43話 試合の行方
その試合を外で見ていた観戦客たちは。
「なあなあ。あの強いチームの筈の狐族が残り二人って凄くない!」
「だな。流石アリマ君がいるチームだ」
「あのチームなら勝つのは決まってるな」
その試合を見ていた少年少女がそう感じている。
少し離れているところで観戦していた先生たちは。
「中々凄いですね!」
「ええ、その様ですな。私の所のシラキも中々だな」
「ですよね! 僕の所のサラさんも凄いですよ! 'あの´成功することすら珍しい´ 妖精をあそこまで使いこなせると凄い事ですね。ラックさんは、未だ活躍が無いようですがね」
三人の一年の先生が、試合を観戦して思い思いの事を口に出す。
そして話は試合の方へと戻る。
ヒョウガ達は残り二人の方へと集中する。
「俺を攻撃だこんか! 良いだコン。これでも食らうだこん!」
余裕そうで実は焦りを見せる男が長剣を構えーー。
「武装長剣技<雷落とし>!!」
巨大な雷が上空に発生。
上空に発生した巨大な雷が、凄まじい勢いでヒョウガ達へ落ちていく。
「妖精、先の行くよー」
「はい、了解です」
出番を妖精に伝えると、彼女は短く返事をする。
「妖精の力です。マスターや仲間様に刃を向ける行為は許せない事です」
怒りを露にした妖精。
「<クラム・テーイ・バーリア>!!」
先使った呪文をもう一度唱える。
またしても男へ斬擊が返って来る。
「ワタシも活躍しないといけません! だから行きます」
ーーピーーーッ!
ミューフィは魔笛を吹くと。
「催鳥魔術<鷹の爪>」
上空に鷹が姿を現した。
そして男へと、巨大な鷹が襲い掛かかってー
「ぐあぁぁっ…あ゛あ゛。ゴホッ」
血ドロを吐き捨て、大量の血が身体から抜けていく。
そしてその場に倒れ込んだ。
「じゃあ、後は俺とアミリと、アーティナ先輩で決めるぞ」
ヒョウガの指示で、二人は攻めていく。
猛スピードで逃げる彼女でも、逃げきれない。
「さあ、来るだこんこん!」
ヌンチャクを振り回しーー
「 武装二短鎖棒奥義<金剛回し>」
ヌンチャクを、バロロンは非常に硬くする。
どんな攻撃でも壊れないヌンチャクへと変化させた。
「守護魔甲<妖精の森>!」
森と繋ぎ、妖精を複数呼んだ。
すると、森から妖精が次々とやって来た。
集まった森の妖精達に彼が発動してきた技を消してもらう。
「風双刃奥義<風神の竜巻乱舞>」
青色の双剣から、風の女神であるアウラが出現した。
風の女神は純白のドレスを身に付けており、背中には美しい羽を生やしている。
風の女神アウラは躍り狂う。
大きな渦を巻き、竜巻を起こしながら。
「アタシも行くですの!」
一瞬のうちに、バロロンのゼロ距離に瞬間移動し、光魔剣を構えーー
「武装魔術<雷光焔剣>!!」
型を取ると魔法を発動。
突如にして刹那ーー
虚空に雷雲が発生して。
稲妻が起こり、光魔剣に降り注いだ。
更にそこへ炎を発生させた。
雷光と炎でバロロンを切り裂いた。
スコープから瀕死のバロロンを覗き込んだ。
「こ、これで止めよ!」
スコープから標的を覗き込んだ。
「武装魔銃術〈星屑の弾〉」
狙いを定め、引き金を引いた。
ーーー火薬の弾ける振動と共に、高速で回転する弾丸。
弾丸は次第に形を変え、無数の小さな星に。
無数の小さな星に変化した弾丸は、発射口から発射された。
小さな星の弾丸は、瞬く間にバロロンの心臓部分まで飛んできていてーー
撃ち抜いた。
「グフッ…ゴアッ…グホッゲホッ」
止めの一撃を食らい、大量の血が彼女から溢れ落ちていく。
意識が遠のいて崩れ落ちた。
ーー決着が着いた。
『試合終了だ。アリマが率いる450号室の奴らも出て来い!』
先生の指示に従い安全防御壁の外へと向かう。既に、出た所には負けた狐族のチームの全員が並んでいて、ヒョウガ達も並んだ。
「てことでだ。勝者はアリマが率いてる450号室だ!」
先生が、勝者であるヒョウガ達を差してそう伝える。
「想像以上の強さだっただこんこん」
「そうか?? ありがとう!」
「代々伝わる私達狐族を倒したんだこんこん。凄い事だこんこんよ! 後二勝頑張るだこんこん」
「ありがとう。決勝まで行って見せるぞ!」
そう言って、彼女と握手を交わす。
他のメンバーたちも前に立つ相手と握手を交わす。
「では、帰るコンか?」
彼女が皆に可否を問うと、五人が賛成したので部屋へと戻って行く。
「んじゃあ、俺達も戻るぞ」
「そうだね」
「わ、私もそれで良いわよ! 疲れちゃった」
「アタシも構わないですの!」
「ウチも-」
ヒョウガがカナミたちに可否を問うと、カナミ達は賛成したので、部屋へと戻って行った。
* * * * * * * * * * * *
そして、試合開始前から、試合終了後まで全て見ていた男は。
「思った通りだ。アリマ・ヒョウガ。これで漸ようやく僕たちが君たち戦うことが出来る。楽しみだ・・・・・・アーティナ」
謎の男が、嬉しそうに戦いを待ち望んでいるようだ。
彼は、愛おしい少女の名前を呟く。
その男の周りにはすでに誰も居らず。
「―――忘れてるとしても、僕は君が好きだよ! アーティナ」
彼は、アーティナへの思いを思いを呟く。
その告白地味た言葉だけを残し、部屋へと戻って行く。




