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この運命を天使《キミ》と共に  作者: 事故物件住まいの伽藍鳥
3章 越えた先の結末
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37話 開戦

そして迎えた試合当日。


 ―――この日の天気は晴れで、秋風が吹き荒れている。

季節はもう秋だ。


 そしてヒョウガ達は、競技場の中央でルゼイン達と向かい合っていて。

 先生は二チームの真ん中に立つ。


 既に全員が、武装展開を完了させていた。


「己達は負けないだ!」


「ああ、俺達もだ!」


 「それでは、ルゼイン君の率いる448号室と、アリマ君が率いる450号室の試合を開始します」


 意気込みを露にするルゼインに、ヒョウガも言う。


 先生の相図を聞いて、二チームのリーダー同士が握手を交わす。

 他のメンバーも握手を交わす。

 それが終わると直ぐに、試合が開始する。


 ―――俺は、予定通り、二、二、二に分かれたぞ!


  組み合わせは、ヒョウガとカナミの幼馴染みチームで一つ。アーティナとアキラの意外な組み合わせで二チーム。最後のアミリとミューフィの仲良しのチームと言う感じだ。


 「そう言う作戦で来たださか! 己達も行くださ!」


「分かっただべえ」


「分かってる」


 「グハハハハハ。予定通りにだな」


 「はああぁ~凄く眠いけど頑張るよ」


「・・・・」


 ルゼインの出した指示に、全員が了解する。


 ―――女性陣が動き出し、それに合わせて男性陣も動き出す。


 恐らく、三、三で戦うスタイルだろう。


 そして最初に仕掛けたのは、男性陣側の一人。

 小柄で訛った喋りの青年が、アーティナに仕掛けて来た。


 「行くだべえ」


ーーと言うと。


  「武装鋼腕奥義<二重螺旋(ダブルスピラル・)切刃(ドリル)>」


 自身の腕を鋼へ変化させた。

 二重に作られた螺旋の刃を、彼は作り出してーー、


螺旋の容赦なくアーティナを襲う。


 「そうはさせませんよー。守護魔甲!」


アーティナの前に立ったアキラ。

アキラは自らの腕に力を込め、魔法の盾を創り出すのだが―――


「ぐはっ…」


 攻撃を受け止め切れず、螺旋の刃を腕を中心に食らってしまう。



 一方その頃、アミリ達の方はと言うと。


「これ以上は行かせません」


 「はああぁ~眠い。ウチが相手する」


 「グハハハハハ。ケリアス先輩ここは任せよう」


「・・・・任せる」


  眠そうな少女ーーーケリアスが、ミューフィ達の前に立ち(はだ)かる。


 何故か眠そうなケリアスに、二人は安心し切っている。


 ―――な、何よ! こいつは。凄く眠そうなのに、何で此奴に任せたのよ。まさか、こいつがそんなに強い訳?実は強いとか? まさかね? 隠れた強キャラ!?


 とアミリは、眠たそうな少女に半信半疑になった。


「はああぁ~行こうか~」


多きな欠伸をし、うとうとしながら。



       「睡眠魔術<眠々(ソムノリート ・)歌謡歌(ベルスターズ)>!」


 「耳を塞いでいるので・・・・・・ヤバいです。スぴ~」


魔法の指揮棒を振り―――魔法を発動 。

 指揮棒を振って、眠たくさせられる歌曲の子守歌を奏でた。


耳を塞ぐも既に遅く、ミューフィはその場で文字通り寝入ってしまう。



ヒョウガ達の方は。


 「グハハハハハ。我とパラテイーナ先輩が相手になる」


 「ん……!? どこからでも良いぞ!」


「・・・・うん」


 自分と大人しくて赤い眼鏡をかけた少女―――パラテイーナが、二人の前に立ち塞がると。


 「じゃあ宜しくね! ヒョウガ」


「ああ、分かったぞ!」


 時間稼ぎを頼まれたヒョウガは、思った通りの言葉を返す。


「グハハハハハ。行く!」


大銃剣(ガンブレード)をテナは右手に構えーー、


     「武装大銃剣奥義〈鮮血(ブラッド ・)地獄(インフェルノワーペ)〉>・・・・ッ」


次第に大銃剣の色が変化していく。

瞬く間に血の色に染まった。


鮮血の如く紅の大銃剣で、地獄の如くヒョウガに斬りかかった。


 ―――ん……!? 何て攻撃だ!? 唯の痛い子じゃなかったんだな。


 とヒョウガは、テナを評価する。


「ま、そんな恐ろしい攻撃食らって溜まるかだぞ! 


