番外編 特訓は鬼ごっこ(後編)
早速向かったのは、高等課棟の方。
勿論のことだが、一階から四階まで調べるが居らず。
次に向ったのは、美術塔。
(誰か来たな)
扉の開く音に反応して、大柄の青年は息を呑む。
「誰かいるですの?」
シーン。
「誰もいないですのね」
よーく見るが、人らしき者は見付らず美術塔を出る。
「ふう。見付らずに済んだな」
大柄の青年は、胸を撫で下ろして安堵した。
アーティナは、彼方此方あちらこちらを見回すが、見つけられない。
探す場所を魔術エリアに変えると、ゴスロリ衣装を着こなした少女が何時でも来いと、腕を組んで立つ。
「グハハハハハ。お前が鬼だな。捕まえてみるがいい」
「そうするですの」
ピュ――――。ダッシュ。
「速いですの!」
「ぜ~ハ~ぜ~ハ~。我は魔力の使い過ぎで体力切れみたいだ」
「もうバテてるですの! そんなのないですの。タッチ」
「わ・・・笑う出ない。それに何をするのだ! 我の体に」
アーティナがテナの速さに驚くが、少し走ってから息を切らすテナを見て思わず苦笑して、鬼を交代する。
テナは、アーティナが笑ったのを可愛く怒る。そして、体を触るなとも言う。
彼女は、早々にその場を立ち去る。
その後、テナが、大柄の青年を捕まえ、大柄の青年が。Bエリアの端っこにで、観ていた小柄の青年を見つけて、其れに気付いて全力疾走した末に捕まった。
それを見ていたヒョウガが、終わりの相図をして終了した。
「俺は、最初に鬼をやったからサラが一度も鬼にならなかったぞ!」
「そうだったよー。この鬼ごっこの意図はなんだろー」
「カナミが提案したんだが、俺の予想は、スタミナをつけることと、持久力を付けることだと思うぞ!」
「た、確かにそうかもしれないわね」
「中々楽しめたですの!」
ヒョウガが、自分は最初に鬼役をやったから、サラが最後まで鬼にならなかったと言って、最後まで残る自信があったのか、胸を張る。それから、カナミが鬼ごっこの意図を聞く。
彼の予想を口にすると、アミリがそんな気がすると同感する。
そんなの気にしてなかったようで、楽しかったとアーティナは呟く。
「己達も楽しめたださ!」
「我も遊びに付き会うのも偶には悪くない」
「俺等も悪くなかっただべえ」
「俺も楽しめた。そろそろ帰ろう」
そう言うと、後の三人も帰って行く。
「んじゃあ、俺達も帰るぞ!」
「分かったですの」 「そ、そうね。分かったわよ!」 「良いよー」
三人それぞれの答えを聞いて帰って行った。
部屋に戻ると、陽は既に落ち掛けていた。
「お風呂入れるですの!」
そう伝えて、お風呂のスイッチを入れる。
カナミは、この前ヒョウガに教えて貰った肉じゃがを作っている。
サラはぼーっと時間を過ごし、アミリはマンガを読んで過ごす。
後の人はのんびりしている。
そして待っていると、良い匂いがしてきて。
「出来たよ!」
その呼び声で、皆が食卓に集う。
「戴くぞ!」
「「戴きます」」
「い、戴くわよ!」
「戴くですの」
「戴くよー」
席に着くと、早速食事の挨拶をして食べ始める。
「どれどれ。パクッ……ん~ん。美味いぞ!」
「ホ、本当に美味しいわね」
「凄い美味しいですの!」
「上手くなりましたね」
「おお、本当だー」
カナミが作った料理を食べて、評価を皆が口にする。
「そうかな。きっと二回目だからかな」
とカナミが、少し照れ臭くしてそう口にした。
パクパク。パクパク。それぞれの食べる音がするのみ。
食べる食べるでもうおかずも無くなっている。
なのでご馳走様を全員で済まして、ヒョウガが皿洗いしている内に一人づつお風呂に入りに行く。
そして、皿洗いが終わったヒョウガも、お風呂に入りに行って冷めた湯船に浸かって、少ししてから出て、お湯で体を温めてお風呂を出る。
出て体を拭いて、髪の毛も拭き終えると、歯磨きをしに行く。
ゴシゴシ。ゴシゴシ。綺麗磨いてから#嗽__うがい__#をして寝室に向う。
もう他の子はやることを済まして横になっている。
彼も寝る準備を済まして。
「んじゃあ寝るぞ!」
「「お休みなさい」」
「お、お休みなさいよ!」
「お休みなさいですの」
「お休みだよー」
そうヒョウガがお休みの言葉を言うと、他の子達もお休みを言って眠りに就く。
こうして一日が終わる。




