35話 教化訓練
着くと直ぐに、特訓を開始する。
「武装展開!」
そう叫んで、全員が武器を展開して準備完了。
「じゃあ、先ずはサラの特訓からだするぞ! アーティナ先輩には攻撃を任せますよ!」
「でも大丈夫ですの?」
「全然大丈夫ですよ。俺が保証するし! サラは腕に力を集中させれんだ! 」
「うん。分かったよー」
先ず最初にサラの特訓をするので、アーティナに攻撃役を頼む。
ヒョウガの指示に従い、サラは腕に力を集中させ―――。
「行くですの!
と言うと光魔剣を構えーー、
「武装魔術<光焔斬り>!」
刹那ーー燃え上がる炎が光魔剣の先端に現れた。
眩い光を放つ光魔剣を次第に赤い炎で染める。
そしてサラへと、燃え上がる光魔剣で切り裂く。
回避しようと、サラは右腕を出して集中…
―――すると、ホント微かなバリアが表れが、
「やっぱり駄目だよー」
攻撃を食らうと、淡白とバリアが消えてしまう。
「まだまだだな!」
「分かったよー。もう一回やるよー」
—――俺にまだまだと言われて、サラはもう一回とやる気を見せるぞ!
「分かったですの!」
「そう来なくっちゃだよー」
良いと答えるアーティナへ、サラがそう言う。
一度元いた位置に戻ってから。
「また行くですの!
武装魔術<雷光一剣>!!」
一度元の居た位置に戻ってから。
再び一瞬にしてサラのゼロ距離に出現し、
突如にして刹那。
虚空から稲妻を出現させて、光魔剣に向って降り注いだ。
そして雷光を、サラに向って斬りかかろうとした。
透かさずサラは、もう一度腕に力を集中させるが―――
「ぐはっ…」
激しい痛みがサラを襲う。
創り出されたバリアは、薄っぺらく微か過ぎる為に、腕を中心に稲妻を食らい。
それからも、何度も何度もサラは攻撃される。
「もう一度行くですの!
武装魔術<水竜斬り>!」
此方へとやって来た水竜へ、もう一度腕に力を集中させるが、淡白と破られてしまう。
「ぐおおおお~」
もう一度アーティナが攻撃をするが駄目だ。
その次も、又その次も、更にまた次も、攻撃を防ぎきれずに食らってしまう。
「そろそろヤバそうですの! 止めにするですの!」
「まだ……まだ大丈夫だよー」
体や腕がボロボロで、文字通り危険に瀕し始めているではないか。
可成りの傷を負ってるが、彼女はまだやると言う。
ヒョウガ、カナミ、アミリ、ミューフィは唯々見ているだけ。
―――か、体がボロボロね。本当にまだやるつもり?
と、サラの在り様を見て、アミリはそう思う。
「これで終わりですの!
武装魔術<光魔一剣>!」
眩い光が突如照らし付けられた。
それを直視した彼女は、当然ながら目をさせられてしまう。
その隙にアーティナが、光魔剣でサラに斬撃を食らわそうとした。その時―――
「止めてみせるよー。今度こそ絶対だよー。守護魔甲!」
自らの腕に力を込めたサラは、魔法の盾を創り出す。
これこそがサラの武器―――異能だ。
光魔で斬りかかる寸前に、魔甲で撥ね返す。
そしてアーティナへと、予想外な攻撃が撥ね返って戻って来た為、避けられるはずがない。
「かあぁぁ…サラ、出来たですの!」
「良くやったぞ! サラ」
「おお、出来たよー」
攻撃を食らったアーティナは、そんなのお構いなとサラを褒め。
同じくヒョウガも、サラを褒める。本人も驚いた―――が嬉しそうだ。
他の子達も、「凄いね! サラちゃん」とカナミが、「や、やっとできたわね。おめでとうよ!」とアミリが、「遂に出来ましたね。よく頑張りました」とミューフィ、其々が思い思いの事を言って称えられて。
―――その頃。バトル施設二階の出入り口。
「我が態々偵察に来たのだ。ジャンケンと言う忌まわしいものの所為だ。魔力を使って負ける筈がない」
訳アリでテナは、ヒョウガ達の訓練の偵察に来ていた。
ジャンケンで負けたことが、ここに少女が来る羽目になった原因だから。
―――言い訳を言っても、どうしようもない。
「フハハハハハ。二人以外、本番のための儀式見ているだけか! ん~? 何、確かあれは、アキラ・サラ。異能をロクに扱えないはずだが。あんなこと出来るようになっていたとは!?」
サラの守護魔甲を目撃したテナは、甘く見ていたと悔いる。
そこへ、カナミがやって来た。
「やっぱそうだ! 先の子だ! 恰好からして。こんな所で何してるのかな? 一人で」
「な……見つかっただと!? 我一人で儀式の準備をだな」
「どうせ偵察だぞ!」
見付ってしまた少女は、信憑性の欠ける嘘を言い出す。
―――その嘘を、後からやって来たヒョウガが、簡単に見破られてしまう。
そして、本当の目的を彼の口から言い放つ。
「グハハハハハ。バレたなら仕方ない。我は偵察に来たのだ!」
発覚たことなので、自らテナは目的を暴露して。