迫る斬撃を前にしたヒョウガは、


「能力<暴風>!!」



 ヒョウガの体の周りから、突如荒れ狂う風が吹き荒れると。

 それにより斬撃は、(ことごと)く吹き飛んで行ってしまい。


 アーティナ達とルゼイン達の戦いはと言うと。


「アキラ、大丈夫ですの?」


「大丈夫だよー」


 「良し、(おら)の攻撃の番ださ!」


 心配そうに見詰めて来るアーティナに、無事であることをアピールしてきて…


 次の瞬間。ルゼインが攻撃の準備に入った。


 「武装金槌技<土竜叩き(ワークアモーラ)>!!」


 高くまで飛び上がった青年は、金槌を空に上げーー、


他の二人は逃げられたものの、後の二人は逃げきれず。

二人目掛けて振り下ろされてしまう。


 「こんなの食らったら一溜りも無いですの!」


 「どうしよー。何回も打ち付けてこようとしてるよー。こんなんでやられたくないよー」


 アーティナとアキラは、ヤバいと言う感じに焦っているのを。


 「《エ・アノーク》。それを唱えるですの。成功しないと思いますが、試す価値はあると思うですの」


 「《エ・アノーク》? 何か分からないけど出来るかどうか分からないよー」


 エ・アノークとは、妖精を呼び出す古代言語の呪文。教科書や研究者達の集めた資料などにも載っている類の。

 研究者たちがその生態を調べているが、数十年経っても未だに結果がでない。


―――まあ、上手くいく確率は低いのだが…


状況を少しでも良くならばと、アキラは試すことに。


「でもやって見るよー。《エ・アノーク》!!」


 呪文を唱えると。


突然目の前に現れたそれは、白色のワンピースを纏う少女。

 掌サイズで―――背中には小さな羽が生えている。そう妖精だ。


 『貴方に力を貸します。屹度(きっと)あの攻撃を何とか出来ます』


 ―――え!? もしかして本当に妖精?


 『はい。間違いなく妖精です』


 ―――それなら力を借りるよー。


 姿形が古の通りの妖精が、アキラの心に囁きかける。

 それを聞いたアキラは、本物の妖精かどうかを確かめてみるとに。

 ―――すると、透き通る声で答え、力を借りることにして。


 「成功した様ですの! 成功率が低いのに!! それよりもう落ちてきてるですの」


「任せてー」


そう言うと。


   「守護魔甲術<妖精(フェアリー)守り(シールド)>!!」


次の瞬間―――

 自分より一回りも二回りも大きな守りを、彼女の手から全体に作り出す。

 それにより、ルゼインが放った土竜(もぐら)叩きを見事防ぎきって見せると。


「何だ! 今の技は?」


「ヤバいだべえ」


「中々の技だったな」


「これでも食らうですの! 


