59話 合同模擬戦
競技場。
一対一の特訓が始まりーー。
先ずはアーティナと訛った喋りの青年、ジュディアペアから。
「何時でも来るだべえ」
訛った男の腕が次第に変化していき、
「武装鋼腕奥義<二重螺旋の錐刃>…ッ」
男の腕が鋼へと変化した。
鋼の腕から二重の螺旋を作り出し、アーテォナを襲う。
「食らってたまらないですの!
と言って男のゼロ距離へ移動した。
移動し魔法を発動。
「武装魔術<雷光一剣>」
突如虚空から稲妻を出現させる。
ーーーその稲妻は、光魔剣に降り注ぐ。
それを浴びた光魔剣で、青年に斬りかかろうとする。
そのタイミングでジュディアが、
「私も行くね。バローラ・スィティ—ル」
両手を広げ呪文を唱えて唱えたジュディア。
すると魔方陣を、地面に創り出す。
更に彼女の回りを、水色の玉と赤色の玉が飛び回り。
その玉を接触させて、二人の居るとこまで広がっていくと。
「ミデイオライツ・ドロウプ」
そう彼女が唱えると、空から幾つもの隕石が出現した。
そして二人の上に落ちていく。
避けられない二人は、体中を痛みに襲われてしまう。
「あ゛あ゛あ゛···」
「がはっ…」
技の凄さを思い知らしめられた。
次はアミリと物静かな少女、爆弾少女ペアで。
「・・・・・・それじゃあ、何時でも来て良いよ」
「ウチの方もイツでも来て良いよ!」
「そ、それじゃあ、行くわよ!
低い姿勢を取ったアミリが魔銃を構える。
スコープからターゲットを覗き込んだ。
「武装魔銃術<光焔の弾>」
狙いを定め、引き金を引く。
ーーー火薬の弾ける振動と共に、高速で回転する弾丸。
弾丸は次第に形を変え、光と焔に。
光と焔へ変化した弾が、発射口から発射された。
光と焔は、瞬く間に少女の目と鼻の先迄飛んでいく。
「・・・・・・・そうはさせない。
バリアモード!」
と叫ぶと、盾形式が出現してそれで防ぐ。
「ウチもイクね! 」
と少女が言うといつの間にか手には雷爆弾を握り締めていた。
「武装爆弾術<雷爆弾>!」
少女は膨大な雷をアミリに投げてきて。避けるタイミングがズレて敢え無く撃沈。
「ぐおぉぉ…」
爆弾が直撃したアミリは、体中を痛みに襲われてしまう。
次にミューフィと大柄の男、赤髪の青年ペアらしく。
「よし、何時でも良いからな」
「凄く気持ちよくしてね」
「はい、分かりました。頑張ります」
二人の言葉を聞いてそうミューフィは返す。
「それでは行きます」
と言って構えていた魔笛を口元に近付けると。
「催鳥魔術<炎隼>!」
空から突如燃え上がる炎を纏った隼が出現し、赤髪の青年へ襲い掛かった―――。
思った通りの行動を彼はしてくれて。
「あ゛あ゛あ゛」
痛みに襲われた彼はーー。
「気持ちいい」
「気持ち悪いです」
それを見た彼女は、嫌悪を覚えてしまい。
そのミューフィへと近付く大柄の男。
後ろを振り向くよりも先に、彼は短剣で切り裂く。
「ぐあぁぁ…」
背中を刺された彼女は、激しい痛みが体中を回って行く。
その光景を見たアキラが、妖精を呼び出す。
「はい、マスター」
契約者からの指示で妖精が動く。
「「<アル—ル・ピオラ・ヒールア>!」
妖精が呪文を唱えると、幾つもの光が、ミューフィへと降り注いでいくと。
見る見るうちに彼女の傷が癒えて行き、完全回復をしていく。
次にアキラとケリアス、黒髪ツインテールの少女+テナと水色のバーストヘアの青年で。
「それじゃあ、何時でも良いよー」
「耐えて見せろ! 出来るものなら」
「グハハハ。四対一とは、流石の妖精遣いでも勝てぬだろう」
「はああぁ~。眠いけど仕方ないから分かった」
「私も一緒に行くよう」
アキラの言葉を聞いて、四人は攻撃の準備をして。
「はああぁ~。眠い。だから寝るね。お休み」
「寝ちゃったよー」
眠いと言った途端、ケリアスは寝に入ってしまう。
困った顔をしているサラへと。
「すう~~ふう・・・・んんう・・・・・・・・すう~
能力<夢遊攻撃>!」
「私も行くよう。
武装両手大剣技<聖光力斬り>!」
健やかな彼女の寝息が聞こえ、何かを呟く。すると―――
寝息が聞こえる彼女が起き上がった。
そしてアキラの方へと蹌踉けながら行くのを見て、マロリスも動き出す。
正確にサラに攻撃を。同時に黒髪ツインテールの少女も技を発動。
マロリスは、両手持ちの大剣かに聖なる光の力を溜めて斬りかかってくる。
「これでも食らえ!
