね」



ヒョウガの方は。


 リーフを睨み付けるヒョウガに、彼女はニコニコと笑顔を見せてきて。


「んじゃあ、行くぞ! 

    武装二刀剣奥義<風神の竜巻乱舞>!!」


 リーフの目の前に風神を出現させると、彼は踊り狂うように竜巻を起こす。


 ゴーゴと音を立てて襲い掛かってきて。


 踊り狂うように竜巻が襲ってくるが―――。


 リーフが自身の武器である、神の輝きを放つ鉈で切裂く。


 「残念だったなのじゃ。 

         武装神鉈技<#神隠__デューキャッシェ__#し>」


 「流石は学園最強ってだけの事は有るぞ!」


 「これは未だまだ初盤なのじゃ。初盤!」


 ヒョウガはうんうんと頷き、それを聞いた幼女は嬉しそうにしながらそう言い放つ。


 一方部屋でトラウマと闘っているカナミは。


 「もう皆試合始まっちゃったな」


と呟くカナミ。


 ーーー信じてると言われたは良いけど… ポジティブな事か


 と先アミリから言われたことを思い出す。


 けどカナミにはまだそれが出来そうにない。


 しかし乗り越えようとは思った。


 

試合の方に戻る。


アーティナの戦いは。


 「今度は私から行きますね。先輩!」


 そう言った刹那―――コロネは片膝を立てて、アーティナの至近距離へ移動し、素早く刀を抜き放つと。


 「武装霊刀奥義<#居合閃光__いあいせんこう__#>ッ、」


 閃光を纏わせてアーティナを斬り倒す。


 「がああぁ~。痛い痛い痛い痛いですの」


 

 アーティナは腹から流血してしまい。


 次にミューフィの戦いへ戻る。


 「武装呪柔術<#積怨丸__せきおんがん__#>」


 ザクが呪銃をミューフィ向け、引き金を引く。

 放たれたのは、積とみ重なった怨みの弾で。それが彼女も元へと飛んで行く。


「食らう訳には行けません。

          催鳥魔術<燕返し>!」


 ミューフィは魔笛を吹いて、燕を呼び出すと、技を返そうとしていたのだが―――。


 「ぐああああ~。痛い、痛い。痛い、痛い。もの凄い技です」


 返せなかった技がミューフィを襲い。


アミリの戦いへ戻る。


 挑発するような仕草をするエボットに、アミリは構ってはいけないと無視を通す。


「い、行くわよ! 

     武装魔銃術<烈火の弾>!!」


 「来たな! ま、効かないけど。守護空間壁囲技<#絶壁__ぜっぺき__#>」


そしてまた銃口を彼に向け、引き金を引く。


ーーーバンバン。


 アミリが放った激しく燃え上がった弾が、エボットの異能で創り出された絶壁で打ち落とす。


「甘く見過ぎやで!」


 「お、思った以上に凄~く強いわね!」


 とアミリは、相手の強さを再度確認した。


 

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