「んで、どうするんだ。最後まで見て行くか?」
「そうだな。我が見てやる。後で後悔することになるだろうけどな! お前らが」
―――強気なテナが観戦すると言うので、俺とカナミは戻って行く。
「んじゃあ、三対三で摸擬戦するぞ!」
ヒョウガが、摸擬戦を始めようと言った。
「始めるぞ!」
「良いですの!」
「良いよー」
彼の開幕の言葉に、アーティナとサラの二人が、返事を返す。
―――今回の組み合わせはは、ヒョウガ、アーティナ、サラとカナミ、アミリ、ミューフィの二チーム。
「サラ、守護頑張るんだぞ! アーティナ行くぞ!」
「分かりましたよー」
「勿論ですの」
先制攻撃を仕掛けようと言う彼に、二人は了承する。
「攻めて来るみたいね」
「き、気をつけるわよ」
「準備を完了させましょう」
―――カナミ達の方は、守りの体制を取る。
先ず最初に、アミリの三、四メートルの所にアーティナが魔剣を構えて…
それに遅れて気付いたミューフィは、出遅れてしまう。
「行くですの! 」
ゼロ距離に移動すると。
「武装魔術<聖光魔斬り>!」
覆うような光が、アーティナの周りを包み込む。
聖なる光は、剣の方にも達していた。
そして光り輝く魔剣が、アミリに斬りかかろうとしたのだが―――
カナミの武器は想像したものを具体化すると言うものだ。
短時間で想像していたカナミが、攻撃を食い止める。
「武装想像<七本の神剣>!」
「危なかったね」
カナミが想像したのは、神に供える剣だ。
斬りかかろうとした聖光が、神剣に吹き飛ばされてしまい。
そして距離を取ったアミリは、七本の神剣を勿論ながら回避する。
そしてその神剣が、宙を舞ってアーティナへと飛んで行き―――。
「ぐはっ、げホげホ。中々やるですの」
避ける術もない彼女は、其の儘七本の神剣を真っ正面から食らう。
「アキラ、行きます」
手に持つ魔笛を構え口許に近付ける。
「催鳥魔術<燕返し>」
ミューフィは、魔笛を吹いて燕を出現させて、アキラに向けて燕返しをさせた。
―――それと同時に、アキラも自身の腕に力を込めて異能を発動する。
「守護魔甲!」
アキラの腕を魔甲に変えて、燕返しを文字通り返してきた。
「ひゃああ~。強くなりましたね」
返って来た攻撃を諸に食らい、バタン、とミューフィはその場に倒れ込む。
成長したアキラを、体全体で感じたと言うことか。
「こ、これでも食らいなさい! 」
」
「武装魔銃術<|氷炎弾《フレームアイス·ブレッド》>!!」
アミリは銃口をヒョウガに向け、引き金を引く。
バンバン。
アミリが放ったのは、氷と炎がそれぞれ交互に交じり合った弾だ。
そしてその弾は、彼の居る所へと飛んで行く。
―――ヒョウガはこの状況で笑っている。
風双刃を構え、アミリが放った一ミリもズレないで飛んできたそれを弾き飛ばす。
「中々良い弾だぞ! アミリ。でも威力がもう少しないと駄目だぞ!」
「お、思った以上に強うわね!」
と区切ると、再び風双刃を構えーー。
「んじゃあ、俺も行くぞ!
風双刃剣技<風女神の天斬り>!!」
刹那―――。
純白のドレスを纏う風の女神が華麗に登場。
アウラの手元に美しき刀剣が姿を表す。
二つの刀剣で斬る仕草をした彼の合図に、風の女神が風を纏った二つの刀剣で上空から切り裂く。
迫る斬擊を前にアミリが動く。
「そ、そうはさせないわよ。武装魔銃術<火炎の弾>!」
透かさずアミリは、銃口を構え直して、火炎の弾を放つ。
風神の強い風に、風の猛刃と火炎の弾がぶつかり合う。
―――だが、淡白とアミリの火炎の弾が敗れて、アミリの方へと強い風と、風の猛刃が降り注ぐ。
「ぐおおおぁ~。で、でも嫌な気分じゃないわよ!」
―――こ、こういうのも案外いいわね。
と、アミリは最後に思った。
その頃、ヒョウガ達の摸擬戦を観戦していたテナは。
「我の漆黒の眼が可笑しいだけか。グハハハハハ。まあ、そんな訳無いか。なら現実だと言うのか。このままでは、戦儀で敗れてしまうようだ! 愚かなチームだと思っていたらここまでの実力を持っているチームか!? 本番の為の儀式を可也行わなくてはな」
―――テナがそう思うのも無理が無い。
油断していた相手が、油断できない相手だと分かったから。
これこそ油断大敵と言うことだ。
今のままでは勝てないと踏んだテナは、猛特訓をしようと思って部屋へと戻って行く。
それは良いとして、摸擬戦の方は終了。勝者はヒョウガ達のチーム。
「今日はここまでだぞ!」
「凄く疲れたね!」
「ホ、本当ね。凄く疲れたわよ」
「アタシもですの」
「ワタシもです」
「ウチも-」
皆凄い汗を流している。それに可成り体力を消耗が激しい。
模擬戦を切り上げて部屋へた戻って行った。