武装二丁拳銃術<二重の業火銃丸>!」」
水色のバーストヘアの青年は、二つの銃の銃口をアキラへ向けて引き金を引く。
―――放たれた弾は地獄の弾で、彼女の居る処へと飛んで行く。
焦った様子の無い彼女は、冷静に妖精を呼び出す。
「《エ・アノーク》!」
―――はい、マスター。
「三つつの技を何とかしてー」
「分かりました。マスター」
契約者からの指示が出された妖精。
「<ソルーム・イーユ・エラル>」
妖精が呪文を唱えると、謎の鍵が幾つも飛んできて、少女の動きを止め、斬撃に鍵を掛けて封じ込む。そして容赦なく叩き潰す。
その隙に近距離へと接近していたテナが技を発動。
「グハハハ。隙だらけではないか。行く。
武装大銃剣奥義<鮮血の地獄斬り>ッ」
テナは大銃剣を構える。
ーーーそして技を発動。
大銃剣はみるみるうちに色を変え、あっという間に血の色に染まった。
それがサラへと、地獄の如く斬りかかってきたから。
「妖精何とかしてー」
「はい、マスター」
契約者の指示が出された妖精が動いた。
「<ロテーア·アーラ·コアカルセ>」
妖精が呪文を唱えると、妖精たちを出現させて、そいつらが翼を刃に変えて、地獄の斬撃へと落とす。
完全に斬撃を掻き消す。
「はああぁ~。終わった。ウチが起こされるなんて、流石。これじゃあ、練習相手にはならないかも」
「私の攻撃も駄目だったよう。ケリアスと同じこと思ってるよう」
「マジか!? 三人相手で全て受けきるとは…」
三人人は、自分たちの不甲斐なさに肩を竦めてしまう。
「我の完璧なタイミングの攻撃迄受けきるとは、なかなかやるではないか」
と悔しそうな顔をするも、相手のことを称賛する。
その様子を窺っていたアキラが、気を使うような言葉を。
「全然大丈夫だよー。四人のお陰で強くなれたよー。ありがとー」
「そんな強くなるようなことしてないよう」
「ウチもそんな大したことしてないかも」
「ただ負けただけだ。特になにもしてない」
「我も大したことしておらぬ」
四人は何故お礼を言われるか分かっていない。
「無くても、特訓に付き合ってくれるだけで、少しでも強くなれるんだよー」
「馬鹿みたい」
サラの慰めを、覚えのない出来事ではないかと思ってしまう。
彼女の言葉を聞いて、ケリアスは陰った顔で呟く。
そして最後は、ヒョウガとルゼイン、エデロアのリーダーペアで。
「んじゃあ、行くぞ!」
「何時でも来るださ!」
「何時でも良いよ!」
ヒョウガのセリフをき、二人は準備が出来たらしい。
「風双刃剣奥義<風女神の嵐乱舞>!!」
エデロアの前に予兆もなく風の女神が姿を美しい羽を羽ばたかせながら現した。
アウラは踊り狂うかの如く嵐を起こしてーー。
嵐に呑まれた彼の体を深々と風の刃が傷付けられてしまう。
「ぐはっ…」
次にルゼインが仕掛けてきて。
「これでも食らうださ!
武装金槌技<土竜叩き>!!」
「食らわないぞ」
余裕な素振りで言うと。
能力<旋風>!!」
ルゼインが飛び上がって金槌を高く上げ、ヒョへと超高から落とそうとする。
それを彼は、渦のように巻いて吹き上がった風で吹き飛ばす。
それからも強化特訓は続き。
特訓が終わる位には、全員が疲れ顔をして、此方へとやって来ると。
「ハアハア。今日の特訓はここまでだぞ! カナミのことも気掛かりだし」
「そ、そうね」
「そうですね。ハアハア。凄く疲れたですの! もう体力が殆どないですの」
「ハアハア、凄く疲れますた」
「ハーハー。ウチももう駄目」
其々が苦しさのあまり肩で息ををしていて。
「ハアハア。己も久々にこんなに疲れたださ!」
「俺もだべえ」
「筋肉痛になるかもな」
「グハハハハハ。我の魔力が限界を超えるとはな」
「あああ、眠気がすっかり吹っ飛んだかも」
「・・・・・・疲れた」
ルゼイン達も同じく肩で息をして、一目で疲れていることが分かる程に疲れ果てている。
「ハアハア。僕もかなり疲れたよ!」
「ふう、ハア、ふう、ハア。体が疲れ切ているな」
「凄く気持ち良過ぎる」
「体が痛いよう」
「そのキモチ分かる」
「それは仕方ない」
エデロアたちも、疲れ果てている様子。
「んじゃあ、戻るぞ!」
「己たちも戻るださ!」
「僕たちの方も戻るよ!」
其々が部屋へと戻って行く。




