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この運命を天使《キミ》と共に  作者: 事故物件住まいの伽藍鳥
1章 天使との契り
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6話 侵入者との遭遇

臨時放送が流れる三十分ほど前。学園前に、一人の少女がいた。

その少女の年齢は、恐らく十六、七歳だろう。


 その少女は、藍色のセミロングにツーサイドアップの髪型で、肩まで露出した黒制服を着ている。


 ―――少女の名前は、ジャス・ライディス。


ライディスはヒョウガとは中等課の時の友達だ。

ライディスにとっては初恋の相手だ。


「そろそろ入ろうかな」


「まだ早えんじゃねえか。人がいる」


 「その様ね。ま、私と死神は入ると目立つし、騒がれて可成り派手に暴れちゃうから。全滅させるといけないし。だから、漆魔(シェイマ)宜しくね♪ この女の武器として、頑張りなさいね♪ この女の洗脳完璧だし」


  ライディスと隣に佇む漆黒の二本角の悪魔に侵入の相図を出した。

指示を出した相手―――死神とは、周りを暗黒に包まれ、頭には一本の角が生えてる闇死神。


闇死神は身長が三メートル近くはある。

 

  そしてもう一体。死神の言葉に同意したのは、見た目は幼女。お姫様が着る派手なドレスを身に纏っていて、体の周りを邪悪なオーラを醸かもしているお姫様―――邪姫(じゃき)という。


邪姫は身長が低くアーティナより少し大きい位だ。


 そして少女は、漆魔という悪魔に洗脳術を施されているらしく。


 ―――ここに来た目的は二つある。一つは、ライディスの事を何度も振った少年への復讐。復讐と言っても殺す訳ではなく痛い目に遭わせると言う意味だ。これは本人の意思である。もう一つは、学園の運営委員会の情報の入手だ。


特に運営委員会の情報は、失敗厳禁らしい。


それはさて措き、今度こそライディスが動き出す。


 『健闘を祈る』と漆魔に闇死神が以心伝心して、次に邪姫が、『ふふ、楽しんで来てね♪目的を果たしてね』と闇死神と同じように以心伝心し…


 ―――ささっ、ささっ、風が吹きかう様に、ライディスが走り抜けて目的地である高等課棟へ向かう。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「侵入者を見付けたぞ」


と男の講師がライディスの方へ近付くと。


「何だ、何だ。その化け物は…」


傍らにいた化物に気付いた男性講師は、一瞬怯んでしまう。


『見付かったし、やってやるぜぇ~。殺さない程度に』


「任せるよ」


『行くぜぇ~』


刹那ーー傍らを歩く魔物が、掌から禍々しい闇色の塊を作り出される。

闇色の塊は男性講師に侵食して行き、身動きが取れなくなった。

脳内にも侵食したことにより記憶が薄れていく。


そして立ち去ろうとしていると、また新たな講師が数人現れてーー。


「何をしたんですか、あなたは…」


『これでも食らいやがれぇ~』


と漆魔が言うと。


『〈漆黒の霧〉』


刹那ーー数人の講師の周りを漆黒の霧が覆う。


「何ですか、この霧···」


「力が···」


「ヤバい···」


肺まで息を吸い込んだ講師が次々と倒れていく。

この霧はただの霧ではない。

吸い込んだ者の身体を侵食していき、相手を戦闘不能にする霧なのだ。


今度こそ静まり返った学園の庭を静かに進んで、目的地へ向かった。


 高等課棟最上階にある、電源装置管理室にライディスがやって来た。


「さ、入室しよう!」


 鍵が掛かってるか確認すると、案の定鍵はかかっておらず。

 簡単に中に入ると、彼方此方に、学園全ての電源がここに設備されいるようだ。

更に中央には、椅子が備わっていて…


「じゃあ、始めよっか!」


 そう言い終えると。漆黒に包まれた漆魔が、剣へと姿を変えた。


剣を両手で握り締め…


剣の名は―――漆魔刀剣(シェイマリン・ソード)


