51話 届いた一撃
「ワタシも行きます」
魔笛を口元に近付けた。
「催鳥魔術<鷲の翼落とし>」
ミューフィが魔笛を吹くと、巨大な鷲を呼び出す。そして空へと飛んで行って、水色のバーストヘアの青年の頭上までいき、それから大きな翼を落とす。
「武装二丁拳銃技<二重の雷銃丸>!」
彼は鷲に二つの銃口を向け、引き金を引いて弾を放つ。
その弾は、強烈な雷で大鷲目掛けて落とすのだが。
そんな抵抗は意味を為さない。
「ぐあああぁ~。痛い痛い。痛い痛い。これはキツい」
「そしてこれで終わりだね!
目を開眼させたカナミ。
「武装想像<七本の神剣>!!」
カナミの目前に、想像していた七本の神剣が出現した。
想像者の合図で、青髪の青年目掛けて飛んでいく。
ーー回避などする間もなく。
「ゔおおお…」
全身を突き刺されてしまい。
「駄目だ。ここで・・・・・・終わるなんて・・・・・・情けないのに・・・・・・」
飛んで来た七本の神剣で体中を突き刺されてしまう。
今にも逝きそうな擦れた様な声で言う。
バタン、最後には倒れ込んでしまう。
「あああ、サンニン共やられちゃって。それじゃあイコウか! 」
と言うと。
「武装爆弾術<水素爆弾>!」
いつの間にか少女の手に、爆弾が握られていて。
その威力の凄まじい水素爆弾を、ヒョウガ目掛けて投げーー
ドカーンドカーン。
爆ぜる。二つの爆弾が命中して爆ぜる。
「何かカンタンに行った気がする。まあ、これでキマリだね! Aランクの私のバクダンを食らったんだから」
「痛いぞ! 流石Aランクの奴の武器だけあるぞ!」
「そのワリに痛そうじゃない!?」
少女の言う通り、彼には目立った外傷はあまり見当たらない。
強いて言うなら擦傷を負っているくらいだろう。
ーーーその頃。今にもヤバそうなアミリの所へと、アキラが駆け付けてから。
「これは凄くヤバそうだよー」
「マスター。私に任せて下さい」
頼もしい妖精の声。
「 <アル—ル・ピオラ・ヒールア>!!」
妖精が呪文を唱えると、幾つもの謎の光が出現して、アミリへと降り注ぐ。
すると。
「た、助かったわ! ありがとう」
「どう致しましてだよー」
目を覚ましたアミリは、傷が完全に癒えて万全な状態に戻りだ。
アキラに素直に感謝を伝えると、彼女は嬉しそうに言葉を返す。
「ジュディア、エデロアさん。サクセンヘンコウしようか、こっちに集まって」
『分かった。行く』と桃色の髪の少女――ジュディアが答え、『仕方ないよ! 了解』とエデロアが不満顔で言う。
二人に発信機で伝えてから。
二人は少女の元へ向かい。カナミ達もヒョウガの方へと向かう。
「これでも食らって! バローラ・スィティール」
呪文を唱えるジュディア。
そして魔法陣を、地面に出現させる。
玉を接触させて、二人がいる所にまで広がって行くと。
「き、気を付けなて! それはヤバいんだから」
「そう言われても、もう駄目みたいだね!」
「ワタシもカナミ先輩と同じです」
アミリが注意を促すも、事は遅く二人とも足が動かせれなくなっており。
「マグ―マ・ドロウプ」
岩しょうを空へ出現させて、二人へと落とす。
ーーー外からの攻撃は魔法陣内では無意味で。
「がああぁ~。熱い熱い。それに痛い痛い。痛い」
「あああぁ~。熱い熱い。溶けそうです。それに痛い痛いです」
二人共マグマを食らい、熱さと痛みが体中を襲う。
「成程ね。痛い痛い。ミューフィちゃん、試してみたいことがあるんだよね」
「上手くいくか分かりませんが了解です」
ミューフィの耳元でナミが囁く。
すると少し考え込んでから了解を得れた。
「何を考えて・・・・・・まあ良い」
こそこそ話し始め気になる様子だがスルーするようだ。
「バローラ・スィティール」
呪文を唱えるジュディア。
そして魔方陣を、地面に出現させる。
「今だね! 」
瞑って想像していたカナミが、目を開眼させた。
想像していた三つの機関銃が目前に出現する。
「武装想像<三つの機関銃>!!」
魔笛を構えたミューフィは、口元に近付けると。
「催鳥魔術<鷹の爪>!」
魔笛を吹いて大鷹を呼び出す。
「では、カナミ先輩。行きますね!」
「うん、良いよ!」
「合体して下さい!」
と、大鷹に指示を出すと、三つの機関銃と合体を試みて。
背中に一つ。翼に一つずつ機関銃を装着すると。
ーーーバンバン。バンバン。バンバン。
放たれた弾が、魔法陣、更にジュディアへと飛んでいき、命中。
発動中だった魔術が停止し、彼女も銃丸を食らい。
「あああ、ああぁ~。痛い痛い痛い」
ジュディアは銃丸を浴びて体中を激痛が襲う。
「止めを刺すね!」
「はい、お願いします」
再び閉じて想像していたカナミが目を開眼させーー
