39話 昨日の敵は今日の友
アーティナ達と残り二人の戦い。
「チッ、テナまで敗れたか」
「まだ諦めないだべえ」
大柄の青年が、次々と敗れて行く現状に舌打ちをして。
小柄の青年の方は、未だ負ける訳には行けないと言う。
「お前たち良くやったぞ! 皆これで決めるぞ!」
―――これからの作戦はこうだ。 先ずは俺、カナミ、アキラで小柄に奴を相手して、残りのアミリ、アーティナ、ミューフィで大柄のとこを―――と言う感じだ! その名もトライアングル作戦!!
とヒョウガが、作戦の説明をする。
「カナミ、想像の準備は任せるぞ! アキラは守り」
「うん。分かった」
「分かったよー」
ヒョウガの指示に、二人はOKのポーズを取った。
「来ただべえ! 本気だすだべえ」
両腕を訛った喋りの青年が切刃に変化させた。
「武装鋼腕奥義<究極の二重切刃>!!」
「行くぞ!」
そう言って風双刃を構えてーー。
「風双刃剣技<無限の七色>」
無限に続く七色の風が、彼の周りごと包み込み、身動き不能にする。
そして、やっと解放された小柄な青年へ。
容赦のない一撃を、ヒョウガア放つ。
「風双刃剣技<|七色風斬《レインブル·ウィンドブレイク》!」
それが七色風の鋭い刃となって振り下ろされた。
「ぐはああぁ~。何て攻撃だべえげホげホ、げホげホ」
「これで決まりだね」
瞑っていた瞼を開けると。
「武装想像<般若>!」
そう言ってカナミが発動したのは、鬼女で体はマントで覆われ、手には斧を持つ般若はんにゃだ。
「行っけ~!」
カナミの指示を受けた般若は、小柄な青年の所へと向かう。
「来るなだべえ! お願いだべえ。ぐはああぁ~」
迫ってくる般若に頼み込むが、聞く耳など無い上に斧を振り下ろしてきて―――。
「げホげホ、げホげホ。何て強さだべえ! げホげホ・・・・・・もう駄目だべえ」
先吐いてた血に加え、新たに大量の血泥を吐き出す。
小柄の青年が言葉を発するが―――
バタンといって、その場に倒れ込む。
「ま、まだやるつもり? 勝てる見込みでもある訳?」
「どうせ俺一人じゃ勝てないだろうな」
「それじゃあ、どうするつもりですの?」
そうアーティナが聞くと、
「だが、負けると分ってても」
そう言って、
「能力<猛毒散乱>」
男は能力を発動。
「お、遅かったわね。これで終わりよ!」
スコープから大柄の男を覗き込んだ。
「 武装魔銃術〈無濃紅の弾」
狙いを定め、引き金を引く。
ーーー火薬の弾ける振動と共に、高速で回転する弾丸。
弾丸は次第に形を変え、蒼い超高熱の炎に。
炎に変化した弾丸は発射口から発射された。
蒼い炎の弾丸は、瞬く間に大柄の男のの心臓部分まで飛んできていてーー。
命中。
風穴が空き大量に出血してしまう。
「ぐはああぁ~。ハアハア。思った通りだったな。げホげホ。げホげホ」
その弾を心臓に食らったので、大量の血を吐いて倒れ込む。
『試合終了です。ヒョウガる450号室の皆さんも出てきてください!』
先生の指示を受け、六人は安全防御壁から出る。
先に出ていたルゼイン達の前に並んで、先生が言葉を出す。
「と言う事で、勝者はヒョウガ君率いる450号室の皆さんです!」
ヒョウガ達の圧勝だと―――観ていた者達は誰もがそう思うだろう。
「凄いださ! アリマ・ヒョウガ。それに仲間達」
「なあ、ディブ。俺の名前をフルネームで呼ぶの止めてだぞ!」
「何故ださ? 己はお前の友達じゃ無い筈ださ!」
「んや、俺はそうは思って無いぞ! だって『昨日の敵は今日の友』だぞ!」
「そうかださな。 分かった。 ヒョウガ。君たちをこれからは応援する!」
フルネームで呼ぶルゼインに、彼は別の呼び方を提示する。
―――それを聞き、友達ではないのになぜだ、と問う。
ヒョウガはそれに対して、慣用句を使ってもう友達であると伝えると。
こうして友達になった彼は、全面協力をするとと言い出す。
そして二チームのリーダー同士が、お互いに強い握手を交わして友情を育はぐくむ。
他の子達も握手を交わす。
「はああぁ~。また眠くなって来たかも」
「グハハハハハ。ケリアス先輩は何時も睡魔に負けて眠ってるではないか。だが、我も魔力の使い過ぎで疲れた。帰りたい。帰って休みたい」
「テナは魔力なんて使ってないだろ! だが、帰るのには賛成だ」
欠伸をし出すケリアスに、テナが何時ものことと返し、帰ろうと急せかす。
隣に立つ大柄の男も、テナに何時もの様にいうも、が帰る事には賛成らしく。
「それじゃあ、己達は帰るださ! じゃあな」
ルゼインが手を振ってくるため、ヒョウガも返し―――そして彼らは帰って行く。
そこに取り残された六人は。
「ホ、本当に勝ったわよ! 今更何だけどビックリしたわよ! でも嬉しい」
「やったですの! これで一戦勝利ですの」
「圧倒的だったけど、勝ったから嬉しいね」
今更な事を言い出すアミリに、アーティナも嬉しそうだ。カナミも勝てたと言う気持ちの方が大きく、喜ぶ。
それを聞いた他の子達は、
「まだ一戦突破しただけだぞ!」
「ヒョウガ先輩の言う通りだよー。決勝戦まで後三戦だよ~」
「私もそう思います。気を抜いている淡白と負けてしまうかもしれませんから」
と、アミリ達とは違う風に思っていた。
「んじゃあ、俺達も部屋に戻るぞ!」
「そうだね! ヒョウガ。私も良いよ」
「わ、私も良いに決まっているわよ!」
「決まり見たですの」
「ワタシもです」
「ウチも-」
と言う風に、皆で帰ることに決まり、六人は部屋へと戻って行く。
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そして、話は試合終了してすぐの観戦していた人に戻る。
「アリマ・ヒョウガ。他の仲間達。中々の強さだ。これなら必ず来てくれる筈だ! 三戦目の相手をしてやる。それに……アーティナ」
―――謎の男は、ヒョウガ達の戦いっぷりを高く評価し、二戦目を飛ばして三戦目の相手を申し出た。
そして後ろの部分に、愛おしき金髪少女の名前を呟く。
「二回戦も楽しませて貰おう。君の活躍を見ているよ。アーティナ」
また謎の男は―――少女へのエールじみた事を口にし。
そして男は、競技場から見て後ろ――学生寮の方へと帰って行った。