 握りしめた漆魔刀剣を、電源装置へ頭上から突き刺す。


 ―――すると、プチンッという導線が切断される音が激しくしたことにより、停電が起きた機巧(からくり)だ。


 そして、ライディスと漆魔が運営室へ向かっていく。



そして現在。


誰も動こうとしない間にも、どんどんと被害が出ていく。


「これ以上被害を抑えるためにも俺が行く。行ってどうこう出来るとは思わない。だけど後悔したくないんすよ」


揺るがぬことのないヒョウガの想いに、


「皆を危険な目に遭わせたくないって、言って貰えるのは嬉しいけど、私はヒョウガに何かあったら困るし、それに私弱くないよ」


「アリマ君が行くのでしたら、アタシも行くですの。年長者としての責任があるですの。怒られたとしても、あの悲鳴が止むのなら。それと様子を見に行くだけなら」


カナミとアーティナはお互いに、ヒョウガへ向けて言いたいことをぶつける。


「ひ、一人で行くとか馬鹿(バッカ)じゃないの、死にたいの?」


ーーヒョ、ヒョウガ先輩が一人で行って殺られたら困るし


自分が危険な目に遭おうとする相手に、少し強めに言った。


「残されてしまって万一此方に侵入者来てしまったら対抗できません。ですのでヒョウガ先輩が行かれるのでしたらワタシも行きます」


「ウチも同じ意見です~」


残りの二人もヒョウガが行くのなら自分等も行くと、そう言った。


「ーー心配してくれてありがとう。分かった。全員で行くぞ。呉々も慎重にな」


カナミ達の想いの届いた彼は、少しの間を空けて了承した。


六人は慎重に行動に移す。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


彼らは先ず高等課棟の前に向かう。

向かう最中あちこちで倒れた講師が目に留まる。


目的地に着くと。


「では、中に入って見ますか!」


 「そ、そうね。何か出て来るんじゃないでしょうね」


「何も出ねえよ。多分な」


夜暗な校舎の中へ足を踏み込む。


 一階は一周したが何も居らず、二階、三階も不気味ではあるが何も現れない。次に四階へ向かう。


「ここ、何かが通った後の様な気がする」


「足跡か、まあ先を急ぐぞ」


「わ、分かったわよ」


 四階の奥に進むとまた足跡があった。それも帰り道の方も。


「ここみたいね。皆見て」


 「これは酷いな。ただ者の仕業じゃないことは確かだ。普通の武器じゃないだろうしな」


 電源装置管理室に入ると―――電源装置が無惨に破壊されているではないか。


 「一先ず、別の場所を探そう」


「そうですね」


そして皆で別の場所を探すことに。


 ―――同時刻、ライディスと漆魔は、運営委員会室の前に居た。


 「これで良いんだ。後は闇死神の所に持って行くだけだ。そうしたら一つ目はクリアだ」


 ライディスと漆魔が中に入ると、多くの資料があるが、直ぐに目的のものが幾つか見つかり淡白(あっさり)と入手してしまう。


「案外楽なもんだな」


 トタトタ。トタトタ。誰かがこっちへ来る足音が聞こえ…


 「不味いな。そろそろ次に行くか。その前にと」


 そう言って漆魔は、置き手紙を残す。


ーーー律儀な悪魔なのだろうか。

 

 書き終えると、窓から出ようと扉を開け放つ。

 そして再び剣になった漆魔と共に飛び降りた。

―――飛び降りた階は三階だ。

 降下している途中でライディスは、漆魔刀剣の技で漆黒の雲を発生させて。

その雲に降りてから、上手く地面へ着地。


 遅れて入って来た運営委員がが目にしたのは、荒らされて資料が床に散乱してる光景と、開けっ放しになっている窓であろう。


 「無い。まさか、学園の運営資料が盗まれただと!? これが侵入者の目的という訳か」


運営資料には、出席する学生名簿、住所といった個人情報が乗っていた。


「その様ですね。委員長!」


 委員長と呼ばれた男が、手探りで探すが目的のものが見つからず、漸く侵入者の目的に察しが付く。


 「それより、侵入者の正体について分かったか?」


 「それがまだ何も。だが、他にも目的が有るかもしれん」


 「一瞬ですけど、変な武器を持ってたので確証が有りませんが、昔見たことがあります。誰かは思い出せませんけど」


 委員会役員の一人の女性が、言葉を聞き思い返すが、手掛かりといった手掛かりが無いなとと言い、他の四人もそう思う。


 一方その頃。ヒョウガ達はというと。

中等課棟を探していた。勿論ハズレだが。

幸い先生に見つからなずに済む。


「次は何所を探す?」


「そうだな····」


 「やあ、久し振り。ヒョウガ、カナミも」


 カナミとヒョウガが話してると、そこに一人の少女  ―――ライディスが、漆魔と共にやって来て…


 「ん・・・久し振りだ··· な···何だ···その化け物は」


 「ねえ、ヒョウガ。逃げよう。知ってるライディスだけど、隣にいる化け物絶対危険だし。もしかすると侵入者って言うのも」


 「ヒョウガにカナミ。覚えていてくれたんだね。何度も僕の告白を振ったくせに。何だいその黄緑髪の女は···まさか彼女かい? それともハーレム?」


ーーー一番近くにいる少女を彼女と誤解するが、それだけでは収まらない。端から見たらそう見えるのかもしれない。


黄緑髪の少女と他のメンバーを見て怒りを(あらわ)にし…


「ラブコメごっこしてるみたいだし、それを壊して帰ろうぜぇ。眠たいし」


 「そうだね。これが終わったら好きなだけ寝ていいよ」


 ―――二人は、早く終わらせたい様子。


 「話しても無駄見てえだし。俺の知ってるライディスが可笑しくなってるのは、あの化け物のせいだ」


ライディスの隣に佇む魔物を指差し、そう言う。


 「ホ、ホント仕様がないわね。私は彼女じゃないんですから」


 「仕方有りません。ワタシもハーレム要員ではありませんん」


 「あの化け物を倒したら元に戻るかも知れない。戦うしかないか」


かつて友人だったライディスを救う為、戦うことを決意する。

 

「皆を巻きたくない。俺がやる」


「む、向こうは一瞬でも彼女だと勘違いしたなら利用するわよ。私も戦う。他の皆さんは安全な所で見ていてください。やらせてください」


二人の気持ちを尊重し、カナミ達は任せることにした。


そして白熱の戦いの火蓋が切って下ろされた。

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