ルゼインの目前に瞬間移動し、光魔剣を構えてーー。


「武装魔術<雷光一剣(ライトニングバース)>!!」


 突如虚空に稲妻が発生。

―――その稲妻は、光魔剣に向って降り注いだ。

 それを浴びた光魔剣でルゼインに斬りかかり―――。


「ビリビリ。ぐはああぁ~。まだまだだ。

  これでも食らうださ! 」 


ダメージを受けるも、もう一度攻撃を仕掛ける。


「武装金槌奥義<(ゴールデン·)槌落とし(ドロッ)……ッ!?」


「そうはさせないですの」



攻撃を発動する最中、アーティナがルゼインの真上に瞬間移動してきた。


両手で光魔剣を構えるとーー


「武装魔術<流星斬り(ミリアーブレイク)>!!」


ルセインの攻撃を妨げた。


突如上空に流星を出現。

流星は、凄まじい威力を持つようだ。

光魔剣が流星を帯びると、凄まじい威力でルゼインを斬り倒す。


 「ぐはああぁ~。己が負けるとはださ・・・・」


 斬擊を食らい、大量の血と共に落下して行く。


「やったですの!」


「そうだよー。後、五人」



 アミリ達とケリアスの戦いはと言うと。


 「お、起きなさいよ! ミューフィ」


「スぴ~スぴ~」


 「はああぁ~。無駄だよ無駄無駄。ウチに勝たないと」


 ミューフィに駆け寄るアミリに、ケリアスが起こそうとしても無駄だと言う。


 「い、良いわよ! それなら仕様が無いから行くわよ」


スコープから蹌踉(よろ)けるケリアスを覗き込んだ。


 「武装魔銃術<氷炎の弾(フラゾン・バレット)>!」


狙いを定め、引き金を引く。


ーー火薬の弾ける振動と共に、高速で回転する弾丸。

弾丸は次第に形を変え、氷と炎に。


氷と炎へ変化した弾丸は、発射口から発射された。


 氷と炎の弾が一つとなった弾が、ケリアスの所へと飛んで行く。


「はああぁ~。眠い」


大きな欠伸をし、目を擦ると


  「武装魔指揮棒奥義<指揮棒幻覚(ワンドイリュージョン)>」


 飛んで来た氷炎の弾を、彼女は指揮棒を振ることで弾を別の何処かへと移動させた。


 ―――な、何よ! あれ!? 強すぎるわよ。私よりランク低いくせに‥‥


 とアミリは、ケリアスを見て感じているのを余所に。


「もう駄目かも。お休み!」


「ど、どういうつもりよ!」


 ―――眠気に負けたケリアスは、お休みとだけ言い残し眠ってしまう。


 それ光景を見たアミリは、怒りを隠し切れずにいるのをーー


 「すう~ふう・・・・・すう~能力<夢遊攻撃>!!」


 健やかな寝息を立てた彼女が、ごにゃごにゃと何かを呟く。


その時―――

 寝息の聞こえる彼女が起き上がって来た。


 ―――ね、寝てるわよね! あ、こっちに来るわ!


と、アミリは内心で呟く。


 思った通りケリアスは、アミリの方へと蹌踉(よろ)けながやって来た。


 ―――スピードの方は、熟睡しているにしてはあまりにも速い。


 「あ、危なかった。 何で正確なのよ」


 「スぴ~スぴ~す~う~んん? んふ~っ・・・・・・!」


 指揮棒をを振り下ろす僅かな時間を、アミリはギリギリで回避する。

いまだに気持ちよさそうに寝ている。


 「は、早くケリを着けますね! 」


スコープから迫るケリアスを覗き込んだ。


  「武装魔銃奥義<光華(ライトフル)魔石弾(フェアリーストーン)>!!」


 狙いを定め、引き金を引く 。


ーー火薬の弾ける振動と共に、高速で回転する弾丸。

弾丸は次第に形を変え、美しい光に包み込まれた魔石に。


魔石に変化した弾丸は発射口から発射された。

光華の魔石の弾丸は、瞬く間にケリアスの心臓部分まで飛んでいく。


命中した。


 「すう・・・・・すう・・・・・・す~・・・・・・ぐはああぁ~。魔石の弾・・・・・・。ウチの夢遊攻撃が聞かない」


 「ま、まだやるつもりですか? 私は良いですよ」


撃ち抜かれたケリアスは、痛みと苦しみで目を覚ます。


アミリは、もう諦めろと言いたげだ。


噴き出した血の量がヤバく、意識が朦朧とし始めーー

その場に倒れ込んだ。


 「はああぁ~。アミリ。勝ったんですね?」


 「よ、良かった。目覚めたのね。 そうよ!」


 ミューフィが起き上がると、アミリにそう聞く。

 ―――嬉しそうな顔をして、少女はそう答えた。


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