33話 開幕! 学園対抗戦
これは四年前の話。
ヒョウガの父が殺された日の話。
――俺の父さんは研究の仕事が忙しい所為で、何時も帰って来るのは深夜過ぎだった
その代わり、朝は何時も一緒。
ーーーが、この日に限って連絡も無くて帰ってこない。
明くる日も父さんが帰って来た痕跡が無かった。
「ん……!? 今日も帰って来てない! どうしたんだろう?」
「そうね仕事場にも来てないみたいだわ」
ヒョウガが言うと、仕事場に確認の連絡をしていた母がそう言う。
この日は、ヒョウガは学校、母は仕事があった。
「行方不明ってやつだ! これ」
「それはこっちが何とかするわ。学校行きなさい!」
そう言って、ヒョウガを学校に行かせてから、母は行方不明届を出しに行く。
行方不明届を出して何日かして、其れらしき人が見つかったと知られがあった。但し死体となってと。
「噓だろ。あの時あんなに元気だったのに…なのに父さんが死んだ何て…」
「本当よ。信じられないけどだわ。この目でしっかり見たんだから」
「本当に死んだんだな!? 一体誰に殺されたんだ」
父の死を聞かされて、信じたくないと言葉を出すも、それが真実なんだと受け入れざる終えられない。
そして殺した犯人へ強い怨嗟を残す。
ーーーーーーーーーーーーー
現在。
場所、バトル施設一階集会場。
今日は始業式だ。
「父さん・・・・・」
と、ヒョウガが父の夢を見ていると、
「ヒョウガ。起きた方が良いよ。もう直ぐ大事な話だからね」
「ん……!? ああ、起きた。起きた。もう大丈夫だ」
先生に気付けれぬように、こっそりと青髪の青年ーーーウズミ・エイトがヒョウガの頬を突いて起す。
状況を一発で把握したヒョウガは、姿勢を改める。
「二学期も怪我をせず、安静に過ごしてください。これで先生の話しを終わります」
先生は話しを終えた。
「それでは、始業式を終わります。これからは、運営委員会の委員長さんからの大事な話があります」
始業式の終わりを告げると、バトンを運営委員会に渡し、舞台から降りて行く。
代わりに上がって来たのは、運営委員会委員長のガイヤ。
「あ~あ~」
ガイヤがマイクの音量チェックを行い。
チェックし終えてから。
「皆さん、おはようございます。僕は運営委員長のガイヤ・トウマです。今年は、十五年ぶりに《交武祭典》が行われることになりました。日程は、今年の十月二十四からに決まりました。その舞台は、海底に沈む都市<海底楽園都市>と、海の上に浮いていて、更に広大な山の麓である孤独の島<嶽麓島>の二か所で同時に行われる」
一区切りをつけてから、また続きを話し始めてーー
「それに基づいて、学園内で選手選抜バトルを行う。なお、チームはルームメイトとする。相手の決め方は、指名。強いチームは、選ばれる側か、強いチーム同士で戦うとする。もしもの時は、強制指名で、強いチームと弱いチームで戦わせる。戦いのルールは、相手を全滅させるか、降参させたらその時点で試合終了。相手チームの勝利とする。最終的に残った二チームで決勝戦を行う。<交武祭典>に行けるのはその二チームのみ。全ルームナンバーが掛かれた表を、掲示板に張り出す。最後に先生に見送られながら行う事以上」
ガイヤが大事な話を終えるや否や、大きな拍手が集会場全体に鳴り響く。
「何か面白そうな大会だね」
「ん……!? そうか?」
「そりゃそうだよ」
そんな事を言ってると、
「そして、優勝賞金ですが、百二十万円。更に、お米一年分。全レストランで使える割引券が貰えます。他にも幾つか貰えます。では皆さん教室に帰ってください」
何んとも豪華な優勝賞金が貰えるらしい。
そして、教室に帰る指示を先生が出す。
「おお、凄く楽しみだぞ!」
「優勝賞金に目が暮れたんだね」
「ん……!? ああ、凄く豪華だからな!」
ヒョウガがやる気になった事で、負けられない戦いが秘かに始まろうとしていた。
そして、始業式も終わりを迎えた。
始業式終了後のこと。
―――生徒だけで無く、先生達もHRや授業中。更に、授業の合間の休みの時間や昼休みでさえ、<交武祭典>の話題で持ち切りで。
そう、文字通り学園内はお祭り騒動なのだ。
そして、ヒョウガのクラス。
帰りのHRが終わって帰ろうとする。
「んじゃあな、エイト」
「それじゃあ、明日。ヒョウガ」
―――俺は、そうエイトに言ってから、自分の部屋に戻って行った。
450号室。ヒョウガ達の部屋。
帰って来た時には―――例の話しをしていた。
「ねえ、ヒョウガ。私達も頑張ろうね!」
「ああ、勿論だ! 目指すは優勝だ」
ヒョウガにもカナミは振って来た為、彼は優勝を目指すと宣言すると。
―――それを聞いた皆は、少しの間黙り込んでから。
「ホ、本気でそんなこと言ってる訳!? まあ、途中まで行けたら良いけど・・・」
「本気に決まってるぞ! まあ、ランク的には、俺とアキラはEランク。カナミとアーティナ先輩がAランク。アミリがBランク。ミューフィがCランクだけど、まあ大丈夫だ! 勝ち上がれるからな」
「そのヒョウガのは、態度とかヤル気。後色々悪くてEランク何だけどね」
「でも楽しそうですの。それに高い目標があるのは無いよりは良いですの!」
本気で言ってるのかと言う顔のアミリへ、彼は勿論だと言う。
―――その上で、ランク関係なしに勝ち上がるのだと。
当の本人が一番酷いEランクの理由を言うも、アーティナは気には留めず、楽しそう言うと。
高い目標を持つことは良いと言う。
「もう大丈夫だぞ! 前とは違うから」
「そ、それなら私も手伝ってあげても良いわよ。優勝するためにね」
「私もしてみたいです。優勝を!」
「仕様が無いね。私も手伝うね。優勝するの」
その言葉を信じてアミリは、手伝うと言い切った。
意外と乗り気なミューフィと、観念したのか最後には頷いてくれくれーー。
最後のアキラはと言うと、「ウチも良いよー」と賛成していたのだが―――
「でもその前に、アキラは猛特訓をしないといけません」
「 げえ~。一寸位優しくしてよー」
「そんな事では優勝できません」
「俺らも手伝ってやるぞ! サラの猛特訓!!」
「に、逃げられないわよ」
「終わってからは、摸擬戦しようね!」
こうしてアキラの猛特訓と、自分たちが強くなるための摸擬戦が決まる。
「このイベントのお陰で授業が無くて助かるですの」
「それ分かるよー」
「お二方は、授業中寝てそうだから、休めて良かったな」
学園選抜バトルや特訓の為、授業がは一切ない。
それを良い事に、何時も授業中に寝ている組のアーティナとアキラが、途轍もなく楽しそうだ。
―――何となくヒョウガはそう予測する。
見事に的中した。
「そろそろルームナンバーが全て書かれた票が張り出される頃だぞ!」
「そ、そうよね」
ソファーから立ち上がったヒョウガは、隣に座っていたアミリ。その隣に座るアキラ。ヒョウガの斜め右に立っていたカナミ。斜め左に立っていたアーティナ。その隣に立っていた ミューフィに掲示板を観に行こうと誘う。
勿論のことアミリは賛成して、他の子達も賛成らしく早速全員で掲示板を観に行く。