「武装想像<終焉の騎士>!!」
想像していたものが姿を現す。
そこにいたのは黒一色に染め上がった騎士。
左手には一振りで死を招く'獄焉絶剣´を握り締めて彼女を切り裂く。
「がああぁ~。うゔぇ~。げホげホ。いだあい。痛い。痛い。痛い。ここまでか・・・・・・」
斬りかかられたジュディアは、先よりも更に多くの血を流す。
バタン、その場に倒れ込む。
一方。その試合を観戦していた人たちの反応はというと。
「流石ヒョウガ先輩の居るチームだ。今回も中々凄い」
「このままここを勝ち抜いて後一戦して決勝に行って欲しいね」
と、二人の少女が呟く。
「思った通りださ! ヒョウガは凄い奴だったださ!」
「そうだべえな」
「ふん。彼奴らの勝ちは決まりだな」
ルゼイン達男性陣が、観て思ったことを口にして。
「フハハハハハ。我の神の目で見たところ、強き愚者がいるチームの勝ちが決まりそうだ。アキラの妖精の力が増しているだと!?」
「はああぁ~。眠い。凄く眠い。こんな戦いはつまらない」
「・・・・・・楽が一番・・・」
テナ、ケリアス、、パラテイーナも見て感じたことを伝える。
「アゼン先生の所のアミリさん、危なかったですね」
「そうだったけど、グライド先生の所のサラに救われたよ」
「ですよね! 今回は、ミューフィさんも活躍していましたがね」
美術の女教師が、右隣で観戦しているアゼンに声を掛けると、確かにそうだと頷いて宇グ後ろで見ていた先生に向けてそう言う。
それを聞いて、太り過ぎの古代文教師―――グライドが、来た来たという顔で応じて、別の少女の間前を出して称えた。
「次の戦いはそうはいきませんがね!」
と美術の女教師が、意味深にそう呟く。
そして話は試合に戻る。
「アーティナは僕が相手する」
「分かった。後の奴は、私がアイテする」
エデロアは、少女に一言だけ伝えると、後は任せろという意味と受け取り行動に移す。
「イクネ」
そう言って技を発動する。
「武装爆弾術<砲煙爆弾>!!」
少女がヒョウガ達に投げて来たのは、砲煙の爆弾で。
「ソレだけじゃナイよ!
と意味深に言うと。
「武装爆弾術<雷爆弾>!」
彼女が次に投げて来たのは、膨大な雷の爆弾だ。
それがヒョウガ達の所へと飛んでいくのだが。
「妖精、何とかしてー」
「またあれですか。分かりました」
契約者の指示が出されると。
「<ソルーム・ノーユ・エラル>!!」
ーー妖精は呪文を唱えた。
飛んできた爆弾を封じ込む。
そして封じ込めた爆弾を、容赦なく叩き潰す。
「僕も行くよ!」
と言い放つと
「武装手甲鉤技<高速殴り>!」
エデロアは、アーティナへ攻撃しようとする。
しかしそこにはもう彼女の姿はない。
「ん? 何処だい?」
彼が意味のない攻撃をしてから、彼女の姿を探す。
すると。
「ここですの」
後ろからアーティナの優しい声が聞こえて。
「流石だ! アーティナ」
そして彼女は、攻撃態勢に入ろうとしていた。
同じ頃。ヒョウガ達はというと。
「もうイチド行くよ」
再び仕掛けた。
「武装爆弾術<水原爆弾>!!」
「皆を守ってー」
「分かりました。消えて下さい! 目障りです
契約者の指示が出されると。
「<ソルーム・ノーユ・エラル>!」
飛んで来た沢山の水素と原子の爆弾を融合した奴を、鍵を掛けて封じ込むと、妖精がまた叩き潰す。
しゃがみ込むアミリはライフルを構える。
「い、行くわね」
スコープからターゲットを覗き込んだ。
「武装魔銃術〈星屑の弾〉」
狙いを定め、再び引き金を引いた。
ーーー火薬の弾ける振動と共に、高速で回転する弾丸。
弾丸は次第に形を変え、無数の鋭い星に。
星に変化した弾丸は発射口から発射された。
鋭い無数の星の弾丸は、少女の脇腹を撃ち抜く。
「私も行くね!」
瞑っていた目を開眼させたカナミ。
「武装想像<竜王剣>!!」
カナミが想像していたものが目の前に姿を現す。
「ワタシも行きます」
魔笛を構え口元に近付けたミューフィ。
「催鳥魔術<鷲の翼落とし>!」
魔笛を吹くと一羽の鷲が大空に姿を現した。
「んでもって、これで本当の本当に終わりだぞ!」
風双刃を強く握りしめてーー
「風双刃剣技<疾風迅雷二刀斬り>!!」
ヒョウガは疾風と激しい雷を起こして切裂く。
計四つの技が少女を襲う。
「ぐおおおおぁ~。がああぁ~。ゔおおおお~。げホげホ。げホげホ。げホげホ。はあはあ、な・・・・なんてことだ。・・・・・Aランクの私が・・・・ゔおおお~。ココまで・・・・・・」
バタン、その場に倒れ込んだ。
それと同時刻。アーティナの方も。
「アタシも行くですの!」
アーティナは光魔剣を構えーー
「武装魔術<究極の光魔一剣>!!」
「そうはさせないよ!
武装手甲鉤技<消滅の壁>! ッ・・・・」
燐光を発する光が、突如照らし付けられた。
ーーーその光には、今の彼女の全てがこもっている。
その燐光を発する光が、光魔剣に降り注ぐ。
渾身の一撃で、エデロアに斬りかかる。
それを阻止しようと、技を発動するのだが
ーーーがががががが。
「噓だよね!? あああぁ~。がああぁ~。痛い痛い。僕が好きになっただけあって強い・・・・・ゔゔぇ~。げホげホ。僕の負けだよ・・・・・・」
彼女の斬撃を思いっ切り食らったことで、体中から血が溢れ出す。
初めて当たった攻撃は、止めの一撃となった。
バタン、その場に倒れ込む。
「アタシの方がきっと、もう貴方が思う以上に好きですの。だから、アタシには勝てないんですの」
と、アーティナは消えゆくエデロアへと言い聞かせた。
『試合終了ですよ! アリマ率いる450号室のも出てきてください!』
先生の指示に従って、彼らは外に出て行く。
「見て解るようですが、勝者はアリマ率いる450号室ですよ!」
ヒョウガ達の方を先生が指して、勝者を発表すると。
「おめでとう。アリマ・ヒョウガ」
「ああ、ありがとう!」
エデロアが差し伸べて来ると、彼の手を取って握手を交わす。
他のメンバーもつられて握手を交わす。
「アーティナ。次の試合も頑張ってね! そして決勝戦に行ってね」
「ありがとうですの! 勿論良くですの。決勝戦へ」
「でもまあ、決勝戦には必ず奴らが出え来ると思うよ!」
あの後、皆に先にかいって言ってもらい、アーティナとエデロアは、ベンチに座ってお話をしていて。
「あいつらって言うと、確か学園ランキング1位の少女の居るチームですの」
「そう。学園ランキング1位の子がいるチームは、ヤバい奴らぞろいなんだよ!」
「それは確かに相手になりそうですの!」
「でも、大丈夫だよ。だって君な・・・否、君たちならきっといける。彼氏として出来る事なら何でも協力するよ!」
二人の会話で、何打も不穏な単語が飛び交う。
彼はヒョウガ達の勝利を信じているようだ。まだ一戦がるというのに。
「それはとても助かるですの! それからこれからも宜しくですの」
「それは勿論だよ!」
「それじゃあアタシは戻るですの」
「ああ、分かったよ。じゃあね」
「じゃあねですの♪」
と言って、アーティナは部屋へと戻って行く。
少し遅れて、エデロアも自分の部屋へと戻って行った。
****
時間はヒョウガ達の試合が終了した直後に遡り。
「まさか!? まぐれとは言え、3戦目を突破するとはなのじゃ。アリマ・ヒョウガ。最近の噂通りの奴なのじゃじゃ」
「そうだね! リー。思った以上に強いね! そう言えば……」
「言おうとしていることは分かるのじゃ。だってあの人は、真面目にやっていれば妾と同じSランクなのじゃから」
驚いた表情を見せるのは、学園ランキング1位の幼女―――リーフ・チェレヌ。
その隣で観ていたのは、学園ランキング4位の少女―――ミカネ・コロネ。
コロネが言おうとしていた言葉を遮り、リーフが彼女が言おうとしていたことを代わりに言う。
「て事はリー。もしかして次の試合も」
「分からないのじゃ。そう上手くはいかないのじゃじゃ」
「でも楽しめそうだね♪」
「そうなのじゃね。後の皆もこればよかったのじゃじゃ」
二人は楽しそうに笑った。




